前回までは、医療系学部受験の市場性についてお話ししてきました。今回は、看護学部の受験コースを中心に、医療系学部の受験コースはどのような指導が適当なのか、また、収益はどの程度出るのか。その試算を行いたいと思います。
まずは、前回までの話をざっと振り返っておきます。
1) 医学部を除く医療系大学受験の市場が少子化のさなかにあって大きく成長している。
2) 受験が加熱する一方で、少子高齢化に伴って医療系職種には今まで以上に需要の増加が見込まれ、しかも、これらは国家にとっても重要な職業であることから、どれほど景気が悪化しても(国家財政が旧ソ連邦のようなレベルで破綻すれば別として)収入が平均より高いレベルで安定する。
3) 女性にとっては、結婚・出産という重要なイベントでありながら、職業人としてのキャリアを考えた時に大きな障害となる(長期間にわたって離職せねばならず、職場復帰できずにパート、アルバイトなどになる事が多い)時期の後にも容易に職場に復帰できる点で有利。
4) 看護学部は私立・国公立ともに偏差値がそれほど高くなく、受験させやすい、また、志願者数も多いことから、塾でサービスを始めるのであれば看護学部向けのコースから構築したほうが良い。
では、ここからが今回の本題です。看護学部向けの指導サービスの内容と収益モデルについてお話しします。
@ どのような指導を目指していくか
1)目標は偏差値55である
指導目標は偏差値55です。しかも、私立大学も国公立大学も一部の学校を除いて数Vを受験するが必要ありません。センター試験も、国立大学は理科発展科目2科目が必要な大学(北大・東北大・筑波・御茶ノ水・京都・神戸など)が約半数ありますが、それ以外の国公立大学は理科基礎科目(理科基礎2または発展1:富山・山梨・三重・滋賀医科・徳島・長崎・石川県立・静岡県立・愛知県立など)でも受験することができます。
2)教科書レベルの知識+問題演習
偏差値55ですから、教科書レベルの内容がしっかり身に付いていれば十分です。しかし、国立大学はひねりの少ない素直な問題が多い一方で、医療系単科大学(滋賀医科・京都府立など)や私立大学では医療系特有のひねりのある問題が出題されます。決して難しい知識を使っていないのですが、このひねりに慣れるには入念な過去問演習が必要です。また、時として中学校や高校1年生のころに習うような内容が出題される場合もありますので、難しい問題を追わせるのではなく、場合によっては中学校レベルの内容からやり直させると良いでしょう。
3)学生バイトを使って、ビデオ指導+自習管理+質問対応
受験専門のプロ講師は時給が高く、また、数も少ないため確保が困難なことが多いと思います。特に地方では厳しく、やむを得ず多くのお金を出して都市部から招聘したり、学生バイトのみで切り盛りしたり、東進衛星予備校のようなシステムを導入しておられる塾も多いと思います。
しかし、看護学部のみに絞るのであれば、ビデオ指導と自習管理・質問対応までで十分だと思うのです。自習管理では受験サプリのようなビデオ指導(実費月額980円)と参考書の組み立て、スケジュール管理、これに加えて決まった時間の間、自習室に大学生、あるいは非常勤講師などを配置しての質問対応で十分な指導になるでしょう。やや、古臭いサービスのように感じるかもしれませんが、参考書の組み立てやスケジュール管理を含めた学習管理をしっかりするだけで保護者の満足度は相当高くなるものです。
A 販売価格と収益について
受験サプリを使ったシステムを販売するシミュレーションをしてみます。
授業はすべて質問対応で行い、質問対応は土日5時間ずつ、月・水・金4時間(のべ22時間)ずつ、10名の生徒に対し学生バイト1名とすると、生徒1人当たり指導時間は4.4時間/週となります。学生バイトへの給料1.800円/時間、1か月4.5週とすると生徒1人当たりの授業コストは17,820円です。
これに対して、授業料を34,000円とします。この金額が高いか安いかを考えてみると、生徒1人当たりの指導時間が4.4時間/週ですから、1か月4.5週とすると19.8時間/月ですので、1時間当たり授業料は1,717円です。個別指導の授業料はどんなに安くても2,500円以上、高校生であれば3,000円以上はするはずです。そう考えると、この金額は少し安すぎるくらいかもしれません。
管理費1か月5,000円と光熱費1か月3.000円は町塾としてはやや高めに感じるかもしれませんが、受験サプリの進行管理、参考書などの組み立て、面談費用と考えれば保護者への説明は十分だと思います。
授業は基本的に自習室を使い、1坪に1人と、少し大きめの机、パソコンが据え付けられた机を用います。質問対応も、ビデオ視聴もこの机の上で行えば、教室を別に用意する必要がなく、小さな教室でも十分運営していくことができます。
今までの指導に加えて、看護専門コースと銘打って受験サプリや参考書メニューの組み立てを行うだけで、それなりに収益を大きくできるのが、この仕事の魅力です。さらに大きな収益、あるいはプレミア感を出したいのであれば、ビデオ授業を受験サプリではなく教材作成会社などから供給させると良いでしょう。そこにうまく利益をのせれば、30名程度の学生数で数千万円の利益(授業ベース・経理や広告宣伝費等は含まない)を生み出すことが可能なのです。
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