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2011/9 塾ジャーナルより一部抜粋

「数学検定」の問題から

 

財団法人日本数学検定協会  松本 精一

 
 

 今回は、実用数学技能検定「数学検定」3級から正答率が低かった問題を見ていきましょう。

 問題1は、係数が小数の文字式の計算です。小数のかけ算では積の小数点の位置に注意が必要です。分数の計算が苦手だということはよく言われていますが、分数の計算の習得に力を入れるあまり、小数の計算練習が手薄になりがちです。とくに、暗算でできる小数の乗法除法の小数点の位置を間違えることが多いので,注意するよう指導してください。

 問題2は、置換えを利用する因数分解です。展開してしまうと、因数分解できません。式を他の文字で置換える方法は、中学3年の式の展開・因数分解で始めて学習します。高等学校の数学では、計算を簡単にするために置換えた文字のまま計算し、最後にもとの式を代入するということはよく行われます。この問題は置換えの典型的な問題ですので、解法をしっかり習得し,高等学校の数学につなげてもらいたいと思います。

 問題3は、正負の数の問題です。(1)(2)は正負の数を初めて学習したときに学ぶことがらで,本当の意味での基礎です。この問題は十分に理解されています。(3)は全体の平均点から一人の生徒の点数を求める問題です。データが与えられていて平均を求める問題は,正答率は高くなります。(3)のような問題は、平均が合計÷人数で求められることを理解し,その逆算を用いて解くということを把握していないといけません。統計は社会に出てから重要です。統計の基礎である平均を十分に理解できるように指導してください。

 問題4は、2次方程式の問題です。まず、最小の数をxとして連続する3つの整数をどのように表すかを考え、次に最小の数および最大の数の平方(2乗)をどのように表すかを考えます。整数を文字を使って表すことを苦手としている人が多いのですが、整数に関する証明では文字を使うことが多く、高等学校でさらに発展して扱われます。中学生の間に,整数を文字を用いて表すことを十分に習得してもらいたいと思います。

 問題5は三平方の定理に関する問題です。(1)(2)は三平方の定理そのものを使って解く、初歩的な問題です。この問題の正答率がそれほど高くないということから、三平方の定理が十分に定着していないことが分かります。図形の問題の正答率が低いのは、教科書で十分に扱われていないためと思われますが、幾何は数学の重要な柱であり,日本の主要な産業である製造業に欠かせません。高等学校の数学Tで学習する三角比につながる単元ですので,中学生の間に基礎固めをしておく必要があります。

 問題6は、作図の問題です。この問題で用いる作図は角の二等分線だけですが、角の二等分線上の点が、角の2辺から等距離にあることを理解していることが必要です。線分の垂直二等分線上の点が、線分の両端から等距離にあることも重要です。また,円の周は1点から等距離にある点の集合です。このように、作図によって得られる図形がどのような図形なのか、またどのような点の集合であるのかを理解することも大切です。

 今回取り上げた問題は,どの検定回でも正答率が低くなる傾向にあります。高等学校では,数学の学習内容がますます抽象化され,文字を用いて説明されることが多くなります。この時期に,それまで数学が好きだった生徒の中に,数学嫌いになる生徒が出てきます。数学の学習は高校受験・大学受験だけでなく,就職試験にも関係してきますので,今回の正答率が低い問題を参考にして,指導に役立ててもらいたいと思います。

 

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