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2017/11 塾ジャーナルより一部抜粋

〜永遠に未完の塾学〜

第21回 学力の三層化と高校入試

俊英塾 代表 鳥枝 義則(とりえだ よしのり)
1953年生まれ、山口県出身。
京都大学法学部卒業後、俊英塾(大阪府柏原市)創設。公益社団法人全国学習塾協会常任理事、全国読書作文コンクール委員長等歴任。関西私塾教育連盟所属。
塾の学習指導を公開したサイト『働きアリ』(10,000PV/日)には、多くの受験生
や保護者から「ありがとう」のコメントが。
成りたい人格は「謙虚」「感謝」「報恩」…。

 私が住んでいる市にある唯一の公立高校と、近くのもう一校が無くなることになった。

 「大阪府教育委員会は、2015年度入試から定員割れが続く府立の柏原東高(柏原市)と長野北高(河内長野市)について、2019年4月にそれぞれ近隣の府立高と統合する再編案を決めた。両校とも19年度入試から募集を停止する。(2017年9月1日読売新聞より)」

 どちらの学校も、悪い学校ではない。偏差値は40に届かないが、近隣の、そこそこ真面目な子が在籍する学校である。それなのに受験生が集まらないで、「廃校」になってしまう。

公立高校の入試倍率を眺めて気づいたこと

 平成29年度入試、大阪府内の公立高校のうち高倍率の学校を上から5校並べると、四條畷・高津・豊中・茨木・大手前となる。すべて文理学科がある難関進学校ばかりだ。ベスト20校までに偏差値55以下の学校は1校もない。

 逆に、倍率1.0倍に届かない、いわゆる定員割れを起こしている学校を倍率の低い順に20校羅列したら、すべて偏差値40に届かない学校である。

受験生の三層構造

 私は、学習に対する心構え、勉強への取り組み方、日々の過ごし方などから、高校入試の受験生を偏差値60以上のA層、偏差値45〜59のB層、偏差値44以下のC層の3つに分類できるのではないかと思っている。

 最近の公立高校入試の倍率を眺めてみると、A層の受験校は1.5倍近い高倍率、B層は1.2倍程度の穏当な倍率、C層は1.0倍あるかないかのほぼ全員が合格する倍率、となっている。

 A層は少々危険であっても妥協しないで難関校にチャレンジする。B層は自分の学力を冷静に判断しており、以前とは違って、高望みも、逆に楽も、しない。C層は勉強しないでもどこかの高校には進学できるので、自分の成績で合格できる学校という観点から受験校を選ぶ。

 こうした動向は、私立高校の併願の戻り率にもはっきりと表れており、高偏差値の学校ほど戻り率が高く、なかには30%を超えている学校もある。逆にC層が併願受験する私立高校の戻り率は極めて低く、5%前後の学校も珍しくない。

 そうだとすると、各私立高校の効果的な募集方法も見えてくる。

難関私立高校の伸張策は?

 偏差値60以上のA層は、少々冒険でも最難関校をめざす受験生が多い。さらに不景気もあって、当地では益々公立志向が強まっている。であるならば、まず、専願よりは併願で受験生を多く集めることに的を絞るべきだ。

 そのためには、文理学科10校にもし不合格でも、頑張れば文理学科以上の確率で難関大学に合格できる学校であることをアピールすればよい。具体的には東大・京大の合格実績で最難関公立高校の北野・天王寺に肉薄して、リベンジをめざす受験生の意欲に応えるべきだ。

 当地で最近大きく進学実績を伸ばしている学校の一つに大阪桐蔭高等学校がある。東大・京大に進む生徒の最大の特徴は「地頭(じあたま)の良さ」だと思うが、ICT教育や詰め込み学習はかえって逆効果だ。自分だけの力で自律的に旺盛に知識を蓄積できる人間でないと地頭は良くならない。

 大阪桐蔭卒業生の合格体験記を見ると、東大・京大合格者の多くが、「午後8時まで学校に残って勉強できて、先生方に質問もできた」、だから、「家に帰ってからはゆっくりと過ごして早く寝た」と綴っている。あくまで自律的な学習と、ゆったり思考できる時間の享有、そして規律正しい生活サイクル、この3つが優秀な人材をさらに伸ばす。大阪桐蔭の伸びの秘訣はここにあると、私は見ている。

中堅私立高校の生き残り策は?

 B層は、高望みも、その逆の楽も、したがらない。だから、合理的ではあるが醒めているともいえる受験生の嗜好に合った学校づくりをすればよい。「どこかの大学には行けるだろう」、「学校生活を楽しみ、提携大学枠を活用して、指定校推薦や公募推薦でいい大学へ行けたらうれしい」というのが在校生の一般像だからだ。

 生徒募集対策としては、その学校に進学すればいかに楽しい学校生活が送れるかを上手に見せることに尽きる。学校紹介ビデオは、クラブ活動や修学旅行の楽しそうな生徒の笑顔で埋め尽くすと効果的だ。

 「楽しい」は「厳しい」の反意語だから、親身で優しい先生、緩(ゆる)めの校則、家庭学習はICTか外部委託といった、楽しく見えて抵抗感の少ない方法が、このカテゴリの学校には向いている。

 しかし、楽しいだけだと、生徒の学力がじわじわと低下するおそれがある。連携大学の要求水準に達しない生徒が増えていき、せっかくの推薦枠を満たせなくなってくると大ピンチだ。

 そこで有効なのが、私学だけができる秘策、一点突破作戦だ。提携大学が要求するのが主として英語力であるならば、英語だけを徹底的に鍛える。来たるべき大学入試改革は、この作戦の追い風になるはずだ。

受け皿としての私立高校の浮上策は?

 中学校の成績からあまり受験校を選べないC層の受験生のほとんどは、自分の学力で合格できそうな高校は、そこしかなかったという消極的な理由で受験校を選択している。

 府教委発表の公立高校在籍生一覧を見ると、一部の学校で極端に退学者が多いことを伺い知ることができる。また、不人気の公立高校で定員割れが続き、次々に統廃合の対象になっていくので、通学圏の遠隔化も受験生を困惑させることになる。さらに、厳しい生徒指導をせざるをえないから、それへの不満もくすぶり続ける。

 この状況こそ、私立高校のチャンス、腕の見せどころだと思うが、如何なものだろうか?

 まず、矛盾しているようだが、この層の私学受験生の多くは、実は、早くから将来の職業上の進路を絞っている人が多い。パティシエ、美容師、調理師、アニメーター、ネイルアーティスト、トリマー、声優…明確で具体的だ。進路を細分化して、わかりやすいネーミングでコース名を提示してあげれば、それだけでその高校への進学を決める中学生も多い。

 次に、いくつかの私立高校で始まっているが、高校を退学した生徒、中学時代に不登校であった生徒を受け入れるコースの創設も、社会的には大変意義のある試みだと思われる。

 今は戦後かつてない激流の時代であり、学校も、塾も、大胆でしかし本質を見失わないかじ取りを求められている。

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