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2017/11 塾ジャーナルより一部抜粋

小学校英語教育 第1回

森 貞孝(もり さだたか)
慶應義塾大学(経)卒、私塾協議会会長、全国学習塾協会理事長等歴任。全国学習塾協同組合理事長現職。著書「英語ショック」(幻冬舎刊)

 いよいよ先行実施まで5カ月を切ってきた。各県ともそれぞれに準備の動きが進んでいるが、20年以上前から小学校で英語教育に取り組んでいる石川県金沢市の状況を見てみよう。

 金沢市は、1995年に世界都市構想を打ち出し、その一環として積極的に小学校の英語教育に取り組むことを決めた。韓国が世界戦略としての英語教育を打ち出す2年前のことだ。

 まだ中国も韓国も英語教育に取り組む以前に、小学校1年生から英語教育を始めようという試みは、先見の明があったとしか言いようがない。

小学生への英語教育

 初めは小学校1年生から6年生まで年間10時間の英語の授業だった。中学1年の授業をそのまま下ろしてきたり、教育関係者にアドバイスをもらったり、民間の塾に協力を頼んだり、試行錯誤を重ねた。

 3年生以上の指導には、英語指導講師やインストラクターを新たに採用し、学級担任とチームミーティングをして、授業のプランニングを立てたりした。手さぐりで、みんなで一つずつ作り上げていった。

小中一貫英語教育特区へ

 このような実績が認められて、今から13年前、「小中一貫英語教育特区」に認定された。これで教育課程の弾力的な運用ができるようになり、小学校から9年間のトータルでの英語教育がスタートした。

 金沢市の小中一貫英語教育は、自分の考えや意見、ふるさと金沢を表現するコミュニケーション能力の育成を目標としている。

 小学校3年から6年までは、標準指導時数35時間以上の英語科授業の実施。小学生の英語指導では「サウンズグッド」というオリジナルの教材を作成、小学校3年生から使用。コミュニケーションを主体にした内容だ。1年から6年まで週に1回以上、15分程度のショートタイムの授業(いわゆるモジュール授業)をも併用して授業の復習や基礎的な英会話などを学ぶ。小学校4年生までは「聞く」「話す」が中心で、5年生からは「読む・書く」も段階的に指導する。6年生からは英語特区の特例措置として「教科書の早期給与」が可能になったため、中1の教科書を活用した授業が行われている。これについて金沢市教育委員会の羽岡清美指導主事は「小学校の副読本作成にあたり、1996年度から実施している『英語活動』で、児童がどんな言語材料にふれているかを調べてみました。例えばI am〜、I like〜、といった表現は、自己紹介の時に使うものとして、すでに小3段階でふれています。小6まで拾っていくと、一部は中2の内容にまで及んでおり、小学校で学習している英語は、中学校入門期の言語材料と重なることがわかったため、小6での中学校教科書の使用に踏み切りました。」(研究大会参加者への質問に対しての回答引用)

中学の英語教育はどう変わったか

 中学校では金沢版中学校英語副読本「This is KANAZAWA」の活用。金沢の歴史や文化を発信できる英語力の習得を目指した指導と、年間140時間(国の標準授業時数105時間)の授業時数を設定、4技能をバランスよく指導する。

 すべてが初めてのこと、中学校では、小学校から上がってくる生徒たちが今までと全く違っているのをどうしたらいいか。金沢市では、一貫教育を始めるにあたって、様々な議論が行われ、研究が進められた。既に学んできた英語をスムーズに中学に移行するために、小中合同の研修会や、校区別の連絡会、相互の授業参観、レベルのチェックなど連携を強化するための情報交換を行った。

着々と実績を上げつつある英語指導

 「世界の中で独特の輝きを放つ世界都市金沢の実現」を目指す金沢市の英語教育は確実に成果を上げている。

 金沢市では、英語教育の成果を検証し、英語力を測る目安の一つとして、児童英検を導入した。

 文部科学省の平成19年調査(英語教育改善状況調査)によると、中3生では英検3級以上に相当する英語力の割合は金沢市では54パーセント(全国平均32・4パーセント)で、国の目標である中学卒業生の平均が英検3級程度を達成している。

 また、英検と併用して英検で制作している「英語能力判定テスト」を中3生対象に全中学で実施し、英語教育の学力の把握に利用している。この結果は、金沢市の英語教育の成果が示されて、教職員の励みになっている。

金沢としての特色を出すために

 英語教育の一環として、小中学生がガイド役を務め、金沢にいる留学生に兼六園を英語で案内する活動に取り組む小中学校や、年間10時間を金沢の歴史や文化を学ぶ時間にあて、そのための副読本もオリジナルに制作し、そこには英語で金沢の紹介が書かれている。将来海外へ行ったときに、故郷の紹介をして深い国際交流が実現できる機会になる可能性もある。

 今、金沢市は全国から注目を浴び、次々に視察に訪れている。平成28年度からは、「金沢ベーシックカリキュラム」を用いて小中一貫英語教育をより一層推進していく。

 金沢が英語教育をスタートさせて既に20年経つ。多くの教師たちの努力で、素晴らしい成果を上げるようになってきた。来年から先行実施を始める多くの自治体が、金沢市の躓きや成果を検証し、よりよい英語教育をしてほしい。

 そして、全国の学習塾もグローバルな人材の育成に向けて、新しく始まる小学校の英語教育に民間の立場で、強力なサポートができる態勢を作り上げて欲しい。

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