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中学・高校受験:学びネット

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2014/7 塾ジャーナルより一部抜粋

1教室100名を集める 塾経営の新発想
第1回 100%入塾させるための無料体験授業

中土井 鉄信(なかどい てつのぶ)
昭和36年、神奈川県横浜市生まれ。大学在学中より、学習塾講師を務め、就職後には、個別指導塾、進学塾、老舗大手学習塾のいずれでも驚異的なペースで生徒数を伸ばし注目を集める。平成13年、教育機関専門の経営コンサルティング会社、合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツを設立。著書に『《図解&場面でわかる》プロ教師の「超絶」テクニック』(明治図書)など。

 今春の新規の生徒募集はどうだったでしょうか。私の顧問先の学習塾では、3月はおおむね順調な塾が多く、4月に入ると辛抱を強いられた塾もありました。

 消費税8%の影響は塾業界にも、少なからぬ影響を及ぼしたようです。そのせいもあって、夏期講習に向けた生徒獲得競争は、例年以上に激しくなることが予想されます。

 そこで、この時期にもう一度、見直してほしいのが、問い合わせへの受付・入会面談などの生徒募集関連の業務です。中でも、今回は「無料体験授業」を取り上げます。

 今や、塾業界で生徒募集の入り口として「無料体験授業」を採用していない塾の方が少ないくらいでしょう。しかし、体験授業後に入塾する生徒の比率にはかなりのバラつきがあります。体験授業をした生徒のほぼ100%が入塾する塾もあれば、60%程度の教室もあります。これを100%に近づけるには、どうしたらよいのでしょう?

中土井流体験授業の実況!

 集団指導では、体験授業の生徒は通常の授業を受けてもらうのが一般的でしょうから、ここでは個別指導塾の体験授業を取り上げます。個別指導の体験授業のポイントは、大きく3つあります。

 一つは、体験授業では、教科・単元の解説というよりも、生徒の価値観や人柄、将来の夢などの情報取得に重きをおくこと。

 二番目には、体験授業で生徒に「この先生は凄い! この先生から習いたい!」という気持ちにさせ、信頼感を勝ち取ること。

 三番目には、この塾でならもっと勉強ができるようになる、成績が上がりそうだ、という期待感をもたせることです。

 ここでは、私が先日、実際に行った中2生の国語の体験授業を実況中継風にお伝えし、理解を深めていただきたいと思います。

中土井(以下N) 初めまして!今日国語を担当する中土井です。よろしくお願いします。

生 徒(以下S) こんにちは!

 良い挨拶だね!名前は?

 山田(仮称)です。

 今日の体験は、山田君が苦手な国語ということなんだけど、太郎や花子などの主人公が出てくる物語文と、何かを説明する説明文とどっちが苦手かな?

 説明文が苦手です。

 そうか。それじゃ、苦手な説明文を今日はやってみよう。きっと今日の体験授業で、少しは、説明文が苦手じゃなくなるよ。ところで山田君の誕生日は?

 12月1日です。

 射手座だね。先生の友人も12月生まれが多いんだ。彼らは、勉強が良くできたから、キミもきっと勉強が出来るだろ?

 いえ、できないんです。

 そうなんだ。でも、きっとキミは勉強も出来るようになるよ。中1の成績は、どうだったの?英語が得意だと聞いたけど。

 英語は「4」で、その他は「3」でした。

 そうか。それじゃこれからだね。キミの本領が発揮されるのは。ところで山田君の将来の夢は何?

 ロボットを作ることです。ロボットを作って人の役に立ちたいと思います。

 素晴らしい!そうだね。人の役に立つ仕事という考えは非常に重要だね。それでは、ロボットを作れるようになるには、どんなことを勉強した方が良いと思う。

 理系の勉強をしっかりやることだと思います。

 それはそうだね。でも、もっと大切なことがあるんだ。ロボットって誰の代わりをするもの?

 人の代わりをするものです。

 そうだよね。ロボットは人の代わりに働いてくれるものだよね。だとすれば、重要なことは、人間をよく観察することなんだよ。これがロボットを作る時に非常に大切になってくるんだ。だから、山田君もしっかり人間を観察するんだよ。わかった?

 ハイ!(彼の目が輝きました!)

 うちの塾は、山田君の夢の実現を応援する知識と指導があるから、今から、人間の観察に役立つ国語の授業をやろう。

 ハイ!よろしくお願いします。

 それでは授業を始めよう!

(中略)

 山田君、ノートと板書を見比べてみよう!何か気づいた?

 すいません。違っています。

 よく気づいた。さすがだ!山田君は、テストの時にうっかりミスをするね。

 ハイ、テストの時は、なぜか、わかっているけど間違えてしまいます。後で直すとできるんです。

 そうだよね。山田君は、理解はしているんだ。しかし、演習を意識的に行っていないから、つまり、一つ一つ丁寧に問題を解こうと意識していないから、テストの時に間違ってしまうんだよ。情報のインプットはうまいけど、その取り入れた情報をアウトプットすることがまだ上手くないんだ。アウトプットってのは、その情報を設問に従って適切に出すこと。それが出来るようになれば、山田君の成績はどんどん上がってくるはずだよ。先生の経験で言えば、山田君の成績は、主要5教科で十分オール5は取れるはずだよ。

 わかりました。

 では、本文を読んでいこう。

 50分の体験授業で、2ページ(A4)分の演習を行い、意識付けを行い、説明文についての自信を少し高めて体験授業は終了しました。私は授業後、山田君と握手をし、入会を確約し、教室の外まで見送りました。
そして、1時間後に教室担当者からご家庭に体験報告を入れて、入会が決定しました。

モチベーションを上げる
授業としての体験授業

 私は、学校であれ、学習塾の通常の授業であれ、あるいは体験授業であれ、授業はコミュニケーションであると言っています。教師は、リズム・テンポ・スピード・間・たとえの巧妙さ・ストーリー性・参加性を意識した授業をすることで、生徒を自分の教科の世界へと引き込み、学力を上げる努力します。

 そして、授業での学習理解を通じて、子どもたちの勉強のモチベーション、私の言葉で言えば「生徒のセルフエスティーム(自己重要感)」を高めようとします。

 連載の第一回目に「体験授業」をテーマにしたのは、授業の本質である生徒のモチベーションアップという側面が、いわば外向けの授業である「体験授業」には、はっきりと表れているからです。

 通常の授業では、教科・単元理解を通じて、勉強へのモチベーションアップをはかりますが、体験授業では、単元理解は二次的なものとなり、教師による「承認」を通じた生徒自身の存在承認、夢への期待感の醸成、さらにこの塾で勉強をしようというモチベーションアップをはかっていくのです。

 学習塾の教師は人気商売ですが、それを支えるのは、確固たる指導技術であり、また生徒理解を通じた生徒の存在承認です。

 もし、この夏に生徒募集を成功させたいのなら、授業であれ、面談であれ、生徒のモチベーションを高めることに意識を向かわせてください。生徒は自分のモチベーションを高めてくれる塾に必ず集まってきますから。

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