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中学・高校受験:学びネット

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2019/11 塾ジャーナルより一部抜粋

「無限の可能性」の引き出し方 第2回

     

 8月21~25日に夏合宿を行いました。小学生対象の「自然体験合宿」、中3生対象の「勉強合宿」、高校生対象の「英語特訓合宿」と3つの合宿を同時開催で行っています。今年は初めての場所(千葉県長生郡)で、廃校になった(といっても築14年)小学校を貸し切って行いましたが、教室も多く、生徒にとってとても良い環境でした。

出会った「仲間」たちとの
練習の場

 さて、合宿には東京と埼玉の7教室が集うので、生徒たちにとって、ほんとんど知らない人たちとの出会いから始まりますが、この合宿は、将来彼らが出会う「仲間」たちと、うまくやっていくための練習の場でもあります。

 「仲間」は自分から選べません。最初に出会う「仲間」は、言うまでもなく「家族」です。その後「クラス」「部活」「会社」と、あえて言えば、自分が望むことなく関わらなくてはならない人たちと、どうすればうまくやっていけるか? そのようなこともナカジュクの合宿では、大きなテーマです。人は放っておいても他人の欠点を見つけるなど、否定的な感情は持てますが、その逆はかなり意識しなくてはなりません。

 将来、会社(その他のグループ)での「仲間」は、自らが望まなくして、初めて出会う人たちと長時間過ごすことになります。そして、自分が所属するグループの居心地を良くするも悪くするも、自分次第だと思います。まずは、「人の悪口は言わない」「人の良いところを探す」ことが大事です。

 夏合宿の参加者の多くは、「恐れ」「不安」を持ちながら臨んでくれたと思います。学校と違い、初めて会う人と寝食を共にするのですから、当然ですね。そこで、上記のようなことを伝えるのですが、「人の良いところを探す」と言っても、私たちは、自分の良いところも気付かずに過ごしていることが多いと思います。

自分を認める力
「自己肯定感」を育てるために

 これを読んでいただいている方、「ご自身の良いところを3つあげてください」と言ったら、すぐに出ますか?

 ここには「日本の文化」も多少邪魔をしていて、「謙遜が美」ということもあり、どうも大人社会でも身内や会社のことを話すときはへり下った表現(否定的に言っておく)の方がコミュニケーションとしてはうまくいくので、それに慣れているところもあるのかもしれません。

 案の定、生徒たちは自分の長所は書き出しにくそうです。小さい時は良く褒められたけど、年が経つにつれ、悪い部分を指摘される方が多くなってきているからでしょうか。

 数年前に世界の高校生向けに行われた調査で、日本人の「自己肯定感」がとても低いことが発表されました。つまり、自分を認める力が弱いということです。更に言い方を変えると、自分の存在価値を認められないと感じている生徒が多いということです。このことは大きな問題だと考えています。「自己肯定感」を育てることはとても大切です。

 合宿の中で私は、「塾長講座」を持たせていただいています。その中で、以下のようなことを行いました。できるだけ知らない人と組み、さらに先生も入って5~6人のグループをつくり、一人ずつその人を見て感じたことを言ってもらいます。ネガティブな表現はNGで、言われた方は照れずに「ありがとうございます」と言って、受け取るルールです。

 「優しそう」「何でも話を聞いてくれそう」「強い意志を持っていそう」など、もちろん、ほとんどが初対面ですから、それが合っているかはわかりません。でも、意外と的を射ているので不思議です。

 そして、言われている本人の表情もとても良くなってきますが、言っている側も笑顔が自然に生まれ、全体がとても良い雰囲気になります。自己承認が満たされると、他者への承認力が強くなり、「仲間」の力で更に自己成長を助けてくれることになります。

親からの手紙
子どもからの返信

 さて、この講座のハイライトは、参加者のご家族に書いてもらった手紙です。2日目の夜は結構心身共にナーバスになっているときです。ご両親には「お子さんが生まれた時に感じたこと、小さい頃のエピソード、応援メッセージ」などを依頼して書いてもらいます。承諾の上、読ませていただいていますが、涙が出てきます。講座の終盤、「家族の絆」について私の方から伝えた後、この手紙を渡します。そして、返信の手紙を書いてもらいますが、その手紙の泣けること。泣けること。

 よく、日本の学生は記述力がないと言われますが、感動体験があれば、しっかり書く力はあると思っています。親からの手紙を受け取った生徒は改めて存在承認を得られたことで、エンジンがかかっていくのですが、合宿後も親御さんの子どもに対するあり方(接し方)が変わり、生徒にとって受験生として過ごしやすい環境になると思います。

 「このような(手紙を書く)機会を与えてくれてありがとうございました」と、毎年親御さんからお言葉をいただきます。翌朝までに生徒の作文をすべて読み(断って)、投函します。帰宅後、親子のご対面が目に浮かぶようです。

 最後に参加者の作文をご紹介させていただきます。


「勉強合宿を終えて」

 〇〇教室 NH

 塾長講座で、海外で活躍する日本人の医師の方やアフリカから来た留学生の話などを聞いて、自分もどこかで人の役に立てる人間になりたいと思えるようになった。夏休み中の目標をつくることができた。さらに、生演奏や親からのメッセージを聞けて残りの合宿生活を頑張ろうと思えた。

 3日目に今までやってきた事や、先生に教えてもらったポイントを上手く使って問題を解けるようになって成果が出てきた気がしたので嬉しかった。友達とも風呂や夕食の時間にすごく楽しめたので良かった。

 コーチング特スタで、在り方について考える機会が与えられて、今までよりも目標が具体的に定まって、その目標に向けて今後の夏休み、受験勉強を頑張ろうと思う。

 そして、今回参加させてくれた親にも感謝して、先生たちを頼りながら最後までしっかりやり遂げようと思う。


余談ですが、今年は今までのクラス授業形式の授業をやめ、「原田メソッド」を取り入れ、自ら勉強計画を立てることから取り組みました。私たちスタッフは、定期的に面談をし、計画がしっかり立てられているかをチェックし、進捗状況を把握し、応援するだけです。まだ、模試の結果は出ていませんが、かなり成績アップが期待できそうです。更に余談ですが、この間約70人、10食分の食事を献立から買い物、洗い物まで、私ともう一人のスタッフ及び学生ボランティア2名の計4名で賄いました。3㎏減量達成!

仲野十和田(なかの とわだ) プロフィール

 1964年生まれ。東京都板橋区出身。全日本私塾教育ネットワーク理事長。不登校のためのNPO法人フォー・ユー研究会代表理事。1 9 8 6年、「ナカジュク」の前身「仲野学習塾」を創業。現在東京・埼玉に7教室、つばさ高等学院(通信制サポート校)・つばさスクール(フリースクール)を経営。

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