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2019/5 塾ジャーナルより一部抜粋

女子校特集
持って生まれた個性を大切にして
仲間とともに練磨できるのが魅力

 

神戸女学院中学部・高等学部 部長(校長)林 真理子氏

共学化が進む私学教育だが、今、女子校の存在意義はどこにあるのか。公立高校の教諭を経て、母校である神戸女学院中学部・高等学部で英語科の教鞭を取り、現在は校長を務める林真理子先生にじっくりお話を伺った。林先生は、親子3代が神戸女学院の卒業生という、母校愛にあふれた教育者で、「教えて!校長先生シリーズ『才色兼備』が育つ神戸女学院の教え」(中公新書ラクレ)の共同著者である。

 
     

思春期の性差を考慮した
学習方法で成果を上げ
心の発達にも寄り添う

――中高一貫校の共学化の流れがありますが、神戸女学院中学部・高等学部は144年の女子校の伝統を守っておられます。女子校の存在意義をどのように考えておられますか。

林 まず、勉学に目を向けると、日本でトップレベルと言われる大学への進学は、別学(男子校・女子校)の学校が上位を占めています。なぜかと言うと、思春期になりましたら、男子・女子で身体の発達も非常に大きな性差がありますが、心の発達のスピードも違います。

 女性の方が先にお姉さんになり、学習の理解度も違ってくるのです。とくに、理数系においては、男子がわかりやすい授業展開、女子がわかりやすい授業展開があるようです。アメリカの研究によると、女子の場合は、同じ数学の内容でも女子だけで授業を受けた生徒の方が、男女混合授業を受けた生徒と比較して成績が良いというデータがあります。

 男子は割にゲーム感覚で競う方がやる気を起こしますが、女子の場合は1つの法則を細かく分けて、「どうしてこうなるのか?」を丁寧に説明し、ブロックを積み上げるような形でコツコツと教える方が成果が上がります。女子だけのグループで女子が理解しやすい授業を受ける方が効率的ということです。そのことが進学実績にも結びついているのではないでしょうか。

――女子校ならではの魅力は、他にどんなところがありますか。

林 女子がリーダーシップを取ることが当たり前の環境で育つので、ジェンダーの枠組み(社会が定義する女らしさ)を度外視して、「自分がやりたいことをする」ということが身につき、多角的に力を伸ばすことができます。

 また、自尊感情が下がってしまった場合や女性ならではの悩みや判断に困ることなどが起こっても、身近にロールモデル(自分が模範にしたい人物像)がたくさんいますから、「あんな風になりたい」という目標を立てやすいことは大きなメリットですね。同年代や先輩だけでなく、卒業生とも交流できますので、大きな励みになることでしょう。

 そして、自分もまた先輩として、後輩の悩みや不安に真摯に応えたいと思うようになるのです。将来、女性が社会進出できていない分野で、思わぬ"ガラスの天井"を味わったとしても、「いやいや、解決できるはずだ」と勇気が湧いてくるはずです。

――世間には、女子校にまつわる誤解もあるのでしょうか?

林 「人間関係がウエットで、女性特有のいじめがあるのではないですか?」と聞かれることがあります。私は長年、女子教育の道を歩んできましたが、そんなことは全くないですね。低学年の頃は、生徒はまだ子どもなので、意見の食い違いで衝突することも多いですが、そのなかで問題解決能力を培って成長していきます。

 周りの友人も一方に肩入れをするのではなく、中立的に見る力がある生徒が多いと思います。考え方や個性は違っても、お互い大事な仲間だという意識が育っていき、建設的な人間関係を構築することができるようになります。女子校出身者のコミュニケーション能力の高さは誇れるところではないでしょうか。

キャンパスで同じ時間を共有し
お互いを高め合える
一生涯の友情を育んでほしい

――歴史を振り返り、女子校の変遷を教えてください。

林 明治になって女性の教育の必要性にスポットが当たり、女子校が誕生しました。日本では良妻賢母教育に重きが置かれましたが、本校のようなミッションスクールはキリスト教の伝道師の影響を切り離しては考えられません。ミッション系の女子校は、アメリカ・カナダなどから来られた女性宣教師の方が創立された学校が多く、「自分で考え、意見を言って、考えた成果をまとめられる」自立した女性を育てるという教育方針を打ち出しました。

 明治の後半になると、政府の国粋主義的な思想が色濃くなり、「公認の学校での宗教教育の禁止」が発令されましたが、本校の第4代院長のソール先生は、教育の根幹である宗教教育を手放すくらいなら政府公認の学校になる道を選ばず、各種学校となってもやむなしと、教育内容の充実を図りました。時代の波に揉まれながらも柔軟に生き残ってきたのです。

――女子校の展望についてお聞かせください。

林 女性が活躍する時代ではありますが、皆がみな、表舞台に立つわけではありません。それぞれの個性・好みに応じて、ジェンダーや年齢の枠にとらわれないで、自由にのびのびと人生を歩む、それが一番良い人生だと思います。これからも、そのような女性の育成に尽力したいと思っています。自由と自治(個人の権利や自由を認め、自分自身で立てた規範に従って行動する)の精神のもと、自律した女性を世に送り続けたいですね。そのような女子校の校風、各校の建学の精神をしっかり理解していただければ、女子校をめざしていただける方はいつの時代にもあると思っています。

 また、LGBT(性的マイノリティー)についても、これから議論を深めなくてはいけない問題です。本校にもLGBTの生徒さんがいらっしゃいましたが、彼女の個性として周囲から理解され、楽しい学院生活を送られました。今も同窓会に参加され交流を深めておられます。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

林 多感な時期に、同じキャンパスで同じ時間を共有する女性同士の友情は人生の宝ものです。かけがえのない一時代を築くことになると思います。

 卒業後、全く違う人生を歩んでも、遠くに暮らそうと、強い絆で結ばれ、助け合い励まし合う関係が続くのです。また、建学の精神がその後の人生を支え、豊かなものにしてくれます。私自身も本校の卒業生ですが、学院時代に会ったことがない先輩・後輩とも母校愛という架け橋で繋がることができています。

 持って生まれた個性を大切にしながら、仲間とともに磨き合うというのが女子教育の良さなので、既成概念にとらわれずに、自分のチャレンジを大切にする「知的な好奇心」にあふれた方に女子校をめざしていただきたいと思います。

 すぐに結果が出ない、出さないことも教育の重要なプロセスなので、生徒自らそれに耐え、親御さんも信じて待っていただくことが大事です。いろんな意見を素直に聞いて受け入れることができる、そのようなコミュニケーション力がある方は女子校でぐんぐん成長されます。

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