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2017/11 塾ジャーナルより一部抜粋

海外大学医学部という選択肢 第3回

私立・国公立大学医学部に入ろう.com代表 平野 晃康
名古屋セミナーグループ医進サクセス室長を経て、現在は私立・国公立大学医学部に入ろう.com代表。医療系・難関大学個別指導塾CMP代表。私大医学部受験の指導と正しい入試情報の普及に努める。入試情報誌「私大医学部入学試験を斬る2013」(名古屋セミナー出版)を編集・執筆、医療系データブック(大学通信)にコラムを寄稿。

 ヨーロッパ、アメリカ、中国などの大学の一部には、卒業すると日本の医師国家試験受験資格を得られる大学があります。

 その中には、日本より入学試験が簡単(偏差値55程度)で倍率が低く、日本人を含む多数の留学生を受け入れている大学もあります。

 また、日本政府の方針として医療の輸出や医療ツーリズムを推進するなど、今までは事実上日本人だけを対象にしていた医療が外国人も対象とするようになったことで、若いうちに生きた英語に接し、多様な文化に接した経験のある医師の需要は今後増加すると思われます。

(1)海外大学医学部の卒業生にも日本の医師国家試験受験資格がある。

 海外大学医学部のうち、文部科学省が定める基準を満たす大学を卒業し、厚生労働省へ申請を行うと、@医師国家試験受験資格、または、A医師国家試験予備試験受験資格を得ることができます。(@、Aのどちらになるかは、卒業大学の医学部の教育年限、専門科目の履修時間や現地の医師免許の有無などによって判断されます。また、申請書類や内容に不備があった場合は受験資格を得られない場合があります。)

 @の医師国家試験受験資格を得られた場合は、日本の医学部卒業生と同様に医師国家試験を受験することができます。一方、Aの医師国家試験予備試験受験資格を得られた場合は、予備試験を受験して合格したのちに医師国家試験を受験することになります。ハンガリー国立大学医学部の卒業生は、@医師国家試験受験資格を得ています。

(2)海外大学医学部での学生生活(ハンガリー国立大学、チェコ国立大学)

 10代後半から20代半ばの若い時期に海外での生活体験は人生に多くの実りをもたらします。まず、英語を含む生きた外国語が習得できること。次に、多様なバックグランドを持った同年代の学生と接することで視野が広がり、人生の選択肢が増えること。最も大きな実りは、保護者のもとを離れることで独立した大人へ成長できることです。

 海外大学医学部で学ぶこととの利点として、ハンガリー国立大学で学ぶ日本人医学生をサポートする、ハンガリー医科大学事務局の中谷さんは「海外大学医学部で学ぶことの最大の利点は英語力が身につくことだと思います、最近は外国人観光客や労働者も増え、英語で診療できる医師のニーズは高まっています。中には、医師を海外に派遣して英語研修をさせる病院もあるようですが、海外大学医学部を卒業した医師であれば、即戦力として活躍できます。」と語ります。

 このように、海外大学医学部への進学は、その人の長所を伸ばし、可能性を引き出して広げていくというメリットがありますが、海外で完全に孤立し、一人だけで生活をするとすれば多くの困難を伴います。まして、医学生として日々多くの学習をしなくてはいけないのであればなおさらです。

 しかし、海外大学の医学部の中には、昔から多くの留学生を海外から受け入れており、留学生へのサポートの知見が蓄積されている大学や、留学生のためのコースを設置している大学もあります。

 例えば、ハンガリー国立大学医学部、チェコ国立大学医学部では入学前教育として半年〜一年の予備コースを設けており、英語、ラテン語、化学、生物学、物理学、解剖学など、医学部入学後に必要となる知識をあらかじめ学ぶことができます。

 ハンガリーには4つの国立大学医学部(デブレツェン、ペーチ、セゲド、センメルワイス)があります。ハンガリーは第二次世界大戦やその後のソ連の影響で一時、国内が混乱しましたが、元来教育が盛んな国で、人口当たりのノーベル賞受賞者数が世界で最も多く、歴史的にヨーロッパ全土から留学生が学びに来る国です。医学部にも外国人留学生向けの英語コースが設置されており、アメリカ、カナダ、スゥエーデン、韓国、台湾などの留学生が学んでいます。日本人は4大学合わせて300名以上が所属しており、卒業生がすでに日本国内で医師として医療に従事しています。

 ハンガリー国立大学による支援以外にも、ハンガリー医科大学事務局の支援サービスとして、各大学のキャンパス近くに、日本人及びハンガリー人のコーディネーターが常駐しており、学習・生活面での充実した支援体制を整えています。

 チェコ共和国でも複数の大学が留学生の受け入れを行っていますが、2017年9月現在で留学しやすいのはカレル大学とマサリク大学です。カレル大学はチェコ共和国の首都プラハにあり、1300年代からの伝統を持ちます。マサリク大学はチェコ第二の都市ブルノにあり、こちらも非常に長い伝統があり、近くには遺伝の法則で有名なメンデルが実験を行った教会があります。

 チェコ国立大学医学部も留学生向けコースがあり、大学スタッフからの支援を得られるほか、日本のチェコ医科大学事務局が日本人留学生向けの支援サービスを行っており、日本人及びチェコ人のコーディネーターによる学習および生活の支援体制を整えています。

 この支援体制についてチェコ医科大学事務局の辻さんは「現地には日本人スタッフが24時間体制でサポート体制を作っています。チェコ国立大学医学部は2014年に募集を開始したばかりですが、ハンガリー国立大学医学部で得られた経験をもとに、役所などへの届けから急病の時の病院の手配、大学生活全般への相談など、幅広いサポートができる体制を作っています。」と語ります。

(3)海外大学医学部のデメリット

 メリットがあり、支援体制の整った海外大学医学部ですが、デメリットもあります。

 @9月入学のため、少なくとも1年卒業が遅れる。

 海外大学の多くが9月入学です。そのため、現役で日本の医学部に進学した人に比べて少なくとも1年、医師国家試験の受験が遅れます。

 A入学時に高い偏差値は必要ないが、英語カリキュラムでありかなりハード

 授業はすべて英語で行われ、高校よりも高度な内容の授業がかなりのスピードで展開されます。また、座って授業を聞いているだけではなく、積極的な発言など授業への参加が求められ、また、患者さんと接する実習も多いなど、高校の延長のような日本の大学とは全く異なる力が求められます。

 ハンガリー医科大学事務局の中谷さん、辻さんは「海外大学医学部は、入学までは日本の医学部に比べると圧倒的に簡単です。しかし、入学後は医学に対する熱意を毎日問われます。才能がなければできないわけではありません。しかし、毎日地道な努力を積み重ねられる気持ちがあるかが問われます。また、私たちはそういう人をサポートしたい。」と口をそろえます。

 実際、日本の医学部受験に失敗した人や会社員だった人がハンガリー国立大学医学部を卒業して医師国家試験に合格したケースもあります。このように、医学への熱意のある人は成功する一方、毎年、脱落して中退し、日本に戻ってきてしまう人もいます。
最近、海外大学医学部への進学がもてはやされていますが、中退すれば高卒となり、取得した単位も日本国内の大学では認められないこと。全員が卒業までたどり着けるわけではないことを十分理解したうえで、医師となる方法の一つとして検討するとよいでしょう。

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