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2016/7 塾ジャーナルより一部抜粋

〜永遠に未完の塾学〜

第14回 BABYMETALと、橋下氏は勝ち続け、小保方さんがそうでない理由

俊英塾 代表 鳥枝 義則(とりえだ よしのり)
1953年生まれ、山口県出身。
京都大学法学部卒業後、俊英塾(大阪府柏原市)創設。公益社団法人全国学習塾協会常任理事、全国読書作文コンクール委員長等歴任。関西私塾教育連盟所属。
塾の学習指導を公開したサイト『働きアリ』(10,000PV/日)には、多くの受験生
や保護者から「ありがとう」のコメントが。
成りたい人格は「謙虚」「感謝」「報恩」…。

ウイ・アー・ベビーメタル!

 皆さんは、今、世界中から注目を集めている(と私が言ったら、「今頃知ったん?さすが年寄り!」と何人もの塾生からつっこまれたが…)平均年齢17歳に満たない女の子3人組のヘビーメタルユニットBABYMETALをご存知だろうか?

 今年の四月に、1963年の坂本九さんのアルバム以来、日本人としては53年ぶりにビルボード誌のアルバムチャート40位内に入ったというニュースが流れてきて、私もyoutubeでライブのビデオを見てみた。

 どうせゲテモノだろうと期待せずに眺め始めたのだが、今では毎晩、数曲楽しんでから寝床へ行くほどハマっている。イギリスやアメリカやヨーロッパ大陸のファンの真似をして、リードボーカルのスー・メタルが「ウイ・アー」と叫ぶと、歳を忘れて深夜「ベビーメタルゥ!」と咆哮しているくらいだ。

小娘たちがこれからの
日本の進む道を照らす

 彼女たちは、最初から世界のトップを狙って、練りに練ってこしらえあげられてきた一級品の集合体である。いわばオールジャパンが、寄ってたかって生み出した最高傑作がBABYMETALなのだ。

 Perfumeで海外進出に成功した芸能事務所アミューズが、世界の音楽界で残された未開地はヘビーメタルとアイドルの融合だと判断して、それは、日本人以外ではなしえないことだと見切って売り出したこと、最初から世界の頂点を意識して超一流の作詞家、作曲家に曲を依頼し、舞台監督やステージの構成からダンスの振付までわが国の第一人者の協力を仰いだこと、バックバンドの「神バンド」をその道のプロたちが崇拝してやまないほどの巧者揃いで固めたこと等々、徹頭徹尾わが国のトップでかためきった一大プロジェクト、それがBABYMETALなのである。ボーカルの中元すず香も、ただのアイドルではない。かのスーザン・ボイルを生んだイギリスの有名番組『Got Talent』で、観客を総立ちさせるほどの歌唱力の持ち主なのだ。

 世界中がBABYMETALに熱狂するのもむべなるかな、である。

児童虐待の疑いも…

 実は私も、2年ほど前からBABYMETALの名前だけは知っていた。それは一種のゴシップネタとしてだ。「最近、海外でBABYMETALなるバンドが注目を集めているが、メンバーは年端もいかない中学生だ。親は何をしているんだ!」という記事だった。

 彼女たちのダンスは、観客が皆驚嘆するレベルの見事なものだが、時にはステージの陰でうずくまるほどの過酷なものでもある。メンバーが呼吸困難で救急車で運ばれたことさえあるらしい。

 正直、児童相談所に通報したとしたら、まわりの大人たちは皆有罪であろう。

 しかし、それだけの無理をしないと、世界を驚かせるだけのものはできないのではないかという思いも私の胸を去来する。

並の努力では大変貌は無理

 私は、高校2年生のときの懇談会で志望大学を担任に告げたところ、鼻で笑われた。自分でも、その時点での成績では到底不可能だということはよくわかっていた。

 それで、相当の「無理」をした。頭を丸めて部屋にこもり(出られないように外から鍵さえかけた)、友達付き合いも絶って一心不乱に勉強だけに専念した。

 そんな無理な生活を1か月もしたら、それまで全く解けなかった数学の応用問題が難なく解けるようになっていた。苦手だった英語も模試で満点近くとれるようになった。全国で、二万番ほど順位も上がった。

 しかし、人生で無理ができたのはその一回だけだ。あの無理をもう一度しろと言われても御免こうむる。

 しかし、自分の経験からも、今の自分とは違う一段上のステージにのし上がろうとしたら、何か特別な無理をしないと質的な変貌は遂げられないのではないかとは思っている。

橋下氏が強い理由

 大阪市長を引退した橋下徹氏。久々に登場した『行列のできる法律相談所』は、早速、高視聴率だそうで、その悪運の強さ、引きの強さ、へこたれなさには心底驚嘆する。

 その強さの理由は何かと考えたとき、私はその強靭さのルーツは北野高校合格にあったのではないかと推測している。

 中学時代の橋下氏は私以上の成績不振者で、大阪一の難関校、北野高校を受験したいと言ってやはり担任に大笑いされたらしい。それでなにくそと発奮して合格したのだそうだが、その時、相当無理をしたはずと私は踏んでいる。

 私は一回の無理で懲りたが、彼は同じことを早稲田の受験、司法試験でも繰り返している。普通の人間は、無理は一回で懲りる。それを何回もやり遂げた異様な強靭さが、橋下氏の強さの秘密であろう。

 何が起ころうが、おれが少々無理をすれば今までも何とかなってきたし、これからも大丈夫だという確信を持った人間、これは強い。

対極は小保方さんか?

 まだ最終の結論は出ていないから軽々しくは論じられないが、橋下氏と好対照なのが小保方さんではないかと私は想像している。

 彼女のご両親はともに学者さんだそうだ。大学は推薦合格で大学院も同様。いつも「ひき」に恵まれているというか、周囲が上手によい境遇をあつらえてくれてきたように感じられる。体格や人相が変わるほどの努力、無理をしたかというと、疑問符がつく。

 私たちがなんとなく彼女に感じる違和感は、そこに原因があるように思われる。

推薦入試は就職で不利?

 去年、塾で懇談をしていて、ある高校の、推薦入試で大学に合格しやすいコースを勧めたところ、親御さんが「担任から、推薦で大学へ行くと就職の際に冷遇されて非常に不利だと聞いたのですが…」とおっしゃって、びっくりしたことがあった。

 それからよく調べてみると、確かにどの高校の先生も「実は…。」と同じことをおっしゃる。

 企業は、以前は大学名で選別した、次に大学名だけではあてにならなくなって高校名を聞くようになった、さらに最近は高校名でも不確かだから、実力で合格したのか推薦なのかまで就職面接で尋ねることがあるという。

 ある程度の「無理」をしたかどうかを、その人を判断する基準として、企業も知りたいのだろう。

塾と、無理な勉強

 日々こつこつと小さな努力を積み重ねておけば、無理をしなくても少しずつステージを上がることができる。

 しかし、その「日々こつこつ」がなかなかできないから、人は苦しむことになる。

 挽回の方法として、ある程度の「無理」を一定期間、自分に強いることが必要な時もある。

 マックス・ヴェーバーは、人を導く権威の類型として、法による「合法的支配」、風習による「伝統的支配」、指導者の個人的な資質による「カリスマ的支配」をあげ、カリスマ的支配だけが大きく現状を打破する契機になりうると喝破した。

 私たちは、子どもたちに「無理」をさせるだけのカリスマ性を持っているであろうか?

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