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2010/5 塾ジャーナルより一部抜粋

『価値組』学習塾になるNo.1戦略

第1回 徹底した差別化を図れ

大咲 元延 (おおさき もとのぶ)
学生時代からはじめた英会話教室を経営するなかで数多くの取り組みを実践し、独自のノウハウを確立。さまざまな業種の中小企業の開業・経営・集客などのコンサルティングを行う一方、年間50回を越す講演会やセミナーで全国を回っている。中小企業診断士、書店経営者。趣味は、合気道、遊書。 著書は「小さなお店でガッチリ稼ぐ法」ほか。
URL: http://www.oosaki-k.com/

経営は人生と同じ

 経営というのは、人間の生き方と同じだと考えます。人間は20歳代、30歳代の血気盛んな時には、無茶なことや、冒険をして成長します。体力があり、時間があるからです。でも50歳を越すとそういうわけにはいきません。別のやり方で生き残っていくことが求められます。日本の経済は、今や青年期ではなく壮年期だといえます。そういった中では、企業は血気盛んなバブル期や好景気の時と同じ戦略ではやっていけません。壮年期には壮年期に合ったように、経営のやり方自体を変えていかないと生き残ってはいけません。

経営戦略を変えて『価値組』に

 戦略を変えるにあたっては、新しい考え方やツールを持つ必要があります。その一つが、ランチェスター戦略と言われるものです。ランチェスター戦略では、ある一定の地域で、企業を大きく強者と弱者に分類します。強者とはその地域の中でのトップ企業を指します。2位以下の企業はすべて弱者ととらえます。ということは、ほとんどの企業が弱者というわけです。強者がとる戦略と弱者がとる戦略はまったく違います。これを間違うと、効果が出ないだけなく、つぶれてしまうことすらあります。

 ただ、弱者だからといって、すべてが劣っているとは言えません。小さくてもキラリと光るもの、私はそれを『価値』と呼んでいます。この『価値』を磨き上げていくことで戦略が活かされるようになります。読者の皆様にはぜひとも『価値組』学習塾になっていただきたいと思います。

 これから1年に渡って、塾経営に役に立つランチェスター戦略における弱者の戦略について述べていきます。

差別化は逆転を図る武器

 差別化とは、戦いにおいて武器の性能や腕前を上げることです。まともに戦っては勝ち目のない弱者は、武田信玄の騎馬隊や織田信長の鉄砲のように、差別化を図ることで戦いに勝つことができます。

 強者は強者であること自体が差別化です。テレビ宣伝をして、大量のチラシを入れている地域一番塾は、過去の実績や知名度が、保護者に対して圧倒的な安心感や信頼感をもたらします。一方、劣る弱者は、強者との戦いにおいて、それに対抗しうる差別化を持つ必要があります。

 我が国の企業は、他者が成功するとスグにそのマネをする傾向があります。弱者は安直にマネをすべきではありません。弱者が強者と同じことをしていては、いつまでたっても差は縮まりません。

 差別化には次のような戦略があります。ただし、一つの差別化だけでは力になりません。3つ以上あってはじめて逆転を図る武器になるのです。

商品の差別化

 塾における商品とは、学年ごとの科目の授業および、夏期講習や英検講習などの特別コースなどを指します。それは、最も基本的なものであり、大きな差がつけにくいものでもあります。

 塾ならびに講師は、自分の塾の商品である授業は、当然のことながら優秀であるという意識を強くもっています。「良い授業さえしていれば生徒は集まる」と思っている塾もあるかもしれません。

 しかし、保護者は、それほど分かっている訳ではありません。口コミやチラシが最大の情報源ですので、どこでも大した違いはないのではないかと思っていることが多いのです。

 授業の品質が高いにこしたことはありませんが、これだけでは逆転はできません。商品の差別化を活かすためには、商品のセールスポイントを3つ以内に絞って強調することが必要です。

見せ方の差別化

 見せ方の差別化とは、コースのネーミングや数種類のコースのパッケージ化などを魅力的に見せる方法を指します。これは主に、企画力、アイデア力によるものといえます。

 靴売り場で、「シニアの女性向けウォーキングシューズ」という商品があります。これも見せ方の差別化のひとつです。これは、対象や用途を絞ることによって生まれた商品です。

 企画力やアイデア力はほとんどが無限に近いものです。先入観や固定観念にとらわれずに考えれば、新しいものはいくらでもでてくるはずです。

 例をあげれば、「算数の点数をあと10点あげたい小学5年ハリキリコース」「理科計算にバッチリ強くなる計算達人コース」など

サービスの差別化

 サービスには2つあります。一つは直接的サービス(価格、キャンペーン、設備など)もう一つは、間接的サービス(情報提供、カウンセリング、雰囲気、センスなど)どちらも重要なのは言うまでもありませんが、弱者としては、お金が絡むサービスを前面に出すことは極力控えた方がいいでしょう。

 ここでは、直接指導する講師以外の塾長も含めたスタッフ一同の、生徒への接し方が重要です。単に全員が笑顔で接するということではなく、厳しくする人、やさしくなだめる人などの役割分担ができていることも大切です。

 生徒や保護者から見て「タメになる」情報の提供や、生徒一人一人の学習や生活面で親身に相談できるカウンセリング機能があることも差別化の要因になります。

宣伝方法の差別化

 長年やっていると、チラシや新聞広告などの宣伝をしなくても生徒が集まるようになるのが理想ですが、そうはいかないのが現実です。

 宣伝には、量と質の差別化があります。弱者は大網をうつように大量な形の宣伝をすることはできませんが、狙いを絞って集中攻撃をかけることは必要です。

 宣伝の質、特にチラシ広告に関しては、塾長の考え方を前面に出すことと、講師全員の写真ならびにプロフィール、それぞれが生徒に向けたやる気の出るひと言などを入れ、人間味を前面に押し出すことで差別化を図るようにしたいものです。

チャネルの差別化

 ここでいうチャネルとは、宣伝を図る人脈のことをいいます。いわゆる口コミが効果的に発生する仕掛けをいかに発生させるかということです。保護者の中、特に母親のグループの中には、オピニオンリーダーという人が必ず存在します。なんとなくその人の言うことに耳を傾けてしまう、またはその人の意見が通ってしまうという人のことです。そういった人をうまくつかまえて、塾の影の広報担当にしてしまうと塾運営がやりやすくなります。生徒募集だけでなく、塾の経営方針や講師の人となりがうまく伝わり、モンスターペアレントなどの発生が防げるようになるからです。

 適任者としては、学校のPTA活動を熱心にしている人や、地域の青少年活動、婦人部活動をされている人がいいでしょう。毎日忙しく立ち働いている人ほど役に立ってくれるものです。

 こういった人を見つけ、組織化していくためには、それなりの手段を持つ必要があります。母親向けのクラスを昼の時間に設けることが考えられます。例えば英会話コースや英詩朗読コース、源氏物語コースなどを低価格の受講料で開催するなど。レッスンの後のティータイムで、雑談をする時間をとればコミュニケーションが深くなるのではないでしょうか。

「良さ」よりも「違い」

 差別化は、ランチェスター弱者の戦略の基本です。同じことを同じように教える塾が2つあっても、お客からすると1つしかないのと同じです。これからの時代は「良さ」よりも「違い」を訴えることが最重要課題になってきます。『他塾との違いは何か』を常に考えて塾経営をしていただきたいと考えます。

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