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中学・高校受験:学びネット

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2020/1 塾ジャーナルより一部抜粋

「無限の可能性」の引き出し方 第3回

     

通信制サポート校を
立ち上げたきっかけ

 通信制高校に少し興味を持ったのは、息子が16歳のときでした。息子の友達が高校をリタイアした際、息子から「高校は卒業したいので、どこか受け入れてくれる高校はないのか?」という相談を受けました。

 ところが実際探してみると、ホームページなどでは内容があまりわからず、適切なアドバイスができずにいました。もともと全日制でも難しい生徒が自分でレポートを済ませ、毎年何度かの試験をクリアしていくことは簡単ではありません。2度目の退学となってしまうこともあります。

 「自分で創るか……」と思ったのが今から7年前です。ところがなんと、我が子が高校を辞めることになり、これもタイミングかと思い、1年ほど前倒しをして、通信制サポート校(つばさ高等学院)を立ち上げることにしました。ということで、我が校の第一期生は奇しくも、我が子となりました。

 2年目に入学した生徒は、学校で問題を起こして、退学になったSさん(高校3年)と、学校でいじめに遭い退学したMさん(高校1年)です。

 Sさんの髪の毛は7色(くらい?)、いつもマスクをしていて、決して私たちと目を合わせようとはしません。「私に構わないで、とにかく卒業証書だけくれればいい」というスタンスの生徒でした。

 一方、Mさんはおとなしくて目立たない生徒でした。もしかしたら、そんなMさんをSさんは守ってあげたいと思ったのでしょうか、2人の距離は縮まっていき、Sさんの表情も日に日に変わっていきました。在学中に妊娠、結婚というハプニングもありましたが、「これも通信制」と思い、みんなで祝ってあげました。卒業式では当日に、高校の卒業証書を受け取ったあとの答辞を依頼しました。

 Sさんは、「前の学校では私と向かい合ってくれる先生はいなかったけれど、つばさの先生はみんな私と真剣に向かい合ってくれました」と、泣き崩れてしまいました。『卒業証書』の意味とやりがいを実感した瞬間でした。

子どもたちの持つ「才能」が
開花する場所

 高校1年生で入学したCさんは、小学5年生から学校へほとんど行っておらず、頑張って進学した私立高校も一学期で行けなくなりました。ご両親が当校を探されて入学を希望し、本人とも面談ができ、とてもスムーズに入学・登校となりました。ところが、間もなく学院へ来ない日が続くことになります。その後も良くなったと思ったら来なくなる、ということを繰り返しました。

 そんなある日、Cさんが宝塚の大ファンだということがわかったのです。「宝塚の良さを、まずはつばさの生徒に伝えていこう!」となってから、Cさんの様子が変わってきました。文化祭では、タカラジェンヌのムービーに合わせて身振り手振りで踊って見せたり、夏休みに宝塚観劇を企画し、つばさ生とスタッフ15名ほどで、日比谷の街に繰り出したりしました。2階の一番後ろの席でしたが、私も宝塚の雰囲気を堪能しました。

 Cさんはその後、自分のように悩んでいる子どもの力になりたいと思い立ち、都内の心理学科を持つ大学を目指すことになり、見事合格しました。

 高校2年で入学したT君は、小学4年の時にパニック障害を発症し、ほとんど家の中にいる状態でした。それでも、高校は卒業したいという本人の思いから、つばさに入学しましたが、障害を持つ彼にとって、歩いて10分の距離も遠い道のりです。来られない日が続くときは彼の家へ行き、話を聴く時間を大切に持ちました。

 彼は将来について不安を抱えていました。当時は将来の夢として美容師を希望していましたが、美容学校へ行くこともままならないので諦めかけていたところ、彼と会ってくれる美容師さんと出会うことができました。T君の家を訪問し、そこで髪を切ってもらいながら、さまざまな相談に乗ってもらいました。

 そして、美容師にも通信で資格を取得する道もあることや、家から出られない状態でも、やる気があればやっていけることなどを聞き、その後は、つばさにもだいぶ来られるようになりました。やがてT君は、下級生のムードメーカー的存在に。文化祭では心がくじけた時に救われたという、ブルーハーツの唄を披露してくれました。

 サポート校を開校して1年後、小学生・中学生の主に不登校生を対象とした、フリースクールも始めました。こちらに来る生徒は、学校で友達や先生との人間関係がうまくいかなかった生徒が多く、体験入学へ来るにはかなりの勇気が必要です。しかし、つばさの生徒のほとんどが、辛い思いをしている経験があり、どんな生徒でも受け入れる包容力があるので、私たちがいろいろ言うより、生徒たちの中に入れた方が手っ取り早いのです。見ていて頼もしいです。

 個人差はありますが、もともと繊細な心を持っていたからこそ傷ついてきた経緯があるので、その場が「安全」だと判断したら、それぞれの持っている才能が開花し始めるのです。特に芸術的なことに関しては、本当に感心させられることが多く、一つのことを極める能力は抜群です。

子どもたちが再び
学校へ戻れるようになるために

 つばさを紹介するときに、必ず伝えることがあります。

 「私は、学校が大好きでした。だから、つばさの生徒もいつか行けるようになったら、学校へ戻って欲しいと思っています」

 というのも、多くのフリースクールは「学校は危険だから行かなくていい」と言っています。また、保護者の方々も、学校の対応に不満を持たれている方が多いです。しかし、すべての生徒たちが義務教育課程において学校に在籍する以上、「学校」「保護者」「民間」が上手く手を取り合うのが良いと思います。

 中学3年で入学したMさんは、1年生の時から1度も学校へ行ってません。家からもほとんど出ることはなかったのですが、タイミングが良かったのか、つばさに通ってくれることになりました。入学後、私は在籍の中学へ行き、校長先生と担任の先生にお会いしました。お2人はMさんがつばさに通うことになったことをとても喜んでくださり、本人に気づかれないように、わざわざ教室での様子を見に来てくださいました。担任の先生とMさんは会って話したことはありませんが、本人のことをとても気にかけてくださっていました。

 私は意識してMさんに「担任の先生はとても素敵な方だね」と声をかけるようにしていました。数ヵ月後、Mさんと担任の先生がファミリーレストランで会えるようになり、さらに卒業式(別室ですが)へも行くことができました。このことは学校として奇跡だったようです。今では、不登校生の紹介は学校からが最も多くなりました。

 私たちの学校へ来るような子どもたちは、もしそのままの生活を続けていたら、税金を使う側の人になっていた可能性が高いです。一人でも多くの人が、税金を払う側の人に成長してもらいたいと願いながら、この仕事を楽しんでいます。この国の将来を想いながら……。


仲野十和田(なかの とわだ) プロフィール

 1964年生まれ。東京都板橋区出身。全日本私塾教育ネットワーク理事長。不登校のためのNPO法人フォー・ユー研究会代表理事。1 9 8 6年、「ナカジュク」の前身「仲野学習塾」を創業。現在東京・埼玉に7教室、つばさ高等学院(通信制サポート校)・つばさスクール(フリースクール)を経営。

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