河野(以下─)「この春の募集はいかがでしたか?」
佐藤 実は、幼児〜小4生までの募集が好調で、おかげさまで約30名ほど集まりました。
─ それは、すごいですね。何か原因があるのでしょうか。
佐藤 簡単に言えば、新校舎を出したということでしょうか。もちろん、新校舎が失敗してはいけないので、かなり広告を出しました。
─ 具体的には、どのようなことをされましたか。
佐藤 まず地元のタウン情報誌の子育て特集に広告を載せました。その後、フルカラーのチラシを3週連続入れました。タウン誌の反応は上々で、これだけで10件以上の問い合わせを頂きました。
─ それは、すごいですね。ところでチラシの内容は、どのようなものでしょうか。
佐藤 実は、毎週イベントを行いました。そのイベント告知です。
─ 毎週ですか。
佐藤 ええ、毎週です。もちろんイベントといっても、そんなに大袈裟なものではなく、実感算数の体験とか、子育てセミナーとかです。このセミナーの講師は、関西の方から有名な方をお呼びしました。
─ 「無料で行ったんですか?」
佐藤 「ええ、今回は集客だけを目的にしたので、無料で行いました。」
※アビリティは、オシャレなイメージで統一された塾です。そのため全国から多くの見学者が訪れています。サービスを形にすることは大切だと言われますが、ここまでこだわっている塾は少ないと感じます。また大手予備校が進出してきた地区ですが、小学生に思いっきりシフトをしたこと、ブランドイメージを大切に構築してきたことから、殆ど影響を受けていないようです。
ブランド構築の前提として、価値の創造、絞込み、そして、価値を魅せるということをしなければなりませんが、アビリティは非常に上手に行っています。特に絞込みは、多くの塾では、地域や学校の絞込みで終わっていますが、現実的には、どの塾も同じようなカリキュラムで授業をおこなっているのであれば、もう少し変わった絞り込みが必要です。私は商品を絞ることも大切だが、お客を絞る、メディアを絞ることも考えた方がよいといつもアドバイスしています。
─ 先生の塾は、校舎もキレイですが、コース名も特徴がありますね。
佐藤 初等部(幼児〜小4生)は、マリン、中等部(小5生〜中3生)は、フォレスト、そして高校部は、サファリという名前です。
─ それぞれ名前に合った教室イメージにされてますよね。
佐藤 そうですね。学習環境には、こだわりました。全て建て貸しです。また、今までの塾や学校とは違う学習環境を作れないか?と頑張ったつもりです。(笑)
─ 幼児から高3生までというと、なかなか軸が絞れない感じもしますが、そのあたりはどうされてますか。
佐藤 実は、私の住む福島県は、まだまだ教育的には、途上県です。福島の教育を少しでも上げたいということから、このような幼児から高3生という編成になってしまいました。
─ それは、最終的には大学受験ということですか。
佐藤 そうです。例えば、福島県から東大に合格するのは、年に数名程度です。他県なら1つの学校で、それ以上の合格者がいますよね。そんな状況ですので、最終的には、大学受験を考えています。その最終ゴールから逆算して、18歳で東大を受験するとなると、15歳では、これを、12歳ではこれを・・・そんな感じです。
─ すると、福島に中学受験も結構あると・・・
佐藤 いえ、それほどはありません。そのため、コース設計には非常に苦労しました。例えば、小学生をガンガンにやっている塾は、中学受験が1つのゴールや目安になりますが、それが私の地区ではないために、市販のテストなどを使って1つの目安にしています。後は、面談を重視して顧客に対しアピールしています。
─ コース設計を幼児からすると、中学生にもなれば途中入塾者を受け入れ難いでしょう?
佐藤 それは、その通りです。そのため、中学生以上は、全員入塾テストがあります。中1,2生は、まだ、こちらも時間があるので、対応出来るのですが、中3生になると時間との絡みもあり、結構、厳しくみますね。
─ するとかなりレベルの高い生徒が多いわけですね。
佐藤 そうですね。標準以上の生徒たちと自負しています。私の使命は、とにかくこの福島の教育レベルを少しでもいいから引き上げることです。そのためには、今の生徒たちをじっくり・しっかり育てて行きたいですね。」
─ 良い人材を育てたいということですね。
佐藤 そうです。子どもたちがやがて社会に出たときに、それぞれの分野で立派な人材として活躍することに少しでも役立ちたいという使命感を持っております。そして、子どもたちに、「ああ、塾で学んだことが、今生きてるな〜」と振り返ってもらえるようなそんな瞬間があれば、幸せです。
─ なるほどですね。授業以外にも、生徒のために色々とイベントをされていますよね?
佐藤 もともと私の大学時代の恩師が、コーチングの第一人者だったこともあり、その恩師を呼んで講演して頂いたことが最初ですかね。それからは、塾単独ではありませんが、現在、私が代表をさせて頂いている福島民間教育ネットワークでは、サッカー全日本の岡田監督にも話をして頂きました。
─ 教えるだけでなく、そのような活動にも力を入れたいと・・
佐藤 そうですね。やはり子どもたちを立派な人材に育てたいという想いが強いですから。
※モチベーションやコーチングということをかなり早い段階から佐藤塾長は注目し、実践しています。一流の人材は、一流の人間と環境が作るということをまさに早い時期から実践しているわけです。多くの塾が、不況にあえぐ中、独自路線を貫き通すことで、コアなファンを確実に増やしている塾です。
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