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2011/1 塾ジャーナルより一部抜粋

『価値組』学習塾になるNo.1戦略

第5回 対象顧客を絞った「一点集中主義」

大咲 元延 (おおさき もとのぶ)
学生時代からはじめた英会話教室を経営するなかで数多くの取り組みを実践し、独自のノウハウを確立。さまざまな業種の中小企業の開業・経営・集客などのコンサルティングを行う一方、年間50回を越す講演会やセミナーで全国を回っている。中小企業診断士、書店経営者。趣味は、合気道、遊書。 著書は「小さなお店でガッチリ稼ぐ法」ほか。
URL: http://www.oosaki-k.com/

仏教を学ぶ唯一の場

 外交問題、景気の低迷、政治不信など、世の中が混迷している時代だからなのか、一般の人で本気で仏教を学びたいという気持ちを持っている人が増えているようです。宗教を学ぶというよりも、心のよりどころを求めてというのが目的みたいです。

 たくさんの書籍が出版されていますが、あまりにも数が多いのでどれを読んだらいいのか分かりません。かといって、一般の人は仏教関連の大学に入るという訳にもいきません。そういった人が仏教を最適な状態で学ぶことができる、東京国際仏教塾というものがあります。各宗派の僧侶が集まって、一般の人に仏教を勉強してもらおうと20数年前に創設されました。このような形態で仏教を学ぶというのは、ここが全国で唯一の場です。

全国から受講生がやってくる

 毎年約100名近くの人が東京周辺のお寺で修行をするためにやって来られます。受講者の募集方法は、ホームページと仏教関連の雑誌への広告。修行の開催は、週末とか連休など、仕事を持っている人も来やすい日程にはしていますが、受講生の大半は、仕事をリタイアした人です。仏教を学ぶということからも、対象とする受講生はどうしても中高年になるようです。

 リタイアした人は、時間面でも経済面でも余裕があるせいか、受講生は遠くは北海道や沖縄からなど全国から来られます。こういった形で仏教を学べるところがないということから、地理的に離れているということは気にならないのかもしれません。

一点集中主義

 「仏教を本気で学びたい中高年」というように、対象となるお客様に一点集中することで年々受講希望者が増加し続けて、毎年定員を満たしてしまい、断る人も出ているというくらいになっています。当然、募集方法、募集内容なども中高年向けにしていることは言うまでもありません。

 今回は、ランチェスター経営戦略のなかでもっとも大切な「一点集中主義」についてお話します。
一点集中主義とは、「狙い打ち」のことです。戦いにおいて弱者は力を分散させることなく、少ない資源を一点に集中していかなければ勝つ見込みはありません。弱者は、少ない人・物・金を平均的に投入していたのでは、いつまでたっても現状を打開することはできないからです。

力を一つに重点化する

 当シリーズ第2回「限定した範囲で戦う」では、地域・商品・顧客層を細分化した中で戦うとお話ししました。今回は、この細分化したもののなかから重点をおくべきものを決めて、そこに力を集中する方法をお話します。これが一点集中です。

 一点集中の最大の課題は、何を重点化するかという点です。重点化するものを決める要因としては、●市場規模 ●成長性 ●競合状況 などがあげられます。

 重点化というと、どうしても市場規模や成長性を重視しがちです。しかし、規模の大きな市場や成長市場は、激戦であるうえに各社が力を入れています。弱者がいくら集中攻撃をかけたとしても勝てる見込みは少ないと考えます。

目的はナンバーワン作り

 一点集中の目的は、あくまでもナンバーワン作り。したがって、弱者は市場規模や成長性よりも競合状況を重視します。たとえ、市場規模が小さくても、成長性への期待が少なくても、重点化してナンバーワン作りを目指します。勝ちやすいものを選択するということです。

 他社が力をいれていないところほど逆転は容易にできます。弱者は欲張らずに、ナンバーワンになるように重点化することが必要なのです。

 先ほどの仏教塾も主宰されている方たちは、手弁当でされています。そんなところに大企業は絶対に参戦しません。したがって、仏教塾はナンバーワンであり続けることが可能です。

学力面で区分という基準

 学習塾では、子どもの数が減少してきて、対象とする生徒を絞るということは困難です。優秀な生徒ばかりを集めることはなかなかできないといわれるかもしれません。ただ、今の学習塾は、ほとんどが学力面という基準で生徒を集めているように思えます。

 成績優秀な生徒ばかりを集めて、有名学校に合格させる進学塾。成績は中くらいの生徒を対象として、学校での順位を上位に上げて、さらによりよい学校に進学させるという学習塾。それ以外の生徒を集めて、学校の勉強についていく、もしくは遅れながらでも一歩ずつ理解させていくとする補習を中心とした塾。いずれも学力という観点からの区分であり、これは周りの塾を見渡してもどこも同じようにしています。だから、一つの塾がなくなっても、そこに通っていた生徒は隣の塾に行くのでまったく困ることはないという現象さえでてきています。

サイエンス教育でナンバーワン

 他の基準でもって、対象とする生徒を集めることはできないでしょうか。最近では、理系に進む学生が減ってきて、「もの作り日本」の将来が危ういとまで言われています。そんな中、ノーベル賞の受賞者のニュースを見た親たちが、子どもに理系に進むことを望んでいることも同時に報道されています。であれば、理科、数学が苦手な生徒ばかりを集めて、徹底的にサイエンス教育をする塾があってもいいのではないでしょうか。すでに理科の実験を売り物にしている塾はあります。しかし、もっと突っ込んでノーベル賞受賞者を招聘して話を聞いたり、大学のオープンキャンパスで訪問したりといった、生徒にサイエンスに興味をもってもらうイベントをすると、生徒の力がつくだけでなく、その分野でナンバーワンになることも可能です。

対象顧客層を絞る戦略

 また、そういった教育の仕方をパッケージ化することで、学ぶ生徒を、塾周辺の児童、生徒に限るのではなく、全国で販売することができます。生徒を一ヵ所に集めるのではなく、生徒のいるところに出かけていくということも可能です。全国の主要個所で年に数回ずつスクーリングという形態をとることやオンライン授業など、手法はさまざま考えられます。

 人はそれが他で求めることができないのであれば、どのような方法をとっても手に入れたいと思います。それは万人が求めているものである必要はありません。顧客対象を絞った商品であるからこそ値打ちがあります。

 今自分の手元にある商品に付加価値をつけて、対象とする顧客を探すのか、対象をする顧客に応じた商品を作り上げて販売するのか、いずれにせよしっかりと顧客を見据えた戦略を立てる必要があります。

真っ先に頭に浮かぶ塾になる

 新しいことを考える際に、同業種内を見渡しても参考になる事例はありません。たとえあったとしても、それはすでにどこかの塾がやっているため二番煎じ、三番煎じになります。

 先ほどの東京国際仏教塾は、対象が中高年、内容が仏教を学ぶということで、子どもを対象とした学習塾とはまったく違います。しかし、全国から人を集めており、それがわが国唯一の形態をもった仏教学習機関であり、20数年も続いているということから、学ぶ点はたくさんあります。

 人を集めるには、あることを考えた時に、その人の頭に自分のところが真っ先に浮かぶようにならなければいけません。そのためにも、他社とは全く違うものでなければいけないということです。

 一点集中とは、最終的には全体で勝つためのステップであり、攻撃の優先順位づけです。一ヵ所でナンバーワンができれば、次にというように一つずつシェアを増やしていけばいいのです。

 とにかく弱者は、どんなに小さくても、ナンバーワンになることが重要だということです。ナンバーワンになって初めて、人の頭に真っ先に自分の塾が浮かぶようになるのです。

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