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中学・高校受験:学びネット

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2012/5 塾ジャーナルより一部抜粋

緊急特集 京進が「知育する保育園」を
からすま京都ホテルに開設
遊びの中でバランスよく能力を伸ばす

  株式会社HOPPA 取締役社長 関 隆彦さん  
     
 昨年11月、京都市中心部・烏丸の「からすま京都ホテル」にひとつの保育園がオープンした。設立母体は全国に学習塾を展開する株式会社京進。これまでに培ったノウハウを生かした知育カリキュラムが特色だ。国が保育所の待機児童問題を解消すべく、幼稚園と保育所の機能を一体化する「総合こども園」創設に向けて動き出している中、学習塾から生まれた新しいタイプの保育園「HOPPA」は、業界の関心を集めている。その運営スタイルや教育内容を緊急取材した。

共働き世帯を支援する
充実の保育環境

―― 学習塾というと幼児教室が一般的ですが、保育事業を始められたのはどういう理由からですか。

 ビジネスとしての可能性と社会貢献です。いま日本でも共働き家庭が多くなり、保育所の待機児童の数が増えています。ヨーロッパでは共働き世帯が多く、フランスでは90%を超えています。今後、日本もそうなっていくでしょう。そのときに必要とされるのが、子どもを長時間預かってくれる保育所です。お子さんを安心して預けられる保育園をつくることで、共働き家庭を支援したいと考えています。

 昨年9月1日に京進の100%子会社である株式会社HOPPAを設立し、11月1日に最初の保育園「HOPPAからすま京都ホテル」を開園しました。

―― HOPPAというのはどういう意味ですか。

 スウェーデン語で、ジャンプという意味です。子どもたちが未来に向かって大きく飛躍できるようにと名付けました。

―― ホテルの中の保育園というのは非常に珍しいですね。

 最初からホテルとは決めていませんでした。考え方が一致するなど、良い出合いがあったからです。ホテルの中にあるメリットは、給食ですね。保育園に調理室がなくても、子どもたちにホテルで作ってもらった温かい食事を食べていただくことができます。

―― 他の保育園ではどうなのでしょうか。

 認可保育園は法律で調理室設置が義務づけられています。認可外の保育園は自治体からの補助金がないので、調理室設置はコスト的に難しい状況です。そのため、給食はお弁当などデリバリー中心になるのですが、料理は冷めると菌が繁殖して、食中毒発生のリスクが高くなってしまいます。HOPPAは認可外ですが、認可保育園と同等の基準を遵守し、それ以上の内容を目指していますので、「ホテル品質」の給食を提供しています。

―― ホテルの部屋というと狭いイメージがありますが、実際は広いですね。

 全部で約55坪あります。壁をよじ登って遊べる「ウォールクライミング」や、壁にいくつもある歯車をはめて、ひとつ回すと全部回る「ギアの壁」など、楽しい仕掛けを用意しています。晴れた日はHOPPA専用の屋上園庭で遊べます。こちらは広さ約140坪。保育園の中からつながっているので、部外者は入れないようになっています。

―― 安心ですね。何歳から預かってもらえるのですか。

 生後6ヵ月からです。ゼロ歳児に知育は難しいので、当初は入園年齢を3歳からと考えていましたが、ゼロ歳児を預かってくれる保育所は少ないことから、お預かりすることにしました。ただし定員は8名で、すでに満員です。全体では定員40名。現在は20人ほどお預かりしています。これから年度変わりですので、増えてくると思います。

―― 最初、募集されたときの反響はいかがでしたか。

 テレビの取材が入ったり、マスコミに取り上げられましたので、反響は非常に大きかったですね。説明会を3回開いたところ、3回とも満員でした。大阪の方からも問い合わせをいただきました。保育所を探している方というのは、切羽詰っているのだと思います。ただ、当園は料金設定が高めなので、入園される方は限られてしまいますが。

―― 他の保育所とかなり差があるのでしょうか。

 普通の認可保育園は、世帯の総所得によって保育料が決まる仕組みです。自治体によって違いはありますが、平均すると年間40万円ぐらいでしょう。私どもは、週5日、給食費込みで約8万円。年間100万円ほどかかります。2倍以上ですので、いま入園している子どもさんのご家庭は、比較的所得水準の高い世帯が多いですね。子どもに英会話など教育を受けさせたいが、両親とも仕事があるので時間がない。長時間預かってくれて、園内で教育面も完結できると、喜ばれています。

ネイティブの発音が身に付く
イングリッシュタイム

―― 塾がつくった保育園として、他との差別化はどのようにお考えですか。

 保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省管轄となり、それぞれ生活、教育と法的な位置付けは若干異なるのですが、我々のHOPPAは知育に特化していますので、そういう意味では、幼稚園的な要素が強くなります。しかし、形態は保育園ですから、安全性重視で長時間お預かりする形をとっています。保育園と幼稚園の「いいとこどり」をしたビジネスモデルといえます。

―― 知育というと、例えばインターナショナル保育園のようなスタイルですか。

 英語だけではありません。算数も国語も、京進が英会話や小学校受験部門で長年培ったノウハウを集結した知育カリキュラムにより、子どもたちは楽しみながら、自然と能力を身に付けることができます。

―― 内容を詳しく教えてください。

 知育といっても、レッスンしたり、教え込むスタイルではありません。英語教育でよく言われるのが、発音能力の「臨界期」。一定の年齢を超えると習得が難しくなってしまいます。HOPPAでは、イングリッシュタイムが毎日3〜4時間あり、ネイティブ講師が遊びの中で子どもたちと英語で接しています。すると、まだ日本語も満足にしゃべれない2歳児が、英単語はしっかりネイティブの発音になるんですね。

  算数も5領域(数・量・平面図形・空間図形・理論)を楽しく学べるカリキュラムになっています。国語は美しい日本語を身に付けてもらいたいし、漢字も読めるようになってほしい。自然にバランス良くいろいろなことができるようになってもらいたいと考えています。

―― 数学にも臨界期があるのですか。

 私が以前に、小・中学生に算数・数学を教えていたとき、例えば、立体を切断する問題はなかなかイメージしにくいので、テクニックを教えていました。しかし中には、何も教えなくてもばっと切り口がわかる子がいる。この能力は小さいときに立体のおもちゃで遊んでいると自然に身に付くものです。小学校5・6年からでは難しいと思います。

―― 幼児期が大事ということですね。

 2〜3歳からの毎日の生活は、あらゆる面で可能性を引き出せる重要な時期といえます。しかし、そうはいっても子どもは十人十色。好きなことや得意なことが違います。HOPPAのカリキュラムはハワード・ガードナーが提唱する「8つの知性理論」を適用しています。これは、例えば、音楽をやりながら英語を覚えていくのが得意な子もいれば、体操しながらその中の言葉で覚えていく子もいる。子どもによって習得していく得意分野が違うという理論です。積み木が好きな子は、ネイティブの先生と遊んだ次の日から「square」と言っています(笑)。

 子どもによって可能性の引き出し方が違うので、十把一絡げの知育ではうまくいきません。その点、認可保育所と違って少人数なので、お子さん一人ひとりをきちんと見ることができます。

ビジネスとしての可能性

―― 保育事業を今後どのように展開される予定ですか。

 4年以内に新たに9園オープンし、全部で10園にする予定です。

―― エリアは近畿圏ですか。

 近畿圏以外にも首都圏など、顧客ニーズの高い地域もあります。しかし、状況次第ですね。ビジネスとして保育園を成功させるのは、なかなかハードルが高そうです。というのは、保育園は塾と違って、行政とのからみがあり、難しい面があります。認可園は自治体からかなりの額の補助金が出ますので、広い園庭も調理室もあり、施設が充実しています。しかも保育料が安い。そこへ我々民間企業が利潤を追求して参入していくとなると、認可外保育園になります。補助金がなくとも、認可園以上の保育環境や教育カリキュラムを用意しないと保護者に選んでもらえない。利益を出すのは容易ではありません。

 もっとも我々も保育園を大きく利益を生むビジネスにしようとは考えていません。どちらかというと社会貢献の意味合いのほうが強いですね。

―― 保育園から学習塾へつなげていくというのはいかがですか。

 現段階ではあまり意識はしていませんが、子どもたちが卒園後に京進の塾に入ってくれることもあるでしょうね。将来的に子どもや保護者の皆様に、「HOPPAに通って良かった。成長できた」と言っていただければ何よりです。

 その結果、京進を選んでいただければ、これほど嬉しいことはありません。

―― 最後に、社長就任の抱負をお聞かせください。

 実際に子どもたちとかかわるようになってから、その可能性を広げていきたいと特に思うようになりました。2〜3歳の子どもと触れ合っていると、塾で小・中学生に算数・数学を教えていた経験とつながることがよくあります。ここでこれをやっておくと、小学校高学年になる頃にはこういう能力が育っているんだなと。

―― 社長も子どもたちと遊ぶのですか。

 着替えを手伝ったり、一緒に遊んだりしています。楽しいですよ。子どもが一番かわいいときですから。それに、昨日より今日、今日より明日というようにすさまじいスピードで、できることが増えていくのに驚かされます。いま身に付け始めたこういう力が、将来、花開くのです。子どもたちの人生のベースになる大事な時期をお預かりしているのですから、焦らずにじっくり可能性を伸ばしていきたいと考えています。

―― 本日はどうもありがとうございました。

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