最初に伊藤政倫会長から、学習塾認証制度の主旨について説明がされた。
「(社)全国学習塾協会は、来年秋を目標に、公益社団法人へと移行する準備に入っています。公益社団法人になるためにも、我々塾を営むものは、一つの組織に入っていなくてはいけないと考えています。そのためには、塾の共通項を見出せるもの、現在皆様がやっていることを適正に認証する(マル適マークのようなもの)をキチンと発行させていただこうと思いました。本日は懇切丁寧に説明させていただきますので、ご質問・忌憚のないご意見をお寄せください。各塾の事情に応じて、回答させていただきます」
同協会・事務局の大木一利氏は、学習塾認証制度のメリットは大きく2つあると解説。一つ目は認証マークを教室やチラシ・HP・名刺・パンフレットに表示することで、消費者に適切なサービスを提供していることをアピールできること。
大木氏は「『認証制度は学習塾サービスの信頼の証』という、キャッチコピーでアピールできると思います」と話す。
消費者が塾のHPの認証マークをクリックすると、学習塾認証制度のウェブサイトにジャンプできるルール作りも進行中。認証塾がどのような基準をクリアしたか、なぜ安心なのか、目に見える形で、消費者に理解してもらえることを目指している。
二つ目は認証を取得するために取り組んだことが、自塾のリスク回避につながるというもの。具体的にどんなリスクがあるのか、大木氏は協会に寄せられた苦情例を出して、説明した。
受講済みなのに
クーリングオフ?
一例として、来年3月まで通塾する予定が、7月終わりに退塾した生徒がいた。塾と保護者の間では念書で、返金額を分割で返金することを明記。この場合、契約書は交わしておらず、契約起算日が特定できないのが問題で、もし退塾していなければ、特定商取引に関する法律(特商法)で規定されているクーリングオフが成立してしまう場合がある。
もう一例は、広告に使用しないことを前提に、合格した生徒からアンケートをもらい、写真も撮影。後日折り込みチラシにその生徒の写真もアンケートも載せてしまい、保護者が苦情を寄せたケース。これは個人情報保護法にかかわってくる事例だ。
法律に触れない事柄でも、リスクは存在する。認証制度では、「顧客(塾生・生徒)の安全確保」と「顧客からの相談・苦情・クレーム対策」の2つを上げている。大木氏は「顧客が不信感とストレスを抱くと、クレームはあらゆるところに飛び火します。契約書の不備、説明不足等、その塾の違うところに着目して、苦情を言う『クレームの連鎖』が始まるケースもあります」と話す。
「いずれのケースも、最も怖いのは『知らぬが仏』ということです」と大木氏。「塾にとって何がリスクかに気が付かなければ、不安要素を抱えたまま、運営を続けていくことになります。この学習塾認証制度を満たせば、少なくとも特商法、個人情報保護法は遵守できると考えています。また、顧客窓口の充実も項目にありますので、クレーム対策も行えます。認証制度にチャレンジすることが、リスク回避を中心とした自塾のマネジメントの構築になるのです。認証制度取得は社員全員が塾のシステムを理解できる、目に見える教科書のような役割を果たすと考えています」
第1回の判定委員会は
8月に
最初の申請期間は平成24年4月1日から5月31日(前期)。判定委員会の開催は8月下旬に開かれる予定。後期は9月1日から10月31日で、判定委員会は平成25年1月開催。
各塾が「申請中」を表示できるようになるには、申請書類一式を提出し、申請料と審査料を同協会が受理を確認した時点から。HPやチラシなどに「学習塾認定制度申請中」という文言を使用することが可能になる。認証付与の有効期間は2年間。申請料は新規申請が5,250円(更新申請は無料)。審査料は1万2,600円(更新時も同額)。認証マーク使用料は3,150円(一事業所あたり)。
最後に常任理事の祖父江準氏が「私も最初は、個人塾では申請をしにくいのではと思ったのですが、ここに上げてあるリスクを改善していけば、そんなに難しいものではありません。この学習塾認証マークは皆さんにお使いいただくことで、価値が上がります。学習塾というものは、きちんと消費者の立場に立って、営業を行っているという認識に立ってもらえたら幸いです」と締めくくった。 |