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2011/7 塾ジャーナルより一部抜粋

『価値組』学習塾になるNo.1戦略  強者の戦略編

第2回 塾ならではの「広域戦」で一番になる

大咲 元延 (おおさき もとのぶ)
学生時代からはじめた英会話教室を経営するなかで数多くの取り組みを実践し、独自のノウハウを確立。さまざまな業種の中小企業の開業・経営・集客などのコンサルティングを行う一方、年間50回を越す講演会やセミナーで全国を回っている。中小企業診断士、書店経営者。趣味は、合気道、遊書。 著書は「小さなお店でガッチリ稼ぐ法」ほか。
URL: http://www.oosaki-k.com/

信長は桶狭間の戦いでなぜ勝てたのか

 桶狭間の戦いにおいて、織田信長は今川義元に勝利をおさめました。

 信長は、今川勢の10分の1の軍勢で戦うには、狭い地域で戦うしかないと考えてこの場所を選びました。これがもし濃尾平野で戦ったとしたら、信長に勝ち目はなかったでしょう。

 弱者は、広い地域では、兵力が分散され勝つ見込みが薄くなります。そのため、地理的、商品、顧客において、狭い地域で戦うか、市場を細分化し、そこに全勢力を投入するというやり方をします。これが弱者の戦略でいう「局地戦」です。

強者の力が十分に発揮できる「広域戦」

 この戦略に対して、強者は「広域戦」で戦う必要があります。強者は弱者の戦略をとらせないことが基本であるため、場面を限定せず、なるべく広範囲の市場を押さえるようにします。弱者に対して局地戦の場面を広げさせたり、局地戦を展開させないようにしたりすることが必要です。強者が強者たる力を発揮できる場面で展開すれば、形勢は有利になるのです。

大市場で戦う

 地理的な面においては、日本全国を対象にする、または東京、大阪、名古屋などの大市場を対象にするというのが、広域戦の地域としてわかりやすいと思います。また、特定の地域においても、川や鉄道で区切られていない地域などは、情報が行き渡りやすいため、広域戦がやりやすい地域になります。

 弱者がこの広域戦の地域の中の特定地域を攻めようとしても、地域間の連動がしやすいと、いくら力を集中しても情報がもれてしまい、良い結果をもたらすことは難しくなります。逆に知名度がある強者は、その力を十分に発揮できるため、強者は広域での展開をする必要があります。

大きな商圏を設定する

 「広域戦」での地理的な側面では、学習塾においては生徒が日々通塾できる範囲がおのずから限られます。バスや電車などの公共交通機関が発達した地域においては、通塾時間が30分程度は十分に商圏となるでしょう。

 兵庫県や大阪を中心として中学受験に力を入れている進学塾では、大半の生徒が1時間以上かけて通塾しています。保護者にとって、それだけその塾が魅力的だということでしょう。

 公共交通機関が十分でない地域においては、通塾バスを出しているところ以外は、自転車で30分程度、距離で半径約10kmを商圏ととらえる必要があります。もちろん鉄道や河川などの制限を考慮する必要がありますが。

 強者の戦略の「広域戦」では、弱者よりも大きな商圏を設定することが重要です。ネームバリューを活かした宣伝効果を上げるためには、大きな範囲に大網をかけるようにしなければいけません。

「それではウチも」の保護者を狙う

 保護者の中には、堅い信念を持っている方がおられます。「○○塾が絶対にいい」「上の子が△△塾で志望高校に合格したから」と他の塾には全く関心を持たない頑固な顧客です。こういった方は局地戦的顧客といって構いません。

 一方、子供の同級生の保護者の動きや宣伝に敏感で、地域内の口コミに左右される顧客がいます。保護者の間では、人脈や情報が発達しているため、「あの子が○○塾に行っていて成績が上がったらしいから」とか「皆が行っているから」という理由で「それではウチも」という保護者が多いのも事実です。強者としては、こういった保護者を狙うことが望まれます。そのためには、オピニオンリーダーをつかまえてファンにすることが重要になります。

地域一番塾の維持

 A進学塾は、その地域においては生徒数において一番であるという自負をもっています。以前、ライバルであるB塾が、価格攻勢を仕掛けてきましたが、「ミート作戦」を用いて対抗することで、追随をおさえることができました。

 しかし、依然として状況は予断をゆるさないものになっています。経営者であるK氏は、今後も一番を維持していくには、どういった方法をとるのがいいのかを模索していました。

宣伝のやり方を再構築

 A進学塾は、生徒募集に関しての宣伝として、春の募集時期と夏期講習、秋期募集、冬期講習に新聞折り込みチラシ、テレビCM、ホームページの3つを行ってきました。

 ただ、これには大きな広告費がかかることにK氏は頭を抱えていました。といって、どれかを縮小または廃止すると、募集に影響があるのではないかと危惧していました。

 K氏は、ランチェスター戦略強者の戦略における「広域戦」とは、単に広い地域に莫大な広告費を投じて宣伝することであると考えていたのです。「広域戦」は、確かに大市場で闘うことですが、有限な資源は有効に使わなくては意味がありません。宣伝広告の意味を今一度捉えなおし、やり方を再構築すべき時にきているのです。

頭の中のシェアがNo.1

 何のために宣伝をするのかというと、当然生徒を集めるためです。では募集時期だけに生徒や保護者に塾の名前を印象付ければいいのかというと、そうではありません。誰もが情報を簡単に集めることができる現在、塾側が考えるほどお客様の頭に塾名は浸透していません。これからは、地域でのシェアにおいてNo.1なるよりも、お客様の頭の中のシェアがNo.1になることを考えなければいけません。

 どういうことかというと、母親が子供を塾に行かせようと考えた時に、真っ先に名前が頭に浮かぶようにする、これが頭の中のシェアNo.1ということです。これが出来ていないと、タイミング良くその時に、チラシが入り、テレビCMが流れていればいいのですが、そうでないと他塾に行ってしまうと考えられます。そのためにも塾名が浸透していなければいけないということです。

自社のHPに来てもらう

 大市場で闘うというと、すぐにテレビCMを考えます。しかし、これには莫大なコストがかかります。しかも、1回15秒のCMで見る人に印象づけるためには、どれだけ数多くCMを流さなくてはいけないか分りません。それに対してどれだけ生徒が集まるかというコストパフォーマンスは、必ずしも高いとはいえません。近年、大企業でさえもTVCMを減らしてきているといいます。その分がネット広告に流れているといわれています。

 今後ネットは、今まで以上に大切なツールになってきます。しかし、地方都市の学習塾においては、自社のHPにどのように来てもらうかという手段を考えなくてはいけません。

塾名を頭に刷り込む

 子供の塾を決めるのは、どこの家庭でも母親に権限があるようです。そこで、20代〜40代の女性が集まるところの近くに、看板を設置しました。

 スーパーマーケット、幼稚園・保育園、小中学校、駅・バス停など。また、塾生の中で商店や美容院などをされている方をピックアップして、ポスターを年間通して貼ってもらうようにお願いしました。もちろん掲示料は支払います。

 常に同じところに看板やポスターがあると、人は知らない間に塾名が頭の中に刷り込まれていきます。潜在意識の中に入ってしまうのです。

塾本来の「広域戦」

 次に看板やポスターとネットの融合。アナログとデジタルのコラボです。看板やポスターには、必ず目立つようにQRコードを付けておきます。最近の特に若い人は、携帯電話でWEBを見ることがパソコンよりも多く、何の抵抗もなく見ます。

 当然、塾のHPでは携帯サイトを設けておき、塾の宣伝だけでなく、さまざまな情報を公開しておきます。それも訪問してくれた人に得になる情報を頻繁に更新することが重要です。

 どこに行っても、塾の看板やポスターが目につき、自由に貴重な情報を入手できる。これが地域で生きる学習塾、進学塾の本来の「広域戦」と言えるのではないでしょうか。

 

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