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2014/7 塾ジャーナルより一部抜粋

塾講師の熱意とスキルが火花を散らす
第9回全国模擬授業大会
チョーク一本で教育改革を

  2014年5月25日(日)/ 足利工業大学附属高等学校
主催:開倫塾
 
     
 「チョーク1本で教育改革を」をスローガンに、教師の教え方向上を目的に行われている「全国模擬授業大会」。9回目を迎える今年は5月25日(土)、足利工業大学附属高等学校を会場に開催され、約400人もの参加者が集まった。
 今回は初めての試みとして、オールイングリッシュで行う英語の模擬授業も審査対象になった。また大会前日の24日には「NIE(Newspaper In Education)」「英検」「漢検・文章検定」「数検」の模擬授業大会も行われた他、過去に団体戦で優勝した講師からプロ講師の育成方法について話を聞くパネルディスカッションも行われた。

 開会式では最初に主催者代表として開倫塾塾長の林明夫氏から挨拶があった。経済産業大臣で開倫ユネスコ協会名誉会長の茂木敏充氏は、大会当日は公務で欠席となったため、前日に行われた「NIE」「英検」「漢検・文検」「数検」の模擬授業大会での挨拶がビデオ上映された。続いて衆議院議員の船田元氏、文部科学大臣政務官で参議院議員の上野通子氏、公益財団法人文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長、足利工業大学附属高等学校の落合健一校長が登壇し、挨拶を述べた。

 昨年までは国際大会として韓国から講師を招き、模擬授業を行っていた同大会だが、今年は旅客船沈没事故を受け、来日が見合わされた。開会式では全員で黙祷が行われ、犠牲者の霊を悼んだ。

「面白くない」に奮起し
最優秀賞を獲得

 今回エントリーしたのは国語8人、数学20人、理科9人、英語12人、社会9人の計58人。3〜5人のグループで予選を行い、各グループ1位だった講師で教科別の予選決勝を行い、決勝に進む5名が選ばれるルールだ。対象学年や単元は自由に選択可能(国語のみ文章読解の単元から選択)。1人の授業時間は15分。短い時間で、最も難しいとされる新しい学習事項の「導入部分」について「理解させる」授業を展開することが求められる。

 予選決勝では見学者が教室に入りきらず、廊下から授業の様子を見つめる一場面も。惜しくも予選落ちとなった出場者が、他講師の授業を見ながらメモを取っている姿も見られ、終日会場は熱心な講師たちの熱気に包まれた。

 決勝は講堂で全審査員と参加者を前にして行われた。その結果、見事最優秀賞を勝ち取ったのは、理科の授業の野田塾の高田晋輔先生。単元は「感覚器官」で、聴覚や平衡感覚を司る耳の働きについて、歌ったり回転してみせたりと体当たりの授業を展開した。

 高田先生は「すごく嬉しいです。ずっと予選落ちが続いていたので、勝ちたい思いで頑張りました」とコメント。この模擬授業大会の直前、野田塾では壮行会を実施。出場予定の先生たちは今大会で行う授業を250人の職員の前で披露していた。その時、小川英範塾長から「面白くない」とダメ出しをされた高田先生。「話もうまく、演技もうまい。だから子どもだましができてしまう。耳のすごさを徹底的に調べて伝えるべき」と叱咤激励を受けた。それから2日間で授業内容を見直し、「大会では全く違う授業内容にして臨みました」と高田先生。「叱咤激励も勝因のひとつですが、予選で他の先生方の授業を見て触発され、『これは全力でやり抜くしかない』と思ったのが良かったと思います」と話した。

 優秀賞は創学舎の舩木政子先生。小学4年生対象の国語で指示語の授業を行った。努力賞は開倫塾の岡部正行先生(数学/中3/1次関数の利用)、トーゼミの石田朋彦先生(英語/中2/付加疑問文)、洛西進学教室の田中潤先生(公民/中3/貨幣と価格のしくみ)。

 また、今回オールイングリッシュの英語授業に挑戦した、進学指導塾スタディハウスの中村麗香先生(小3/フォニックス)、開倫塾の渡辺貴智先生(中3/Present perfect)、野田塾の服部喜成先生(中1/現在進行形)の3人には特別賞(チャレンジ賞)が授与された。

 団体の部の最優秀賞は創学舎、優秀賞は野田塾、努力賞はトーゼミが受賞した。

決勝進出者 5人への総評

 審査委員長を務めた野田塾の小川塾長は閉会式で、決勝に進んだ5人の授業に対する講評を行った。

 「創学舎の舩木先生は、言葉が明瞭で『あー、そのー』などの余分な言葉がありませんでした。さらに板書がとてもきれいで読みやすい。概して理系の先生は『板書が汚いのは字が汚いからで仕方がない』と言い訳しがちですが、それでは講師失格です。ぜひ改善していただきたいと思います。また舩木先生は今、何の説明をしているのか明確にわかる、セグメント(区分)がきちんとできていました。

 ここ最近、出場者は得点を得るためにパフォーマンスに走りがちではないか、という指摘が出ています。その点、トーゼミの石田先生の授業は自然体で、生徒が受けていて疲れない授業だと感じました。とはいえ、模擬授業はファッションで言えば『モード』です。得意な指導方法を突出させて見せるのが模擬授業であると、私は捉えています。

 洛西進学教室の田中先生は、難しい貨幣の仕組みについてうまく説明していました。しかし、話がうまいことは同時に欠点でもあります。学習したことを定着させるのが授業の目的です。説明がうまい分、生徒はその場でわかったつもりになり、記憶に残らないこともあり得ます。その部分を改善すれば、田中先生の指導力はまだまだ伸びると思いました。

 開倫塾の岡部先生の授業は、非常に実践的な授業でした。言葉が明瞭で、話す間も良い。あざといところが全くない、生徒が信用できる本物の授業だと感じました。何気なく発している言葉ですが、すべて計算されているのではないでしょうか。岡部先生の授業をビデオに撮られた先生方は、ぜひ繰り返し見て研究してほしいと思います。

 最優秀賞を獲った弊社の高田については、大会前の壮行会で『内容の足りない部分を笑いで埋めている、あざとい授業だ』と評価しました。しかし、それから彼は努力をしました。以前、ある審査員の先生から『このままでは高田先生は優勝できない』という言葉をいただいていましたが、その時、指摘されたことを改善できたことが良かったのでしょう」と振り返った。

 

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