―御社の設立理念から教えてください。
岩田 河合塾グループ全体として、現役高校生の市場を開拓したい意向がありました。高校生は部活動も忙しく、決められた時間に自分のレベルに合った授業を受けることが難しいのが現状です。そのため、マナビスという新しい業態を開発しました。
河合塾マナビスでは、全国の河合塾から選び抜かれた講師によるマナビス専用の映像授業とテキストを作成。520を超える講座をビデオオンデマンドで受講できる。生徒は部活などの自分の都合に合わせ、自由に受講時間を決められる。レベルに沿って繰り返しや先取り学習も可能。生徒には専任のアドバイザーがつき、学習プランの立案から学習進捗の確認などのサポートを行う。
―マナビスが他の映像授業教育システムと違う点は何でしょうか。
岩田 われわれが常に意識しているのは、映像授業をハードとした場合、ハードとソフトが一体化した業態でありたいということです。映像授業の内容には自信を持っておりますが、生徒にはなかなか他社との違いはわかりにくいものです。そこで生徒一人ひとりのためになるのにはどうしたらよいかを考え、ソフトの部分では専任のアドバイザーを設け、個別指導塾と同等のケアを行うようにしました。
―アドバイザーはどんなことをするのですか。
岩田 まず生徒の行きたい大学や学部を聞き、それに対して今の学力はどのレベルなのかを確認します。志望大学に合格できるよう受講プランをたて、学力アップを図りますが、入試までの期間、そしてどのくらい受講が可能かという経済的なことも保護者の方と相談しながら、様々な要素を加味してアドバイスをしていきます。
―アドバイザーの育成はどのように行っていますか。
岩田 河合塾マナビスのFC校で、アドバイザーを務めるのはFC加盟塾の社員の方です。校舎のカギを握るアドバイザーはとても重要ですので、私共も人材育成に力を入れています。
最初の研修会では、学習プランニング手法や生徒指導ノウハウを学んでいただき、さらに大学入試の基本的な知識や近年の動向について解説いたします。大学受験の情報は多様化しており、豊富な情報をどう捉えるかが難しくなっていますので、研修会では情報を読み解く方法もレクチャーします。 その後も四半期毎に校舎長が集まり、研修を行います。また本部からスーパーバイザーを派遣し、各校舎での課題・施策などを現場スタッフと膝を交えながらアドバイスをします。場合によってはスーパーバイザーが生徒にアドバイスすることも可能です。
―生徒の反応はいかがですか。
岩田 合格者の声を集めた時、ほとんどのマナビス生が「アドバイザー」への感謝の言葉を入れてくれました。「小さなことでも丁寧に教えてくれた」「アドバイサーのおかげで最後まで頑張れた」など、コメントが多く寄せられました。これこそ、私たちが目指していたものです。対面授業の塾・予備校だと「あの先生の講座が良かった」という声が多いのですが、マナビスではアドバイザーの存在が大きいのに、正直びっくりしました。教科指導も重要ですが、不安になる受験生の相談に乗ったり、やる気に火をつけたりすることが、アドバイザーとして大切なことだと感じています。
河合塾マナビスで
塾全体の力がアップ
―河合塾マナビスを導入される塾はどんな塾が多いのでしょうか。
岩田 小・中学生を対象とした塾で中学卒業後も生徒を受け入れたいと思っておられる塾が多いと思います。他にも高校生の個別指導をされてない塾や高校の補習や定期テスト対策の講座はあるけれども、大学受験には対応していな塾など、様々なところからお問い合わせをいただいています。
―河合塾マナビスが成功しやすい立地条件はありますか。
岩田 周辺に高校が何校かあれば間違いなく生徒は集まると思います。とはいえ、競合は必ず存在しますので、特長を持った塾であることが必要だと考えます。河合塾マナビスは、他塾との差別化が図れると同時に、導入したことで他の部門も伸び、塾全体の底上げにつながったというお話も聞き、嬉しく思っています。
―河合塾マナビスをどのような塾にしたいと考えていますか。
岩田 よく私は『私共とFCの皆様はWin-Winの関係である』とお話させていただいています。弊社だけの利益を考えるのではなく、私共の万全のバックアップ体制のもと、加盟された塾が地域に求められ、なくてはならない進学塾になっていただく。そうすることが、最終的に生徒や保護者の方の満足につながっていきます。私は河合塾マナビスを「口コミで集まるような塾」にしたいのです。それには、全国どこへ行っても同レベルの指導が受けられるよう、さらなる標準化を図っていきたいと思っています。
―最後に河合塾マナビスの今後の方針を教えてください。
岩田 私共は「感動、成長」を呼び込む教育機関でありたいと思っています。生徒に感動と成長を与えるには、まず自分たちが感動しなくてはなりません。弊社では社員は感動したことをメモに取り、それを社内で共有するなど、企業風土として「感動、成長」をキーワードにした活動に取り組んでいます。こうした経営理念に賛同していただき、多くの塾の方に河合塾マナビスに加盟していただきたい。そして、FCの皆様とWin-Winの関係を築いていければと考えています。
河合塾マナビスを導入した学習塾にインタビュー
河合塾マナビス南大沢校
(主催:進学舎クオリア 代表 中野洋市氏)
―導入して良かった点は何ですか。
マナビス南大沢校 マナビス生からの反応は「家の近くで河合塾の授業が受けられる」「映像授業に不安がありましたが、分かりやすい」「夜遅くまで自習室が使えるので便利」「河合塾なので安心」など。保護者からも「河合塾というブランドへの安心感」「家から近いので夜遅くても安心」「子どもが熱心に通っている」等の声が寄せられています。また、塾のスタッフにも新しい事業への期待から、活気が出てきたのを感じています。
―進学実績は?
マナビス南大沢校 初年度なので実績はありませんが、東大・一橋・東工大など国公立志望の生徒が多く在籍しています。「学校の授業がよくわかるようになった」という声も多いですね。
―河合塾マナビス導入を検討されている塾の方にメッセージをください。
マナビス南大沢校 「河合塾」というブランドは、大変強いと実感しました。しかし、それに頼るだけでは生徒・保護者の信頼を得ることはできないことも痛感しています。ブランド力が強ければ、それ相応の期待があります。期待に応えるサービスが提供できて初めて、地域から信頼され、名実ともにブランドとなっていくと思っています。
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