学校教育に感じていた
閉塞感を打ち破るために開塾
JR身延線「入山瀬」駅を降り、立身出世の象徴である富士山に向かうように北へ歩いていくと、OK学習塾の赤い看板が見えてくる。地元の中学校正門前という好立地。ピロティ形式の建物1階部分は駐車場、2階部分が教室である。
OK学習塾のOKには、「高校進学OK」「成績アップOK」そして、岡村塾長(OKAMURA)のOKという意味が込められている。また、反対から読むとKO。それは、岡村塾長が大切にしている生徒の「個(子)」(KO)という隠された意味もある。
もともとは公立中学校教員であった岡村塾長。キャリアを重ねるに従い、管理職へ進む道筋が指し示されるようになった。子どもたちと向き合うことが何よりも好きだったため、現場を離れることはストレス以外の何物でもない。学校教育に閉塞感を感じる中、自分のスキルを生かして何ができるかを考えた際、「塾」の経営に大きな可能性を感じた。
退職の2年前から開塾に向けた準備を開始。冨永賢宏先生が主宰する「即アップ協会」との出会いもあった。自立型の学習教材「ミラクルロード」は、岡村塾長が教員時代に実施していた学習方法と同じだったこともあり、迷わず導入した。開塾から4年が過ぎ、5年目を迎える。
●指導のポイント
教員時代に実施していた学習方法。その確かさを裏付ける教材を活用
「ミラクルロード」を核に
生徒のやる気アップをサポート
現在、生徒数50名。講師は岡村塾長の他、5名が指導にあたる。教室の中には異学年(中1〜中3生)が混在。異学年が一緒に学習するメリットは、中3生の受験に対する真剣な取り組みを肌で感じることができることにある。
OK学習塾の学習サイクルは、地元の公立高校受験に向け、内申点アップのための定期テスト対策がかなめ。個々の実力アップを図るために、基礎・基本問題を徹底的に反復学習する。
岡村塾長は「定期テストはワークからの出題が多く、定期テスト対策では、ミラクルロード終了後に各学校で配布されているワークを3回やります。1回目のワークを定期テスト10日前には終わらせる。最低でもあと2回やります。ワークをしっかりやることが得点アップへの近道です」と自信を見せる。
一番成績が伸びた生徒は、3ヵ月間で期末テストの順位が115番から5番になったり、内申点が1年間で22から29にアップした生徒もいるという。
「受け身の授業では限界があり、自ら学習していかなければ成績はアップしません。何をどのように、どれくらい勉強すればいいのかわからず、結果が出ないために学習することをやめてしまう生徒が多い。生徒たちの意欲を引き出すには、短時間で成果を目に見えて上げることが大切です」
自立学習の良さは、自分で問題を解き、裏の解説を読んでじっくり理解できること。それでもわからなかったら先生に聞く。その繰り返しにより、自ら取り組む姿勢が整ってくるという。生徒一人ひとり(個)に合ったペースで繰り返し勉強でき、間違えた箇所を集中的に学べるため、やればやるほどやる気がアップする。
「集団指導は講師の力量に左右され、個別指導は講師の絶対数が必要です。OK学習塾は集団指導と個別指導のメリットを融合させたニッチな塾です」と岡村塾長。
さらに学習日や学習時間帯は生徒や保護者の都合で決めることができ、学校の行事や家の都合、部活などで塾に通えないときは、他の日に振り替え可能。フレキシブルな対応も大手塾や個人塾にはない特徴である。
●指導のポイント
公立高校入試対策にミラクルロードを活用。基礎・基本問題を徹底的に反復学習する
口コミを活用した
キャンペーンを中心に
細やかな心配りで
信頼を獲得
同塾の募集は、チラシを主体に口コミが占める割合が大きい。チラシは手書き文字で、保護者が抱えている不安や悩みなどに訴えかける言葉が散りばめられているのが特徴だ。毎週土曜日は「無料学習会」を実施。生徒たちが、お友達を連れてくると、その生徒とお友達に図書カードがプレゼントされる。
父の日や母の日には、「お父さん、お母さんありがとうキャンペーン」を実施。また「学校の先生が話せない高校入試○秘情報講演会」の開催など、保護者の心理をつかむ戦略は巧みだ。現場を知り尽くした岡村塾長だからこそできるPR力が効を奏し、問い合わせが後を絶たない。
岡村塾長の考え方の根本にあるのは、家庭、学校、塾の三位一体での取り組み。生徒の生活レベルでの指導も徹底する。
「まずは、寝る時間を決めなさいと教えています。そうするとお風呂に入る時間、夕食の時間が決まる。そして夕食時間まで勉強をする時間を決めることができます」
毎回、塾の学習が終わると、生徒たちの保護者あてに「学習報告メール」を発信。メールの返信で、さまざまな相談を受けることもあるという。以前、耳が聞こえにくい生徒の座席位置を配慮し、保護者から感謝された。こうした心配りの積み重ねが、OK学習塾への信頼へとつながっている。
2020年に向けて教育改革が進む中、今後ますます塾の果たす役割が大きくなると確信する岡村塾長。OK学習塾5年目という節目に、多店舗展開に向けた構想の具現化を加速させている。
●運営のポイント
生徒募集は手書き文字のチラシをメインに口コミを活用したキャンペーンの実施
個(子)のやる気をアップさせるための配慮を欠かさない
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