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中学・高校受験:学びネット

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2013/11 塾ジャーナルより一部抜粋

緊急特集 マンパワーを重視した対人指導で、
子どもたちの力を引き出す教育を
IT教育を取り入れない指導方針を打ち出す

  鹿島塾 代表取締役社長 鹿嶌 將博 さん  
     
 ネット配信、衛星授業など続々とIT教材が開発され、次々と導入する塾が増える中、創塾42年目、9教室で800人を超える生徒数を誇る鹿島塾では、「マンパワーを重視」するために、あえてIT教材を取り入れない選択を行った。創立者である父親の跡を引き継いだ鹿嶌將博社長は、12年にわたって塾の教育理念をスタッフとともに打ち出してきた。人の力で生徒たちの些細な変化を見抜き、心をつかみ、モチベーションを引き上げて、自分の意志で考える人間を育成する。そのために実践しているさまざまな取り組みを取材した。

子どもの集中力や理解力を図り
信頼関係を培うライブ授業を中心に

── 特徴のある教育方針があるとお伺いしたのですが。

鹿嶌 私が12年前に鹿島塾に入り、少しずつ社長業を引き継ぐ中で決めたのが、IT教育を取り入れることなく、人の手で熱を感じられる教育を行うことです。現状を前向きに受け止め、向上心豊かに未来を切り拓く力を付けさせることが、子どもたちのこれからに必要だと思っています。

── IT教材を使わないということですか。

鹿嶌 はい、できる限り取り入れません。衛星授業は確かに能力の高い講師によるハイレベルな授業を受講できたり、強いメッセージやエールが含まれているのが利点ですが、ネット環境ゆえに弊害もある。最近の子どもたちに、ネット依存症の子が増えているのはご存じですか。睡眠時間や睡眠の質が著しく低下していて、そのせいか、切れやすくなる子が生まれています。この時代、遊びでインターネットに触れるのは仕方のないことですが、せめて教育だけは、ITから遠ざけたいと思っているのです。

── その教育に必要なものはなんでしょう。

鹿嶌 講師陣の力ですね。ライブ授業の良さは、その日の子どものコンディションをチェックし、集中力や理解力を図りながら指導を進め、さらに、感動させたり、笑わせたりしながら子どもとの信頼関係を培っていくところにあります。IT教材では得られないそういった力で、子どもをしっかりと引っ張っていく講師の力を持っていることが、我々鹿島塾の特徴です。

── マンパワーを最大限に生かす塾、というのが最も大きな特徴ですね。

鹿嶌 そのためにITに頼りたくないという子どもや保護者を掘り起こしています。ITに対してコミュニケーション不足になる、空気を読めない人間になるなど、ネガティブなことを示唆するのではなく、face to faceの授業がどれだけの効果を上げ、より良い人間性を身に付けていくことができるのかを広めて、地域に名前を刻んでいきます。他にも、現在、2学期のキャンペーンとして、「無理・無駄・やめたを言わないようにしよう」を推し進めています。さらに家庭での自主学習を習慣にするために、生徒自ら学習計画や目標の設定を行い、進行状況を保護者がレポートで確認できる『セルフスタディサポート』も実践しています。

スローガンは
「鹿島塾に関わる
人間は全員家族」

── その他の特徴は、どのようなことがありますか。

鹿嶌 現在9つの教室を展開していますが、1中学に1教室が基本です。そのため、定期テストの時期は全員ほぼ一斉に受験することになります。5〜6年前からその期間になると、「朝学」と言って、試験当日の朝に理解度や間違って記憶している箇所はないかというチェックを行っています。テストは生徒たちをネガティブにさせがちですが、この朝学で生徒たちの気分を盛り上げて、試合前の決起のように考えさせることで、力を出させることができるのです。

── 試験を体育会系の試合のノリに変えてしまうのですね。

鹿嶌 はい。チェックは講師一人でもできるのですが、強要しているわけじゃないのに、全員の講師が出てきます。全員で生徒をバックアップし、時には私たち夫婦特製の朝食や、塾オリジナルのキャラクターのかわいい「パンダ先生」をモチーフにした飴を出して、頑張って来いとエールを送ります。

── 早朝は塾の先生にとってはつらいですね。

鹿嶌 はい。夕方からも授業はあるのですが、それでも多くの人数が早朝から集まって生徒たちの背中を叩いています。スローガンの中には「鹿島塾に関わる人間は全員が家族だ」と謳っており、生徒一人ひとりが全員我が子であり、講師たちは100%の愛情を注いでいるのです。今年創塾42年目ですが、こういった考え方の基本は変化していません。子どもたちの向上心を鍛え、この地区ならば鹿島だと言われて選ばれる塾になるために、この考え方を実績とともに明確にしています。

── 朝学は中学生に限っての取り組みですね。

鹿嶌 そうですね。でも、オリジナルの飴は全学年にあげて、喜んでもらいましたよ。また、全学年への取り組みとしては、生徒の答えがファインプレーだったときや、成長を感じられた時に講師と生徒の間でグータッチ(拳同士のハイタッチ)を行ってモチベーションを上げたり、生徒を下の名前で呼んだりして「みんな我が子」のスローガンどおり、温かさを感じられる授業を行っています。これらはLIVE授業だからできる生徒との交流であり、IT授業では得られない大切な人間同士のコミュニケーションだと考えています。こういった指導の積み重ねが、精神的に強くなり、向上心を持ってグローバルな環境の中でも伸びていける人材を育てていくのです。

数字を追いかけない
方向性にシフトし
本来の人の持つ力を出し切る

── スタッフは何人ですか。

鹿嶌 正社員が26人ほど、バイトの講師が80人前後おります。

── 採用にはどのような条件を出しておられるのでしょう。

鹿嶌 一定の成績は必要ですが、あとはタフで向上心が豊かなこと、ポジティブな考えを持つ人材を選んでいます。マンパワーで生徒を引っ張っていくには、ただ教科書や参考書を進めていく教科指導以外に、子どもたちの心の琴線に触れるような話を、バランスよく授業内に取り入れていける人間が必要ですからね。

── それはやはり人生経験が必要ということですか。

鹿嶌 そうですね。子どもたちが負けず嫌いになるように気持ちを盛り上げるためには、ある程度の経験は必要になりますが、経験が少ない場合は研修で不足を補います。特に対人指導をメインにする以上、スタッフによる組織の力が最も大事ですから、いろいろな塾のやり方を学んで、塾全体の力を強くできるような研修を行っていますよ。最近の若い人材は叱られることが少ないせいか、研修中にコーチに厳しく指導されて泣かされることもあるようですが、そうして講師は成長していくのです。

── 生徒募集はどのようにされていますか。

鹿嶌 地域で選ばれる塾になるための努力はしていますが、生徒の数を増やすためのノルマはありません。逆に、日報や月報、生徒数や入塾の問い合わせ数、退塾数など教室ごとのチェックは2年前にすっぱりと止めたほどです。

── それはなぜですか。

鹿嶌 退塾の理由や問い合わせ数を一つひとつ取り上げてチェックさせるような上からの指示は、スタッフ陣の気持ちを疲弊させます。マンパワーを大事にしている我々の方向性と、人の力を削り取っていくようなチェックは、反発しあうんです。それなら数字は一部の人間がコントロールし、教室長には生き生きと子どもたちを指導できるような環境を与えたほうがいい。それによって、思うような指導が行えるようになり、子どもたちが自然とついていくのです。

── 最後に、今後の指導や運営についてお聞かせください。

鹿嶌 愛知県は名古屋市という巨大なメガロポリスを内包しているために、県内の高校から大学へ進学し、地元の企業に勤めて、そこで結婚し、家庭を持つ。県内で人生のすべてを賄ってしまうのです。子どもたちにはそこから脱却し、県外の風に触れ、そして海外へ出て活躍することを教えたい。そうして広い視野で世界を見ることで、得られる多くのものを身に付けて生きてほしいのです。

── 今後の発展を期待しております。本日はありがとうございました。

 

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