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2014/9 塾ジャーナルより一部抜粋

地域の学習塾から世界へ挑戦
ロボットと科学実験で始める国際標準の人づくり

  一般社団法人国際科学教育協会「子どもの理科離れをなくす会」  
     
 科学立国であるはずの日本で、子どもの理科離れが問題になって久しい。2002年に発足した「子どもの理科離れをなくす会」は、子どもたちに科学の楽しさを体験させ、科学を通した人間教育、人材育成の活動を展開している。2005年には世界40ヵ国が参加するロボカップジュニアで初優勝を飾り、成果を示した。代表の北原達正氏は、「自由に使える道具と継続的に学べる環境があれば、子どもは驚くほど伸びます」と話す。その第一歩となるロボット体験教室を取材した。

ロボットを制御する
プログラムに挑戦

 夏休みたけなわの8月14日、京都市伏見区の呉竹文化センター会議室は約50人の親子連れで埋まった。

 今回のテーマは「宇宙探査ロボットを作ってみよう!」。11月に大阪で開催されるスペースロボットコンテスト(SRC)に向けて、自律型ロボットのプログラムづくりに挑戦する。SRCは月面基地を建設するという設定。決められたコースを周って、白と黒のコンテナをそれぞれ所定の棚に運ぶ。制限時間内にいくつ運べたかを競うコンテストだ。韓国や台湾など海外チームも参加し、JAXAの宇宙開発者の前で競技とプレゼンを行う。SRCは今年第11回目を迎える協会オリジナルのコンテスト。過去10人の上位入賞者のうち、5人がロボカップジュニアでも優勝している。

 体験教室で使用するロボットもコンテストと同じタイプ。センサーを最大11個まで取り付けられ、工夫次第で自動気象観測装置などにも転用できる。

 最初に北原代表がNASAの火星探査ロボットについて説明し、「同じものをつくろう」と子どもたちの意気を高める。

 会場には、大学生3名が待機しており、プログラム作成手順も大学生が説明した。協会には全国の大学生100人以上がサポーターとして登録。各地で開催される科学教室や体験教室で子どもたちをサポートしてくれる。

 子どもたちは2人1組で、チームをつくり作業を進める。この2人1組の作業にも高い教育効果が隠されている。始めはプログラムの入力練習。指示された通りに、左右のモーターの駆動、時間、回転方向などの数値を入力し、プログラムをロボットにダウンロードする。実際に動かす前に、ロボットの到達ポイントを予測する。スタートの合図でロボットが一斉にガーッと音を立てて動きだし、子どもたちは歓声をあげて大喜び。しかし、後退や半回転の後に停止した地点は、予測とは大きく離れていた。ここで、プログラムに入力した数値とロボットの動きの関係をじっくり考えることになる。

 さて1番目のミッションは、会場に設置された月面のスタート地点から直進して基地内にピタリと停止すること。自分たちでプログラムを作成して、実行する。制限時間は15分。その間、何度チャレンジしても構わない。子どもたちは直ちにプログラムに取りかかり、我先にと月面にロボットを置く。しかし、直進しても途中で止まってしまったり、基地からはみ出したり、なかなか成功しない。再びパソコンに向かう顔つきは真剣そのもの。2人で相談しながら数値を修正していく。

海外のトップジュニアと
協働する国際合宿

 子どもたちがミッションに取り組んでいる間、北原代表による保護者対象のミニ講演会が行われた。

 同協会は、全国の学校や学習塾でもロボット研究室や科学実験を継続的に実施し、多くの子どもたちを指導している。そのなかには入会して1年足らずでロボカップジュニアで優勝した中学1年生や、シンガポールで地元トップ大学の学生を打ち破った小学5年生など、才能豊かな子どもたちもいる。

 北原代表は、協会のコンセプトである「科学を通した人間教育・人材育成」について、「現代社会では、文系・理系に関わらずあらゆる分野で科学が必要である。この会は、科学者やロボット技術者を育成することを目標にはしていない。価値観や文化の異なる人と協働できるグローバルな人材には、客観的にものごとを測定し、論理的に分析する力、相手を説得できる表現力が求められる。これには、経験が不可欠である」と説明した。

 協会では、ロボット研究だけでなく天体観測や電子体温計づくりなど科目横断的に知識を活用できる課題を設定し、PBL型(問題解決型)で指導。自分で実験、検証しながらステップアップできるカリキュラムを編成している。最上級の‘Professional’コースでは学会での発表が目標だ。

 また海外で活動することを前提に、国際合宿を年に数回実施。海外のトップジュニアと2人1組、あるいはチームで課題に取り組ませ、科学を通してコミュニケーション力を育成している。

 来年度から始まる東大の推薦入試では、ロボカップジュニアなど国際科学技術コンテストやSAT、TOEFLが評価対象となる。京大も2016年度から推薦入試を開始する。大学入試においても、偏差値とは別の新しい評価基準が導入され始めている。今の小学生が大学生になる10年後には、大学入試も大学教育もさらに大きく変化しているはずだ。東大生の多くが外国人で占められ、講義は英語で行われているかもしれない。社会で必要とされる職種も変わっていくだろう。

 北原代表は保護者に向けて、大学でも社会でも通用する国際標準の力を、小学生から身に付けさせるべきと力説した。

塾の教室から世界に羽ばたく

 会場では、子どもたちが最初のミッションを終了していた。

 2番目のミッションは舞台を火星に移し、氷を探索する。そのために、氷と赤外線センサーを使用。まず、氷に近づけた時のセンサーの値を測定する。

 プログラムは、北原代表が無条件ループの‘if〜else’の構文を解説。センサーの値が30%より小さい場合と、それ以外に設定し、それぞれロボットがどう動くべきかを考えさせる。論理的思考である。一人ひとりがじっくり考えた後に、ベアの相手と相談しプログラムを入力する。正解は、ロボットを動かしてみなければ分からない。

 会場後方に火星と、その中央に氷が設えられ、全員が集合。ロボットを一斉にスタートさせる。プログラムが正しければロボットは氷に近づき、間違っていれば迷走する。スタートボタンを押した途端、歓声と落胆の声があがる。12チームのうち6チームが氷にたどり着いた。

 体験教室終了後、子どもたちは口々に「おもしろかった」「続きがやりたい」と言いながら、顔いっぱいの笑顔を見せてくれた。

 北原代表は、「科学でも世界に挑戦できます。そのことをできるだけ多くの子どもに知ってもらい、継続的に学べる環境を与えたい」と話す。

 そのため、子どもたちに継続的な教室を提供する、協会とタイアップしてくれる学校や塾を募集している。

 塾にとってのメリットには、@科学をキーワードにした新しいコンセプトの授業を展開できるA学校の学習内容を基本にしているため、学力向上が期待できるB集客効果があるなどがあげられる。また、塾の教室で開催できるようにロボットや天体望遠鏡などの実験機材は、協会が人数分用意する。そして、一番の魅力は本格的な発表の機会と国際標準の評価が与えられることである。世界をめざしたい子どもは少なくないはず。各地で開催される体験教室には毎回大勢の子どもたちが参加している。

お問い合わせ
一般社団法人 国際科学教育協会
TEL 075(612)6814
メール iseki@e-kagaku.com (担当:井関)

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