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中学・高校受験:学びネット

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2012/5 塾ジャーナルより一部抜粋

私たちは中学受験を応援します!
2012年度中学入試結果から見る
新たな問題点とその解決策

     
 新年度を迎え、2012年の中学入試結果が続々と発表されている。全体的に見れば中学受験生自体の数は大きな変化を起こしていないものの、相変わらず受験生確保は厳しいようだ。これは定員割れを起こした中学だけでなく、どの中学校も同じである。経済不況の中の高額な学費負担や震災の影響など、理由はさまざまに考えられるが、その中でも高い受験者数確保に成功した中学も多い。今回はその結果を踏まえ、さまざまな角度から中学受験を考えて、応援していくための特集である。

中学受験者数の増減から見る
人気校分析とその理由

 大手塾の分析による今年度の中学入試結果が発表された。

 それによると、関東では東京・神奈川・千葉・埼玉の4都県で小学校卒業生は30万5,329人。推定受験者数は4万5,200人で、受験率は14.8%(首都圏中学模試センター調べ)。関西では卒業生20万196人中、1万8,933人が推定受験者数。受験率は9.2%。中学受験生は関東では微増、関西では5%減という結果が出た。また全国の中学受験率は17.2%。東日本大震災の影響が懸念されたが、昨年に比べてそれほど大きな変化はなかった。ただし、関東では公立中高一貫校の人気は相変わらず高く、今後の実績の高さによっては、さらに人気が上がると予測される。また、2012年以降にも首都圏から通学可能範囲内に複数の公立中高一貫校の設立が計画されており、多くの注目を集めている。

 関西では中心となる大阪で、 橋下行政による学校改革や学区改変、エリート校の出現などが、私立中・高へ大きなプレッシャーをかけた。実際、大阪公立高校トップ4校は、関西では最難関と言われる京大・阪大への合格者数を増やしており、東大への合格者も輩出している。このため、6年一貫教育を行う私立や公立の中高一貫校が、イコール最難関大学への近道、というレール神話が崩れ、中学受験者数が減少している現実もある(ユーデック調べ)。

 全体的に中学受験に対する評価は上がっているが、受験率が微減・微増となるのは、学費が家計を圧迫すると言われている状況にある。実際、関東では高額学費トップ50校のうち、34校が応募者減という数字を出した(日能研調べ)。これは99%系列大学へ進学できる10年制教育も、実質、社会で壁にぶつかったときに乗り越えられるのかどうかと言われるようになったことや、10年間高額な学費を支払い続けていけるのかという保護者の不安もあると思われる。関西でも、有名大学の附属中学校では、高額な費用でも受験生を獲得してきたが、近年、中学受験者数が減っている状況だ。しかしそんな中、16校は応募者前年比増の結果を出しており、一概に附属大学を持つ中学のすべてが人気がなくなったわけではないことをうかがわせる。大学卒業後に社会で使える資格取得やさまざまなプログラムを取り入れている附属中学は受験者数を伸ばす結果が出ており、受験生やその保護者は、受験校を冷静に比較対照し、選択しているようだ。

 その他、実績をあげた学校で注目されたのが、奈良県の西大和学園。年々急激に合格者数を減らすことで、自校をブランド化し、厳しい私学市場の中で、ポジショニングをはっきりと打ち出して、成功を収めた例もある。

 火曜倶楽部に出席した大手進学塾の関係者は、「偏差値に慣れ親しんだ親世代が、子どもの模試結果の偏差値などを重視し始めています。子どもが受けたいと言った中学すべてを受験させるという前の世代の考え方ではなく、合格率の低い学校には、最初から願書を出さない。この安全志向も微減・微増を招いていると考えられます」と語っている。

 また、北関東から都心の学校を受験する生徒も減っている。これは震災の影響もあるが、それよりも子どもを通わせたい学校づくりを心がける中学が県内に増え、わざわざ都心へ通う必要がなくなったことが大きいと思われる。

中学受験のためにどの塾を選ぶ?
大手進学塾と個人塾との差

 さて、中学受験において、受験生に自分の進路をスムーズに選択させるためには、どこの中学を選ぶのか、どういったコースがあり、進学実績があるのかなど、多くの情報を得る必要がある。総合的にこれらの情報を集め、比較対照するということが個人では難しい。ネット社会とはいえ、A社とB社の学校評価では、隔たりがある場合もあるからだ。

 そこで保護者たちは、塾へ情報提供や進路指導を求めるようになる。メインとなるのは大手進学塾。安田教育研究所・中学入試セミナーによると「母親が周囲にあおられたり、子どもが友達に影響されて進学を決めることが減り、しっかりとした意識で中学受験を選択する人が増えた。そういった保護者は皆、堅実に大手進学塾を選択するため、個人塾から受験生が消えていっているのだ」との意見。ただし、受験のために大手塾に通っていた子を持つ親からは、「大手塾は実績主義。生徒が『行きたい』学校ではなく、塾が『行かせたい』学校を勧め、それでも希望通りを受験した生徒には合格しても冷たい」「個人塾に通わせていた子を6年生で受験のために大手塾に行かせようとしたら、担当者から『もう遅い』というようなことを言われた。子はショックを受けたが、個人塾の先生が親身になって指導してくれたので、合格することができた。大手塾ではできない対応だったと思う」などの意見も出ている。

 大手塾の良さは、高い進学実績を出す指導力や情報量であるが、それらをもとにした合格ラインが最初に引かれており、そこから弾かれたときのショックやモチベーションの低下を助けてくれない場合もあるということが意見で現れてきた。

 一方、個人塾からは、「毎年数人だが中学受験をしたいという生徒がいる。中には受験のために大手塾へと変更する子もいるが、大抵の場合は塾内でできる限り情報を集め、生徒や保護者と話し合って受験に対応する。よほどのことがない限り、合格させている」と胸を張る塾長の声も上がっている。実際に、補習を専門にしていると広告している個人塾でも、内部で受験したいと申し出る生徒がいれば、対応するために非常に努力するという塾がほとんどである。

 静岡県沼津市の個人進学塾では、開塾後20年にわたって中学受験に対応。地域的に公立志向が強く、わずかな中学受験を目指す子は大手塾へ通うという状況。その中で、ネットのない時代から努力して全国の私立中学情報を集め、確かな受験情報を提供し続けたことで信頼を勝ち得た塾である。

 「中学受験生の中には、目標の中学へ入ったら力尽きたように学習意欲がなくなったり、成績が下がる子がいます。しかし、それはどちらかと言えば親の責任。そのため、中学受験の指導の柱のひとつとして、親の意識改革が必須です」とは塾長の談である。また、近隣の家庭の所得が二極化している地域で中学受験のコースを含む塾運営を行う愛知県名古屋市の個人塾でも、保護者の意識改革に重点を置いている。

 「最近の保護者は、受験のために鉢巻きを締め、かけ声をかけてがりがり勉強する、という姿勢には引き気味です。中学受験は確かに過熱しやすいものですが、それでは子どもの可能性を摘み取ってしまうこともある。まったりと進めながら、リラックスして伸ばし、合格させてやりたいと考えています」と塾長は語った。

 欄外として、個人塾を絶賛している私学の意見も掲載したい。「在校生が大学受験に向けて地元個人塾さんに指導していただき、良い結果を出すことができた」とは、中部地方の入試広報担当者の弁だ(保護者アンケートは塾ジャーナル調べ)。

親の意見は「通わせてよかった」
真実を語る保護者アンケートより

 ネットで情報を発信できる時代になり、各学校は保護者でも簡単に学校のことが調べられるツールとして、続々とホームページを立ち上げている。だが、その中には「誠実」「基礎学力徹底」などのうたい文句が飛び交っており、具体的にどのような内容で何時間、何を学ぶかを詳細に記載している学校はそう多くない。受験のための広告ばかりが先行し、内実が見えてこないのが不安だという声も聞こえている、また、オープンキャンパスに参加した保護者のアンケート(日能研調べ)でも「学校自慢が多くて、必要な情報が入らない」「企業のプレゼンのよう」「進学実績ばかりで、学校のメッセージが感じられない」などのマイナスイメージも少なくない。

 一方で、保護者アンケートには、「個別質問に答えてくれて熱意を感じた」「この先生に習いたい!と思える先生がいた」「具体的にどういうことが減点になるのかなど、受験に対しての詳細を聞けた」など、プラスの意見は大変多い。その学校を見に来ようと思った理由は、「親の出身校」「兄弟が通っている」「先生と相談した」などさまざまだが、多くの保護者や生徒は、やはり具体的に話す・熱意があるなどの部分に引かれる傾向があるようだ。

 実際に中学受験をして、私立中学に子を通わせている保護者に、私立中学を受験してよかったかと問うと、ほぼ100%の回答として「よかった」という返答が返ってくる。公立中学校と比較して、「家庭との連絡が密」「コース対応で、子どもの将来にきっちりした対応をする」「いじめや遅刻、制服が破れたなどのことでも真剣に確認し、問題が発生していれば早期に摘み取る努力がすごい」といった私学の利点が多く挙げられた。ただし、やはり私学の必要な費用が高額だというのはネックになっている。高校と異なり、私立中学では奨学金制度が極端に少ない地域が多く、そのため、年間100万円近い学費がかかることが、親の負担になっているのは確かだ。

 中学受験をする子どものほとんどがやはり大手塾や個人塾に通っており、保護者たちは一様に、「受験校のレベルにかかわらず、行かせていなければ私学受験は無理だったと思う」と意見を述べた。それは、学力アップだけでなく、学校の特性やコースなどの情報提供の面でのことか、と聞くとそれだけではない、とのこと。「個人塾で中学受験対応はしていなかったけど、一緒に頑張ろうと言ってくれて、気力が充実した」「大手塾で情報量が多く、どこの私学が合っているのかをじっくり確認できた」「受験勉強や面接対策を楽しむ方法を教えてくれて、リラックスして前向きに受験に挑めた」などの理由が述べられた。

 また関西の塾では、関西の私立中学が受験に先駆けて各校が行うプレテスト受験を勧めるところが多く、「プレテストの内容を塾で話したら、『こういう設問も出るかもしれない』と傾向を分析してくれた」と語る受験生もいた。ただし、兵庫県では取り決めによりこのプレテストを禁止しているために、実践している大阪と隣接する地域の中学は、生徒募集に大苦戦しているという地域もある。

 また、個人塾では塾生の数がそれほど多くないせいか、「声をかけ続けてくれたので、受験までモチベーションを維持できた」「卒塾した今でも、ときどき塾の先生に会いに行く。大学受験をするなら、その先生に教えてもらいたい」と語る生徒もおり、絆と信頼の強さがうかがえる(保護者・卒塾生アンケートは塾ジャーナル調べ)。

なぜ中学受験を選択するのか
保護者の思いを知り、学校や塾での指導へ

 中学受験は一時期のバブルのような饗宴状況から落ち着きつつあり、ピークとなった2007年に比べても近年は15%近い減少率を表している。ただし、関東を中心とした国立・公立の中高一貫校の人気は高く、大阪では数年前に開校したばかりの「咲くやこの花中学」で受験率のコース平均7倍(最高倍率言語コース8.3倍)を打ち出した。その一方で、定員割れを起こす私立中学は年々増加。私立中学にとっても進学塾にとっても、これは非常に深刻な事態となっている。

 だが、この中学受験離れは一概に費用がかかることがたったひとつの理由というわけではない、と、ある教育業界人は語る。その内容の濃さや高さ、また生徒たちへの対応の細かさなどを総合的に見た場合、私学の授業料は決して高いとは言えない。また、高額な費用であっても、わが子に少しでも良い環境を与えたいと思う親や、通う予定となっている地域の公立中学に対する不安・不信感などが募り、私立受験を考えるようになったという保護者は少なくない。決して一時の贅沢な気持ちで私立中学を選択したわけではないのだ。

 私立中学と塾はその保護者や生徒たちの思いを真摯に受け入れ、どの学校を選択するのが一番その受験生にとって重要か、受験生たちに必要と思ってもらえる学校づくりをどのように進めるべきかを考えて、今後の中学受験に対応していただけるよう、塾ジャーナルとしては願うばかりである。


塾ジャーナル「中学受験を応援します」コーナーより
名言集

※過去の掲載より抜粋

●中学受験という機会は、合格を目指すのではなく、子どもに人生を生き抜くための種を蒔く機会としてとらえ、努力させる必要がある。「合格しても不合格。不合格でも合格」。
学優舎(沼津)・土屋 肇

●子どもたちは受験プレッシャーと戦いながら目標達成に向けて全力を傾けるときに、すべてのことにおいて努力こそが解決の糸口であるということを知るのです。
大住学園(京都)・吉川博史

●12月の模試で合格可能性が80%あったとしても不合格になることもあれば、30%しかなかった年でも合格したケースはしばしばある。
早稲田教育スクール(東京)・榎本勝仁

●受験は自分自身のためのもの。自分のやりたいことに合う学校、行きたいと願う学校を受験することが一番。
EDIX (名古屋)・吉村 寛之

●中学受験に期待するものは、現在注目を浴びる大都市圏を中心とする中学受験の“熱い風”が、より一層強く大きく吹いて、我々の“無風”地帯を刺激してくれることである。
渡辺塾(いわき)・渡辺 稔

●私学の元気のいい時代は塾も流行る、逆に私学がしゅんとしてしまうと塾も元気の出しようがない。私学と私塾は運命共同体に近いところがあります。
俊英塾(大阪)・鳥枝義則

●遊びたいさかりの小学生が受験勉強に時間を割かれる。習い事に宿題。遊びたかったら時間を上手に使うしかない。こういう状況の中で子どもは、自分で自分の生活をコントロールする術を身に付け「自立」することができる。これこそが中学受験の最大のメリット。
ディック学園(大分)・河野啓子

●少年野球やサッカー、水泳に熱中する子どもがいるのと同じように、勉強に情熱を燃やす子どもがいても、なんら不自然なことはない。励ましこそすれそれを「社会の歪み」と捉えるものこそ子どもを色眼鏡で見ていないだろうか。
塾から作家へ(兵庫)高嶋哲夫

●長い時間をかけてやり続けてきた教育、そしてやり続けていく教育、そこにその学校ならではの伝統が生まれ、親が子を託せる教育になっていく。
RAS教育研究会(東京)・長渡武久

●受験生が百人いれば、百のドラマがそこにはある。彼らが手に入れるのは「ゴール」ではなく「スタート」だ。「合格」は単純に幸せである。しかし「不合格」という結果も彼らの青春には大きな財産である。
龍馬(千葉)・安本 満

●中学受験が欲している知識は決して無理難題ではなく、むしろ本来は小学校で子どもたち全員が学ぶべき内容なのだ。
ピュアリス(千葉)・中村 健

●中学入試合格を人生初めての成功体験にすることと同様に、あるいはそれ以上に、人間としての成長を増進させる機会としなければならないと痛感している。
青山学園(大阪)青山 千恵

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