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2017/5 塾ジャーナルより一部抜粋

時代の変遷とその要請で大きく変わる中学受験
洗練してきた2017年の中学入試

  未来教育研究機構 理事長 樋口 義人  
     

 AI(人工知能)技術の発展、そして、あらゆるモノがネットにつながるIoTなど、第4次産業革命の到来という今日、中学入試も変化してきており、それらを報告する。

 2月14日、文科省が、2020年から小・中学校で順次実施される新学習指導要領を公表した。既報の2020年からの大学入試改革とあわせて、今後、日本の教育の大きな変革がスケジューリングされている。

 2017年の中学入試は、早々とこれらを先取りしてきたようで、その具体的な動きを見てみたい。

受験生数が増えた
2017年度の中学入試

 昨年秋の首都圏4大模試(首都圏模試・四谷大塚・日能研・SAPIX)10月度の受験者数が昨年比97.8%と微減で推移していた。これは、今年度の小学校の卒業生数が同様に減少(昨年比98.1%)していたから、受験熱の急激な低下はないと考えられていた。それでも受験率の低下は免れ、受験者数が横ばいで推移してくれればよいのだがという大方の希望的観測だった。

 ところが、結果を見てみると受験者数が4万4,150名になり、前年比3.3%増加、受験率も14.68%から15.12%に大きく伸びた。

 【グラフ1】で見られるように、3年連続の伸びを記録したわけで、たくましい私立志向が感じとれる。

 ただ、苦戦した女子校の中堅校の一部の中に、この伸びが信じられないとコメントする学校があった。つまり、増加したことが実感できた学校とそうでない学校があったという一面もみられた。

 ここで、その増加した要因を見てみよう。

@ 2020年から大学入試の大幅な改革が予定されており、私立中・高一貫校が有利との観測が広く知られるようになった。

 知識・技能は従来通りしっかりと身に付けた上で、主体的な深い学びの度合いを試す受験に改革される。思考力・判断力・表現力を見るために、国・私立大学で記述式の解答を求めるようになる。このような新しい学力ともいえる力を試す受験には、私立中・高一貫校のほうが公立中・高校より対応が早いと報道されている。

A 2020年から施行される新学習指導要領では、英語の教育が小学校でも始まり、中学校でもレベルアップが確実で、プログラミング教育の開始などいっそう過密なカリキュラムになる。教育の現場での取り組みが大切になり、私立有利が予測されている。

B 将来、予測が困難な社会で活躍するためには、中・高時代にいろいろな体験をして、文科省のいう協働性、主体性、人間性を養い、答えのない問題にいかに対処できるかである。ここでも、創意工夫の施された私立中・高一貫校の教育が望まれる所以である。

C 公立中高一貫校の受検生の私立併願が増加したものと推定されている。首都圏模試センターでは、昨年の公立中高一貫生の受検生1万8,025名中、約4,000名が私立中を併願していたが、2017年の今年度は1万8,059名中、約4,500名が私立中を併願していたものと推定している。

 公立中高一貫校の受検は大変厳しいものがあり、約6倍という高倍率が課せられる。不合格の確率が高いから、私立の一貫校を併願して保険をかけておこうという受検生が増えてきたのである。

D Web出願校が急増し(2016年56校→2017年126校)、それが出願を促進し、受験生数の増加に寄与した【表1参照】。受験前日にも、そして極端な場合は、試験当日の受験前に出願するという例があった。

 ほぼ大学受験と同レベルの割合になったが、さらに来年度に向けて準備をしている私立中・高校があり、さらに増えて便利になる。立教新座、実践女子、穎明館が導入する。そして、導入を検討している中学校は、神奈川大学附属、東海大学付属浦安、吉祥女子、世田谷、聖望などである。

E東京都では、今春から所得が760万円未満の世帯5万1,000人を対象に、私立高校の授業料が無償化される。この高校の月謝の無償化が、私立中学校に受験・進学する動機の後押しをすることは間違いない。ちなみに、東京都に在住している生徒は、他府県の私立高校に通学してもこの恩恵が受けられる。

入試問題がよりハイセンスに

 2020年の大学入試の大きな改革を目前に、中学入試がそれらを体現するかのように、その出題がいろいろな局面で洗練されてきた。

 アドミッションポリシーを鮮明に示すのが入試問題である。どのような生徒像を期待しているのかが入試問題に克明に込められている。そして、カリキュラムポリシーの入り口であるのも入試問題である。

 麻布中などでは、入学試験そのものが“授業”であり、受験生に語りかけながらヒントを忍ばせていて、発見したりしながら学ぶ喜びを感じてほしいという。入試問題をむしろ楽しみながら解いてもらいたいとも話す。

@ 麻布中・海城中の高度な論述力を試す社会科の記述式

 麻布中の社会科では、父子で、田園調布・同潤会アパート・多摩ニュータウンなどを話題にした長文を読ませて最後にこの設問である(一部省略)。

 海城中の帰国生入試の社会科は、まず、イギリスのニュータウン(NT)と日本のニュータウンの作り方の違いやその歴史などについて解説した本文を読ませる。小説問の後に記述式解答を3問(順に110字以内・140字以内・100字以内)が課されていた。最後の設問をご紹介する(一部省略)。

A 開成中の社会科で今年もご当地(東京)問題

 昨年に続き、今年も開成中の社会科では、東京のご当地問題・“東京物語”が出題された。関西圏の生徒はおろか、首都圏近郊の他県の受験生も苦戦していた模様だ。

[1] 「東京をテーマにしたグループ学習中の4人の中学生の会話です。」との書き出しで始まる。問2で「小池百合子」を書かせていた。

[2] 「人やものの移動に関連して、あとの問に答えなさい。」

B センスの良い記述式出題

 これまで算数の記述式の解答を求める出題は、主に解き 方とか解く過程の考え方、およびその説明を求めるものが多かった。駒場東邦中では、日頃算数に興味を持った生活をどのくらいしているかを問う。

 慶應義塾湘南藤沢中等部の国語で、論理的な考察ができるか、そしてそれをいかに表現できるかを問うハイセンスな出題。


C 多彩な記述問題が出題された

 光塩女子学院の国語では、受験生にレベルの高い題材の本文(渡辺和子の文章による)を読ませた上で答えてほしいというメッセージが伝わってきた。

 十文字中の思考力型入試(社会系・理科系の記述式)で、昨年に続き、ロボットについての記述を求めていた。

 見てきたように、記述問題の出題が増えて、中身も考えられ工夫された出題になってきている。受験生は過去問を通じるなりして、この新しい傾向の対策を充分に施す必要がある。

 将来、AI時代を迎え、大人になったとき、答えのない社会問題を見出し、解決していかねばならない。そのために今回の大学入試改革があり、それに向けて日本の全教育機関が準備しているのである。

 鈴木寛先生(文部科学大臣補佐官、東京大学・慶應義塾大学教授)は、「記述問題を大学入試でも出題するようになるが、これは生徒諸君に読書を促したいからだ」と述べている。たくさん本を読んでたくましい受験生になってほしい。

来年の中学入試に向けて始動

 早々と、来年の中学入試についての改革が発表されている。学校間の募集競争の熾烈さが背景にあり、早く告知して、来年の入試に備えたいということだ。

 八雲学園、文化大杉並中、青山学院横浜英和の女子校3校が共学校になる。

 八雲学園は、さまざまなグローバルプログラムを通して広がる八雲学園の可能性を男女の隔てなく共有したいとしている。募集要項の詳細は、近々発表される予定。文化大杉並中は、中高ともに共学化し、『大学入試新テストに強い進学校』をコンセプトとした21世紀型教育を推進する学校に生まれ変わる。青山学院横浜英和は、すべて4科目入試になり、1クラス増の5クラス編成になる。

 大妻中野中が、女子校では初の算数1科目入試を2月3日午後に実施して理数系の女子の強化を狙う。

 共立女子中は、2月3日午後に「インタラクティブ入試」を新設する。

 英語インタラクティブトライアルは、ゲームや対話を通して、英語の理解力や英語を用いての行動力等を測る試験としている。
 これら以外に、要項の変更を検討している私立中学校が数多くある。聖学院中、明法中、文教大付属中などである。

(余談)
 説明会など受験生とその保護者が参加する行事を、小規模に頻繁に実施した私立中学校が受験生を多く確保したように思う。保護者も本人も少ない人数の中で聞きたい、参加したいということでしょうか。

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