全国初の株式会社による 広域通信・単位制高等学校設立
価値観の多様化や、様々な事情で通信制高校に入学した生徒が卒業する比率は、生徒全体の22〜23%に止まっている。
この状況に対応すべく、通信・単位制高校の設立を進めているのが株式会社ウィザス(代表取締役社長 堀川一晃氏)。全国に学習塾「第一ゼミナール」、大学入学資格検定予備校「第一学院」を展開する同社は、万全のサポート体制に自信を見せる。
今年3月、茨城県高萩市が申請した教育特区が認定。全国初の株式会社による通信制高等学校が、来春開校に向けて着々と準備を進めている。
全国で初めての民設・民営の通信制高校
――教育特区制度を利用した学校設立で、一番困難だったことは何でしょうか。
堀川 やはり、自治体に認定申請を出してもらうまでが難しかったです。認定を受ければ、その後一緒にやっていくわけですから、お互いによくわかり合わないとうまくいきません。自治体の賛同や理解を得ることが一番大変でした。
当社の場合、茨城県高萩市に設立することが決まるまでに、青森から沖縄まで、全国20自治体に働きかけています。今年1月に高萩市から内閣府に「教育特区」の認定申請を出してもらい、最終許可が下りたのは3月でした。
でも、私だけが大変な思いをしたのではありません。当社の担当者が、自治体や文部科学省、内閣府とやりとりし、認定申請までの困難な仕事をやり遂げてくれたのです。
――校舎の建設工事も始まっていますが、学校名や募集人数はもう決まっていますか。
堀川 学校名は「ウィザス高等学校」です。募集人数は、1年目は2000名、2年目は3000名、3年目は4000名を考えています。
――社名にも使われている「ウィザス」の意味を教えて下さい。
堀川 「With us Corporation」という意味です。「生徒や社員、仲間とともに」という意味を込めています。社内公募で決めたのですが、役員投票で圧倒的支持を得たのがこの名前でした。
株式会社による通信制高校の特色と役割
――なぜ通信制高校を設立しようと考えられたのでしょうか。
堀川 通信制高校には、不登校になったり、高校を中退したり、様々な課題を抱えた生徒が高校卒業資格を取得したいと入学します。ところが、通信制高校の平均卒業率は、たった22〜23%しかありません。これに対して、当社の「第一高等学院」のサポートコースの卒業率は100%です。
自社で通信制高校を設立できれば、教育内容やカリキュラム、単位認定などもサポートコースと連動できますので、多くの生徒を卒業まできっちりサポートすることが可能なのです。
メンタル面でも、不登校状態にあった生徒のケアなど、きめ細かく対応を行って、生徒の自立・自己成長を助ける指導をしていきたいと思っています。
――株式会社としての学校のメリットは何でしょうか。
堀川 他の学校ではできない教育が実践できることです。例えば、職業観育成指導を入学段階から導入し、「企業体験」「模擬企業での実習」「社会人としての心得」「就職試験指導」など、具体的かつ実戦的な体験学習をしていきます。
学校外においての認定単位数を現行の20単位から30単位とし、ボランティア活動や体験学習などで自然や人との触れ合いを重視する教育課程を編成しています。
――具体的に生徒はどんな体験学習をするのですか。
堀川 年2回実施する集中スクーリングでは、農業体験、特別養護老人ホームなどの施設訪問及び実習補助、地元消防士主催の救命救急の方法などの習得、高萩市の海浜・河川・山間部の清掃活動など、盛り沢山の体験をします。
こうした体験の中から自己達成実感、他者貢献実感を得、成長につながる指導をしていきたいと思っています。
――学習形態は、インターネットを利用して行われるのですね。
堀川 通信生のインターネット学習は、本校の大きな特色の一つです。全国に学習センターを設置し、インターネットで本校職員によるレポート指導を行います。受験勉強などの補習や質問などにも対応していきます。
生徒を支える教師陣の人間力・指導力
――サポート体制は万全ですね。
堀川 当社は、人材に恵まれていると自負しています。今の時代は、マニュアルだけの対応では、生徒を満足させることはできません。先生の優れた個性、すなわち「人間力」が問われます。人間力は、能力と人格が2本の柱です。
こうした人間力と指導力を備えた教師陣が、強力なサポート体制を敷いて待機しているのです。
――時代のニーズにこたえる私立通信高校として、反響が大きいと思われます。
堀川 生徒や保護者のニーズも、多様化しています。今の時代にマッチした高校は、共感を呼ぶと思います。
――新しいタイプの通信制高等学校の誕生を楽しみにしています。ありがとうございました。 |