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2018/5 塾ジャーナルより一部抜粋

塾説(塾対象の学校説明会)を成功させるには何が必要か

 

安田教育研究所 代表 安田 理

 
     
 私立中学・高校の校長、広報担当者にとって、塾説はもっとも気の重い仕事ではないだろうか。本当はやりたくないけど、他校も行っているから(最近では公立高校の中にも行うところがある)、やらないわけにはいかない。ではどうしたら効果を上げることができるのだろうか。

「無難に」が横並びを生んでいる

 そう頻繁に足を運んでいるわけではないが、昨日もある学校の塾説に足を運んだばかりだ。が行くと、あれこれ観察する。

 大変おこがましいことであるが、そうした経験から学校に参考にしていただきたいことを記してみたい。ダラダラ文章で書くと把握しにくいと思われるので、項目ごとに参考になりそうな点(〇)、改善したほうがいい点(●)を分けて記述しよう。まず形式の部分から。

〈第1部・形式編〉 案内

 この原稿を書いている3月下旬にも塾説の案内が20校近く届いている。封筒を開けて取り出してみる。判で押したように、「塾の先生方対象学校説明会」「学習塾先生等対象 入試結果報告会」という表題が記してある。

 〇1校、表題の上に『生活指導に一段と力を入れることで、新・進学校を目指します!』 『合格発表数削減の中、GMARCH合格者3年連続増!』といったコピーが記されているものがあった。そこからは、形式通りのものでは伝わらない「勢い」を感じる。

 〇新コースの設置、新校長の挨拶・・といった文言が入っていると、行かなければならないとの思いが強くなる。なかなかこうした事柄はないかもしれないが、淡々と無難に記載するのではなく、足を運ばせる「誘因」となるような要素を工夫して入れたい。

 ●安田教育研究所では月2回(10日頃と30日頃)「安田研通信」を発行し、その中に塾説スケジュールを載せている。29日開催の塾説の案内が11日に届くようなことがある。そうなると、その学校の塾説は載らないことになる。で、「もう少し早く出されたほうがいいのでは」と連絡を差し上げたのであるが、翌年も同じことが起こった。学校はほぼ決まった時期に決まった通りに行うという土壌が染みついていると感じる。

 〇出欠の返信ハガキ、返信FAXに、こちらの名称、住所、電話番号がすでに印字されている学校がある。あるいは変更のある場合のみご記入くださいという学校がある。忙しい身には大変助かる。

 〇駅からバス利用の学校の場合、最寄り駅の路線バスの停留所の位置、塾説に間に合う時刻が記載された紙が同封されていると、調べる手間が省け、大変助かる。塾説といえど、初めての人もいるはずだ。

会場

 ●説明会場までの案内が矢印だけで、ようやく会場入り口の受付で先生の姿を発見、という学校がある。幹部と広報担当だけで行っているなという印象になる。学校としての一体感を感じられない。

 〇その一方、最寄り駅から学校まで、曲がり角ごとに先生が立っている学校がある。そこまでしなくてもとは思うが、参加者の中にこれから塾説に向かうという心理状態が生まれる効果はある。少なくとも校門には誰か(校長より塾の先生をよく知っている広報部長が適任か)が立っていただきたい。

 ●講堂や体育館など広い場所で行われることがある。参加者が多い学校ならいいのだが、高校募集をしていなくて対象となる塾自体が少ない学校がこうした場所で行うと、パラパラになり、気分的にも盛り上がらない。パワーポイントを使用できる場は他にもあるであろうから、参加人数に相応しい場所で開催したい。同じ参加者数でも、密度の違いで、塾に注目されている学校だ、塾に相手にされていない学校だ、といった印象を大きく左右する。

 ●塾説の日時を問い合わせたときに、「広報部におつなぎしますと、かなり待たされたことがある」という塾の先生がいた。この先生に言わせれば、「塾説や保護者向け説明会の日時くらい事務室の壁に貼っておき、事務ですぐ答えられるようにしておくべきだ」という。確かにそうだろう。

お土産・礼状

 以前は、広報担当者は参加者へのお土産として何を用意するか、頭を悩ませたものである。現金、折り畳み傘、時計、手帳、パスモ、お菓子……等、実にいろいろであった。近年は多くの学校が図書カードをお礼として提供している。資料以外一切何もないという学校も増えている。

 〇食事の提供も、ホテル等外部会場でない場合は少なくなっている。12時ごろに終了するので、弁当(助六寿司、サンドイッチなど軽いもの)を提供している学校はまだ多いが、観ていると、学校で食べる人はごくわずかしかいない。顔を合わせた他塾の先生と外で食事をしながら情報交換するという話も聞くので、弁当もいらないのではないだろうか。 食事目当て、お土産目当てで来る人もいないではないので、そうしたものを省く方向でいいのではないだろうか。保護者の目もあり、全体に質素になっている。

 〇2、3日後にお礼状が届く学校がある。これもいらないのではないかと思う。礼状が来る来ないで、学校への印象が変わることはない。郵便代がもったいない。

〈第2部・内容編〉 プログラム、資料

 ●式次第の紙がなく(前に掲示があればそれでもOK)、いきなり校長の挨拶が始まると、この後どのような展開になるのか、また何人の先生が登場するのか見当がつかない。心構えができない。

 〇プログラムの最初に「校長挨拶」とある学校が多数派である。「挨拶」と記されていると、聴き手も挨拶なんだとなんとなく聴き流していてしまいがちである。校長には「わが校が大切にしていること」「今何に取り組んでいるか」「どういう学校づくりをしていくか」……といった長期的視点に基づいたビジョン、ご自分の考えを語っていただきたい。で、プログラム上も「挨拶」ではなく、これらの言葉を入れていただきたい。「挨拶」はやめたい。

 ●昨年のことであるが、いくつかの学校の塾説で、配布された資料を見ていたら、下記のような表記を見つけてしまった。

  • 4年生大学
  • 適正検査型入試
  • 主席で卒業
  • 入試改革第1段
  • 多様な他期間と連携しています
  • ご静聴ありがとうございました

 学校がこんな初歩的な誤字をしていたら、塾の信用を失うのではないだろうか。これらは、当然複数の目で見ていれば気がづくはずで、自分の守備範囲以外のことには関心を持たない、口を出さないという当事者意識の欠如を感じさせてしまう

やっていることの話

 ●どんな業界でも、競争が厳しくなる と製品は似てくる。学校も、今や 「何をやっているか」の羅列では差 がつかない。「論理的思考力」「問題 発見力」「課題解決力」「発信力」 「協働力」……と並べれば並べるほ ど文部科学省のHPと変わらなく なってくる。

 〇「何を」をだけでなく、わが校の生 徒の現状を踏まえてどんな工夫をし て行っているのか、「どう」を語る ことで、自校の力量を示していただ きたい。

 ●塾説も学校説明会であるから、どう しても学校の説明になりがちである。 図の「従来の学校説明会」にあるよ うな要素(教育方針、教育の特色、 学力伸長システム、大学合格実績、 海外研修、補習・講習など)が語ら れることが多い。が、これだけでは 「不人気校」になると捉えていただ きたい。

 〇塾の先生も、保護者の最大の不安が 「わが子がこれからの激動の時代を ちゃんと生きていけるか」であるこ とをわかっている。そうであるから こそ、学校が次の時代を見据えてい るか気にしている。図の時代認識に 当たる要素について取り組み、それ を語れる学校であっていただきたい。

 〇塾の先生対象であるから、保護者に 提供されるもの以上の詳細なデータ を用意していただきたい。保護者と 同レベルのものしかなかったら、塾 で保護者に自信をもって語っていた だけないと判断すべきである。

 〇個人的には新しい発見があるような 材料(今年の受験生の答案の特徴、 併願先の変化・・・・・・)がある とありがたい。塾の先生も、1つで も新発見があると、来た甲斐を感じ るのではないだろうか。

 〇塾説は保護者説明会と違って客観的 なデータ重視になりがちである。が、 「心をつかむ」ことはやはり意図し ていただきたい。私も、教育理念、 教育方針といった抽象的な話はどこ の学校で聴いたのか思い出せないこ とが多い。が、具体的な先生と生徒 との心温まるようなエピソードはい つまでたっても覚えている。塾の先 生が共感できる部分があってこそ、 ファンになってもらえるのである。

入試問題

 ●塾説に伺うと、各教科の先生が出て きて、それも皆が皆「来年も出題傾 向、問題構成、問題レベルは変えま せん」と話すことがよくある。それ だったら、教頭なり広報部長が1人 で4教科なり5教科について話せば いいのではと思うことがよくある。 塾の先生が指導しやすいように、受 験生が受けやすいように、というこ とで変化させないことを強調してい るのだろう。   が、大学入試改革で「知識・技 能」から「思考力・判断力・表現 力」への移行が盛んに論議されてい る中で、それでいいのだろうか。 PISA調査に見られるように、学 力観そのものがグローバルスタン ダードに変わりつつある今、従来通 りの出題でいいのだろうか。

 〇意識の高い保護者には、「わが校は これから生徒が巣立っていく激動の 時代を見据えて、教育内容を先進的 なものに変えています」という姿勢 を示さなければ、選ばれなくなって いる。

 〇入試問題は即アドミッションポリ シーなのであるから、出題を通じで 学校の姿勢を示していただきたい。 それを塾の先生に示してこそ、そう した保護者に薦めてもらえるのであ る。受けやすいけれども、進歩の感 じられない学校だったら、塾の先生 も見どころのある塾生には薦めてく れないのではないだろうか。  以上、塾対象説明会について思って いること、感じていることをいろいろ 書かせていただいた。中には、私の個 人的な感触もあり、普遍性がないもの もあるかもしれない。が、些かでもお 役に立てれば幸いである。

最後に4か条としてまとめて みよう。

 〇「無難に行う」を破棄したところ にインパクトのある塾説が生ま れる

 〇保護者はわが子の将来に不安を 抱いている。それに対して旧態 依然とした説明会では、塾が薦 めてくれない。

 〇「塾説だからデータ中心」―他校 もそうしている―「共感」を得 るエピソードを盛りもむ

 〇案内から式次第まで、一に工夫、 二に工夫


安田 理氏 プロフィール

 早稲田大学卒業。大手出 版社にて雑誌の編集長を 務めた後、受験情報誌・ 教育書籍の企画・編集に あたる。教育情報プロジェ クトを主宰、幅広く教育に 関する調査・分析を行う。 2002年、安田教育研究 所を設立。講演・執筆・情 報発信、セミナーの開催、 コンサルティングなど幅広 く活躍中。

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