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2007/11 塾ジャーナルより一部抜粋

埼玉県私塾協同組合20周年記念式典

  2007年9月23日(日) / 於 大宮ソニックシティ(埼玉県さいたま市)
主催 埼玉県私塾協同組合
 
     

学習塾の協同組合として、全国で3番目に誕生した埼玉県私塾協同組合は今年、設立20周年を迎えた。同組合には現在県内の約30塾が加盟し、研修会や教材教具展開催など活発な活動を展開している。9月23日(日)には、20周年記念式典と記念講演会・祝賀会を催し、節目の年を盛大に祝った。

記念式典

記念式典は、埼玉県私塾協同組合の新井惠詞理事が司会進行を務め、加藤和彦専務理事の開会の辞により開始された。

最初に、同組合の坂田義勝理事長が主催者の挨拶に立ち、20周年を迎えられたことへの感謝の気持ちを述べた。

続いて、全国各地からお祝いに駆けつけた学習塾団体代表13名が壇上に招かれ、来賓挨拶を述べた。

社団法人全国学習塾協会会長 伊藤政倫 氏

日本は世界の中で韓国に次いで2番目に、教育の私費負担率が高い国です。子どもたちが私立学校や学習塾など民間の教育を受けようとすると、保護者には重い費用負担がかかってしまいます。私どもは、この費用負担の軽減を政府に訴えていく考えです。

しかし、そのためにはまず、教育面で民間教育の提供している教育サービスが公教育よりも優れているという結果を出さなければなりません。その意味で、私立学校も学習塾も共に、1人の子どもをはさんで同じ立場、同じ気持ちで教育に取り組んでいると考えます。今後ますます互いの連携を深め、日本の子どもが世界に通用する大人になれるよう、その成長を助けていきたいと思います。

全国学習塾協同組合理事長 森貞孝 氏

学習塾の世界では、この20年間に次々と協同組合が設立されました。しかし同時に、急激な少子化により多くの塾が消えていきました。協同組合は中小企業等協同組合法という法律のもとで設立されています。したがって小さな塾が互いに手を取り合い、自分たちの仕事を支えていこうとするものです。設立20周年を迎えられた埼玉県私塾協同組合の皆様も、少子化のなかで大変な努力をされてこられたことと思います。我々全国組合も中小塾のバックボーンでありたいという思いは変わりません。今後とも手を取り合い、塾の発展と子どもたちの教育のために頑張っていきたいと考えます。

社団法人かながわ民間教育協会顧問 松田邦道 氏

今の教育行政に対する不満はともかく、我々は学習塾の社会的位置づけをもっと高めていく必要があります。各県におかれては教育委員会との良好な関係を築くことで、県の学習塾に対する行政が変わってくるでしょう。「教育とは何か」と論じ合うだけでなく、学習塾の経営基盤の確立と底上げを目指していかなければなりません。昨年より各地の学習塾団体が次々と設立20周年を迎えられています。この20周年という区切りを、学習塾が頑張っていこうというきっかけとして位置づけたいと考えます。

NPO法人塾全協東日本ブロック理事長 菅原明之 氏

先日、ある若手塾長の集まりに出席して大変驚かされました。4年前にその集まりが発足したときは、生徒数がわずか40名ほどの駆け出しの塾だった皆さんが、3倍ないし10倍にまで生徒数を増やされていたのです。

学習塾が現在、厳しい状況に置かれていることは事実ですが、そのなかにも新しい芽があることをご承知おきください。

それに、向かい風ばかりではありません。いま学校関係者は非常に困っています。団塊世代の大量退職が続いているうえに、公立の小中学校では30代・40代の教員が非常に少ない。さらに優秀な人材をなかなか採用できないという問題があります。

人材という面では、我々には素晴らしい経験を積み上げて来られた先生方が大勢おられます。私自身は、これから、ひょっとしたら塾業界がさらに発展していくのではないかという予感すらしています。

この後も各塾団体代表から次々と祝辞が贈られ、プログラムは記念講演へと移った。

記念講演では、最初に評論家の小浜逸郎氏が「若者の自立とは」と題して講演した。小浜氏は家族論や学校論、さらに思想・哲学にわたって幅広く批評活動を展開している。著書は『死にたくないが、生きたくもない。』(幻冬舎新書)、『「責任」はだれにあるのか』(PHP研究所)、『正しい大人化計画』(ちくま新書)など多数ある。

記念講演

「若者の自立とは?」
批評家・国士舘大学客員教授 小浜逸郎 氏

大人の条件

若者が自立すると、一人前の大人として認められます。しかし、現代の日本社会は、何をもって大人になったのかがわかりにくいという状況にあります。そこで、まず「大人とはこういうもの」という共通理解が必要です。

私が考える大人の条件とは、次の7項目です。

A生理的大人 @年齢を経て、身体が大きくなる。A生殖能力がある。
B社会的大人 B親から経済的に自立している。C家庭や仕事で責任を果たせる。
C心理的大人 D落ち着いていて、小さなことで騒がない。E場面に応じて態度を使い分けられる。Fいろいろな知恵・知識があってそれを伝えられる。

これらの条件をクリアしていれば、大人として認められるのではないでしょうか。ところが、この7項目を完全にクリアしている人はそう多くはないようです。今の社会では、30歳ぐらいになっても、自分が大人になった自覚がないという人はたくさんいます。

今の日本が、このAとBCの間に非常に大きなギャップが開いている社会であるということ。ここに現在の子ども・若者問題の核心があります。

逸脱する若者たち

昨今問題となっているのは、引きこもりやニート、フリーターです。その数は、引きこもり100万人、ニート60万人、フリーター400万人とも言われています。

これらの原因をひとつには特定できません。ただし引きこもりの場合は、背景に日本の近代の学校制度の一種の崩れがあるように思われます。学校に強制的に通わなければならない状況。学校で生活していることの一種の倦怠感、アンニュイというものがあるのではないでしょうか。

しかし、いずれにしても問題は、多数の若者が「まっとうな大人」になっていくプロセスから逸脱していっているということです。

このような、若者の足が地に着いてない状態が続くと、産業が停滞する危険性があります。今後、低収入で不安定な生活を送る人たちが増え、貧富の差が広がっていくと、治安の悪化も懸念されます。

そのため、いくつかの複合的な要因を探り当てて、対策を講じていかなければなりません。

私は、ひとつには学齢期が長すぎることが大きな要因になっていると考えています。なぜ学齢期が長すぎるようになったのか? 戦後日本の大衆平等社会を支えていたのは、子どもに高学歴を与えたいという親の切なる願いでした。それが高校全入、さらに大学も希望者は全員入学できる状態をつくり出しました。

もうひとつの要因として、日本の産業構造が高度化し、第三次産業がほとんどを占めるようになったことが挙げられます。農林水産鉱工業などの第一次・第二次産業では、技能が身についたところで、ひとまず大人だという承認を与えられたと思うことができます。

しかし、第三次産業は非常に複雑です。パソコンが使えるからといって、それだけでは十分ではありません。サービス業では人間の心を掴まなければ商売にならない。これは非常に難しいことです。

学齢期が長くなり、第三次産業が中心になったことが、自分は大人として社会に承認されたのだという実感を持てなくさせている要因です。

子ども・若者の大人化構想

ではどうすればよいのか? 私は教育という狭い枠組みではなく、若者の生活全体に関係する社会的要素全部に目を通して対策を講じるべきだと考えます。

そこで、教育・法・労働の3分野にわたって、若者の大人化を促進する「子ども・若者の大人化構想私案」をつくってみました。

教育分野では、まず義務教育を縮小・効率化し、技能教科を民営化する必要があります。
小学校高学年になると教育内容が難しくなるので、現在のように1人の先生が全教科を担当することに無理があります。そのうえ、公教育は学力の底辺層に照準を合わせているので、非常に効率が悪いと言わざるを得ません。

また、美術や体育などの技能教科は、戦前の学校制度のなかで、情操教育が大事だという考えで取り入れられ、今も続いています。しかし、技能教科が情操教育に効果があるかは疑問です。

一方、地域の水泳教室や音楽教室では、小学生にもかなり高度な技術を教えています。これら技能教科は、民営化した方が多様な教育ができるうえ、才能の芽も育ちやすいように思います。

そこで、現在の6・3・3制を4・4・4制に変更し、小学校では、午前中に国算社理の4教科に十分な時間を確保し、みっちり教える。午後は選択肢を増やし、民間で技能教科を受けるのも、学習塾で勉強するのも自由にさせます。

また、少しずつ自分は将来何になるのか、どういうことが苦手で、何に向いているのかという自覚を、親子ともに持たせます。そのためには一定の試行錯誤の時間が必要ですから、中学を4年制にして、早い段階から就労体験を積ませる。そうして子どもに進路のイメージを持たせた上で、4年制高校に進ませます。

高校も現在のような普通高校中心ではなく、専門化・多様化させます。人間には能力差がありますから、微分・積分など抽象的な知識を教えるのに向いている子どもとそうでない子どもがいます。向いていない子どもは、他の選択肢を選べるように、高校の組織改革が必要です。できれば、中学4年間で培った適性と能力にうまくフィットするような進路を、子どもに選ばせる形にした方がよいでしょう。

二段階の通過儀礼

義務教育の短縮化や4・4・4制への移行と併せて、実際的で身近な生活に役立つ「中学倫理」「高校公民」を必修科目とし、専門の先生が教え、修了試験を実施します。

授業では、働く意味は何か、結婚するとはどういうことか、なぜ社会には禁止されていることがあるのか、何をしたらどう罰せられるのかなどを、生徒の生活基盤に近いところで、分かりやすく教えていきます。これが一種の通過儀礼の役目を果たしてくれるのではないでしょうか。

教育課程に合わせて大人への自覚を深めさせるために、中学倫理を修了した段階で半人前のパスポートを与えます。そして、高校公民の資格修了試験をクリアしたら18歳で一人前というパスポートを交付します。このときに、形式として自分の名前・性別・国籍などを自分で選び直させます。今までの、家族に守られていた存在から、法の住民として社会に半分出て行く。そういうルール意識を自覚させることに意味があります。そのためにも、この二段階の通過儀礼を法律で義務化しなければなりません。

また、子どもの社会化を促すために早い時期から就労に機会を設けます。今の小学校6年生ぐらいから、学校教育とは別のところで働けるようなシステムが必要です。働く意味を理解させるためにも、労働に見合う賃金を支払います。この就労経験は履歴として高校・大学進学などに活かすこともできます。そればかりではなく、早い時期から就労機会が与えられれば、自分が何に向いているのかも分かるようになり、雇用と求職のミスマッチが減るのではないでしょうか。

以上、教育・法・労働の3分野が連関する形で、若者の大人化構想を述べさせていただきました。現段階では、「構想」というより「妄想」に近いかもしれませんが、皆様方にもご検討いただければ幸いです。

続いて、民主党衆議院議員の末松義規氏が「脱地球温暖化戦略」と題する講演を行った。
末松氏は最初に、グリーンランドの氷が加速度的に溶け始めていることや、沖縄の珊瑚礁が白化していることなど、「地球温暖化」が地球環境と生物に与えているさまざまな影響を紹介し、温暖化対策が急務であることを訴えた。

実際、我が国の温暖化対策は進んでいない。日本は、1997年に採択された京都議定書において6%の温室効果ガス削減を約束したが、2005年の温室効果ガス排出量は基準年である1990年よりも7.8%も増加している。

これは産業部門の排出量が減少しているのに、業務・家庭部門の排出が大幅に増加していることによる。このままでは目標達成は困難であると予想される。

そこで末松氏は、民主党の国家戦略として「温室効果ガスの排出量取引」と「二酸化炭素の『見える化』の推進」を紹介した。

「温室効果ガスの排出量取引」は、簡単に言うと「Co2に値段をつける」イメージである。国や企業などが一定の基準に従い、温室効果ガスを排出する量の枠を売買する。これにより費用効率的な排出量の削減が可能となる。

また「二酸化炭素の『見える化』」とは、例えば、各家庭で使用する電気やガスがCo2をどれだけ排出しているかを、領収書に記載するなどして「目に見える」ようにするというものだ。つまり、Co2削減を常に意識してもらおうという狙いである。

末松氏は「マイバッグ持参でスーパーに買い物に行く。マイ箸を持ち歩くなど、今の日本では『Co2削減はかっこいい』という意識が生まれてきています。皆様にも新しい時代の哲学をぜひ実践していただきたい」と締めくくった。

講演会の後は、大宮パレスホテルに会場を移して記念祝賀会が盛大に催された。祝賀会には、私学・学習塾の先生方およそ100名が出席し、埼玉県私塾協同組合の設立20周年を改めて祝福した。

 
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