2点→90点
34点→89点に
上がった生徒も
埼玉県三郷市、JR新三郷駅から徒歩10分ほどの地に、個別総合学習塾 緑成会新三郷教室はある。7年前の開塾当時から駅前に団地はあったが、他には何もなかったとか。しかし、ここ5〜6年の間にショッピングモールなどができ、若者が集まる街へと変貌を遂げた。
塾長の花島公嗣さんは、大手塾で6年間、講師・教室長として勤務した後、緑成会を開いた。大学生の時の塾講師アルバイト4年間、緑成会の7年間も含め、17年以上教育畑一筋だ。
個別指導では、生徒の嫌がることを避け、勉強が苦手な生徒にやさしく、叱らずに教えるというのが一般的。手取り足取り教えるので、進度が遅く、先生が繰り返し教えてくれるのをいいことに自ら勉強しない生徒が多い。しかも、個別指導では授業料が高いので、たいていの生徒は、5教科は取れず、英数の2教科だけとなる。その結果、塾に通っていても成績は上がりにくいという現状にある。
「こういったことを何とかしたいと思って、独立しました」と花島塾長が言うとおり、緑成会が掲げる3つのこだわりは、個別指導塾のセオリーとは一線を画すものである。
こだわり1は、塾生全員の目に見える成績向上。通常、通塾して成績が上がる生徒は3〜4割といわれているが、緑成会では、9割がたの生徒の成績が上がっている。上がり方も驚きだ。学校のテストであれば数学が2点→90点、英語が34点→89点、理科が2点→71点、社会が12点→85点。
範囲が広く、成績の上がりにくいといわれる業者テストの偏差値推移(5科目偏差)も、3年4月 偏差値41.2、6月 偏差値46.0、7月 偏差値46.7、9月 偏差値59.3、10月 偏差値58.0、11月 偏差値63.6、12月 偏差値64.7、といった具合である。
このような結果、個別指導ながらも緑成会では、浦和一女をはじめ、越谷北、蕨と埼玉県内トップ校、上位高の合格者を毎年出している。
「うちでは、授業は講師1対生徒2で、1科目につき週1回1時間です。ただ、理解・復習を繰り返すことで学力は身に付くものなので、それ以外の日にも来て、自学自習するシステムになっています。そして生徒の努力の評価は『宿題をやったか』ではなく、『塾のテストで点が取れたか』で判断します。これにより、点数に結びつく正しい勉強法が身に付きます」
緑成会では、授業の最初に前回の学習内容についてテストが行われる。それで100点を取れなければ不合格となり、翌日から合格するまで、毎日でも来て、学習しなければいけない決まりだが、不合格の場合は、花島塾長がしっかりチェック。そして、できたときは思い切り褒める。それによって、授業は1度しかないものと生徒が自覚し、しっかり集中して聞くようになり、テストに合格するために自ら家庭学習を始め、質問も自主的にできるようになるというわけだ。
●指導のポイント
評価の基準は「頑張ったかどうか」ではなく、「テストで合格したかどうか」
テストは100点取るまで続けさせる
5教科で2万8千円と
超リーズナブル
緑成会では、1年ほど前に吉備システムを導入し、テストや毎日の生徒の自学自習に活用している。
「以前は、テスト後の問題を探すのが大変でした。吉備なら、間違えた内容だけ類似問題を出すことができ、合格すると問題が出てこなくなるので、終わりがわかりやすい。さらに日々の生徒の自学自習にも活用し、自分の苦手なところだけ集中的に潰せるので、自習の密度、効率が3倍くらい高まりました。生徒一人ひとりの管理もできます」
こだわり2は、驚異の低料金。一般的に個別指導(1対2、週1回/月4回)の場合、5教科だと5万円以上かかる。ところが、緑成会の中学生の場合、数学と英語は各8千円だが、数・英の2教科を取っていると、国・理・社は各4千円となり、5教科でも2万8千円。約半額と超リーズナブル。しかも、毎週テストに合格するまで、何日来ても追加料金やプリント代は発生しない。さらに、学校の定期テスト対策も無料だ。緑成会では、現在、2教室で140人ほどの生徒がいるが、その多くが5教科を取っている。
●運営のポイント
吉備を活用し、テスト問題作成の手間を省く
●経営のポイント
授業料の単価を安くして、5教科を取るメリットを訴求
自分ひとりで考え
問題解決する能力を育成
こだわり3は、勉強以外のサポート。常識、挨拶、人に対するいたわりなど、勉強以外でも社会で必要なことはたくさんある。緑成会では、それらを身に付けさせ、社会で必要とされる人物に成長させたいと考えている。
「例えば、挨拶すること、遅刻をしないこと、勉強、どれが一番大事か。挨拶、遅刻は勉強以上に大切なことです。いくら能力があっても挨拶できない、遅刻をする、それでは社会に出ても必要とされません。勉強よりも大切なものも身に付けてもらいます」ときっぱり。
テストが不合格の場合、翌日以降も来塾して学習するという決まりを守らせるのも講師・塾長の役割で、「テストで100点を取らなければいけない、遅刻はできないと思わせる空間・雰囲気を作るところに塾の意味があると思っています」。
毎日塾へ来て、復習、暗記、問題演習、確認テストを繰り返すことの積み重ねで、生徒は学力に加えて、自分ひとりで考え、問題解決する能力をも身に付けていく。
「春期講習も始まりましたが、遅刻をする生徒はゼロです。また勉強の仕方を身に付けて卒塾しているので、高校では学年1位になる生徒が多いですよ」と花島塾長は嬉しそうに話す。
●指導のポイント
問題解決能力(目的と期限だけが与えられれば、自ら問題を解決できる力)を身に付けさせる
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