医学部学費を大幅値下げ
多様な受験層を意識する医療科学部
平成28年度入試の藤田保健衛生大学の医学部志願者数は4,543人、受験倍率は17.9倍。前年の12.8倍から一気に盛り返した。同大入試広報課の木谷俊介氏はこう語る。
「27年度の一般入試前期日程は、川崎医科大・近畿大・埼玉医科大と競合していました。28年度入試の日程は単独になり、学費を180万円値下げしたことも要因でしょう」
私大医学部6年間の総額納入金の平均は約3,200万円。同大医学部では来春の入学者から学費総額を640万円減額、2,980万円へと大幅に値下げすることを発表した。さらに成績優秀者奨学金制度の新設や学費の納入方法の改定など、医学部志願者に選ばれる取り組みを進めている。
医療科学部は、平成28年度から看護学科・リハビリテーション学科・医療経営情報学科の一般入試において理科の基礎科目で受験できるように変更した。また、この3学科では一般・センター試験利用入試においては、文系コースからの受験を考慮し、選択科目に「国語」を設定している。さらに全学科を対象に一般前期入試とセンター試験利用前期入試を利用して出願できるセンタープラス入試を新設したことによって志願者の増加につながっている、と木谷氏。
28年度入試の志願者数は、看護学科で1,335名(前年比604名増)、臨床検査学科で931名(同406名増)ほか、放射線学科・リハビリテーション学科・臨床工学科・医療経営情報学科すべての学科で志願者を伸ばした。多様な受験者層に大きく門戸を開いていることが、受験者の増加につながっているようだ。
21世紀のチーム医療を担う
多面的な力を問う入試・面接
「専門職の細分化が進行する医療の中で、医師・看護師など医療専門職が一丸となったチーム医療の時代が到来することを当初から予見しており、学部・学科の枠を越えて連帯精神をはぐくむ『アセンブリ(全員集合)』を、学部の壁を越えた混成合同授業としている」(引用:『平成26年度大学評価申請用 自己点検・評価報告書』)。この取り組みは、医療科学部に28年度入試から導入された「アセンブリ入試」にも反映されている(自己アピールを盛り込んだアクティブレポートの提出や適性試験など)。
医学部では面接の試験内容が大きく変更。あるテーマについて自分がどのように行動するか、具体的に8分間説明する試験を複数回行う。推薦入試ではグループディスカッションが加わる。新しい面接方法を通して、受験生の「人間と人間との関係の中で互いの立場や考えを尊重しながら、言語を通して円滑に相互伝達、相互理解を進めていくのに十分な国語能力と、問題を解決しようとする創造的かつ論理的な思考力」や「多様な価値観を有する国際社会において主体的に生きることや、生を尊べる平和で民主的な社会を形成するための資質と自覚につながる社会科の能力」を客観的に判定したいとのこと。
「独創一理」の精神で
新時代を切り拓く人材を
同大医学部が面接等で求める能力は、教育方針「フジタビジョン2025」が示す医療人像へとつながる。「謙虚で誠実に医療を実践できる人」・「患者中心の専門職連携を実践できる人」・「独創的な学究精神と国際的視野を持った医療人」。グローバルな世界、地域医療の現場で、多くの難問を抱えながらも、一つひとつに真摯に取り組み解決を見出す「良き医療人」の育成に取り組んでいる。
医療科学部は、専門的な知識や技術はもとより、患者中心の専門職連携、地域医療・介護福祉を新課題とし、地域ケアの実践を指向する「藤田保健衛生大学地域包括ケア人材育成教育プログラム」を立ち上げた。全国初の大学発信型の人材育成モデルを構築し、地域に根ざした医療、保健・福祉へと幅広く貢献できる「医療人」の育成を目指している。
21世紀の医療に携わる人材を「本気で」掘り起こす同大学の改革が始まっている。
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