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2007/5 塾ジャーナルより一部抜粋

開明中学校・高等学校に聞く

     

共学化一期生、国公立へ153名
現役進路確保率は80%を超える(81.6%)

2001年に中学校、2004年から高等学校の共学化に踏み切った開明中学校・高等学校。その第一期生326名が今春、6年間の一貫教育を終え卒業した。うち現役で国公立大学へ合格したのは153名で、その成果を明確に示した。現役の進路確保率は、国公立を始め関関同立、早慶上智、医歯薬系大学を含めて80%を超え、生徒全体の進学を保証する開明の伝統があらためて実証される形となった。5年後には「スーパー理数クラス」一期生が卒業の年を迎えるが、早くも期待の声が上がっている。

実績に結びついた改革

90余年の歴史を刻む開明が大きな改革に着手したのは15年前。中学校の設置であった。それ以前、卒業生に占める国公立大合格者数のパーセンテージは一桁台に過ぎなかったが、中高一貫教育を受けた生徒が初めて卒業した1997年には一気に57%に跳ね上がる。同時に、それまでにはなかった国公立・私立医歯薬系大学への合格者も徐々に増やし始めるのである。

さらに2001年、同校は第2の改革へと進み、中学校を共学化する。時すでに男女共同参画社会の機運は広がり、女子を持つ保護者の間に将来の職業観を強く意識した教育を望む声が大きくなっていた。当時、大阪市内には国公立大や難関私大への進学を目指す共学の私立中学校がなかったことを背景に共学化に踏み切ったのだが、6年後の今春、国公立大の合格者数153名(表参照)を数えたことで、改革の成果をはっきりと示したといえる。

森田文明校長は共学化当時をふり返り、「第一期生の女子は1500人ほどの男子生徒がいる学校に、たった50〜60人で入学してきた。相当の勇気が必要だったろうと思うと同時に、それだけ強い目的意識を持っていたと思う」と話す。また、入試広報部長を務める足立昌治氏は「中学校の3年間は女子がクラスの上位を占めることが多かったが、高等学校で男女はほぼ並んだ。競い合う効果があった」と分析する。一般に、女子は中学の早い時期からノートの取り方もうまく整理し、着実に学習を進める根気強さがあるといわれる。一方で、男子はいざという時の集中力・持続力が高い。そうした現実を目の当たりにし、互いに影響力が働くことで学習環境が活性化したことは共学化のメリットといえる。教科学習面だけでなく、文化祭などの行事でも男女共同で創り上げ、クラブ活動にも共に切磋琢磨する日常が総合的に教育効果を高めたことは言うまでもない。

校舎や設備などのハード面はもとより、思春期における生活指導や性教育といったソフト面でもさまざまな検討、議論を尽くした上での周到な共学化であった。

学力の下支えが進学保障に

現役の国立大学合格者の内訳をみると、京大14名、阪大12名、神大30名と、難関大学への数字が軒並み二桁となっている。実は共学化一期生までは「京大に合格」という方針は同校にはなかった。しかし、共学化を契機として京大合格者を増やすことを一つの目標に掲げ一貫教育を行ってきた結果、コースを問わず京大を意識し目指す生徒も現れた。「理数Bコース」で入学し、中3まで同コースに籍を置いていた生徒が京大の経済学部に合格したケースは、新たな方針の実りといえる。

「理数Bコース」といえば、同校では「スーパー理数コース」、「理数Aコース」に次ぐコース。だが、足立入試広報部長はコースに差があることを認めながらも「目標達成のモチベーションを維持できれば、入学時点のコースにとらわれる必要はない」という。実際、繰り上げ合格で入学してきた女子生徒は、今春、神大に合格している。
こうしたいわばリベンジャーのような生徒が珍しくないわけだが、これは同校に成績下位の生徒を下支えする伝統があるためだ。森田校長は「いくら京大の合格者が増えても、開明に入学してきた生徒全体に対し進学保障ができなければ学校として深刻な問題」と受け止め、特に成績下位の生徒に対するフォローを全教員に徹底している。

今春、卒業した生徒の約80%が国公立大、関関同立、早慶上智、医歯薬系大学、他私立大学のいずれかに合格しているという事実は、森田校長のことばを裏づけるもの。また、女子の進路指導では「親元から通える大学に」という保護者の要望も強く、遠くの国立より近くの難関私大をあえて選択するケースがあることも確か。そうした場合、生徒本人と保護者の意向に沿った進路指導を行うことは学校として当然である。

行事が育む興味関心と自分自身を見つめる心

進学目標を達成するため学力以外のファクターとして、学校を始めとする教育機関では「モチベーションの維持」が盛んに言われるが、それを実際に生徒に維持させることは容易ではない。だが、日常、生徒を間近に見ている教員は伸びる子どものタイプを熟知している。同校で進路指導部長を務める村上幸志氏は「もまれてきた子どもは伸びる」と見る。行事やクラブ活動に積極的に参加し人間的にもまれると、自分自身の弱点や性格についてよく考え、それを行動に結びつけるからだという。そうであるなら、学校としては“もまれる環境”をできる限り創り出すことが必要である。

同校では臨海学習や歴史探訪といった種々の教科教育的行事のほか、“もまれる”名物行事「しまなみ海道夜間歩行」を、中学校の卒業記念行事として実施してきた。また、体育的行事では林間学校、山登り、渓流くだりなどを、文化・教養的行事としては古典芸能鑑賞や音楽会と実に豊富な内容に入念に取り組んでいる。
海の生物を採集し、様々な実験を行う理科学習では、理科の勉強の面白さを発見するきっかけになるほか、机上学習にはない五感で納得する楽しさを味わう。「興味や関心をいかに育てるか。数字化しにくいものほど育てることは難しいが、行事を通じて追究する姿勢を持てるかどうかが、その後の学習への取り組み方に大きく関わってくる」と森田校長は行事のもつ意味を強調する。

とりわけ「しまなみ海道夜間歩行」は中3の全員が参加し、43.4qの行程を約14時間かけて歩くというもの。今年の完歩率は97%で、ほぼ全員が歩ききった。まさに“もまれる”行事の代表格としては申し分ないが、引率する教員にとってはこれほど過酷な行事はない。生徒全員の体調を気遣い、事故のないよう隊列調整を行いながらの43.4kmは、体力的にも精神的にも通常の行事とは比較にならないほど大変だ。だが、中には「自分がこれほど苦しかったのだから、先生はもっと大変だっただろう」と想像力を働かせる生徒もいる。この一言で教員の疲れも癒され、また実施するかいもあるというべきだろう。
この行事には保護者も有志がバスで参加し、途中、夜食の豚汁を炊き出し、おにぎりを準備することが恒例となっており、中学校挙げての一大イベントとなっている。励ましあう友人同士、生徒の安全に気を配る教員、保護者の協力、どれ一つ欠けても実施できない「しまなみ海道夜間歩行」は、中学校を卒業する生徒にとって思い出深い行事となるだけでなく、体験を通じて、自分自身を省み、時には叱咤し、励ましながら受験を乗り越える力を身につける。

膨らむ期待応える努力

改革のたびに好結果を出してきた同校だが、この間、ひとつの改革を行うために内部での議論をつくし、見直すべき点を洗い出し、新たな方針を打ち出していくことの積み重ねであった。

昨年始動した「スーパー理数コース」を見ても、在籍する生徒が5年後にどんな結果を出すか早くも期待の声が上がる中、村上進路指導部長が感じるプレッシャーは大きい。1年生で「スーパー理数コース」に入学してきた生徒とは別に、「理数Aコース」「理数Bコース」(計4クラス)には現時点でスーパー理数に匹敵する実力を持った生徒が40名前後いることから、この40名で新たにスーパー理数のクラスを中3進級時(来年)に立ち上げ、より切磋琢磨する環境を創出する方針。

こうした方針を打ち出せるのも「Aコースだから、Bコースだからとコースによって扱いを変えたりしないことが生徒にも伝わり、ヤル気を引き出し学力向上に結びついている」と足立入試広報部長。そうした生徒の意欲に応えようと、ここ1年、教員は相互に授業を公開し、より効果的な指導法の研究に取り組み始めている。「授業は教員にとって真剣勝負の場。公開することによって多少でも教室の空気が変わることは、教員にとって不本意な面もあると思うが、私学として柔軟に社会のニーズに応えていくためには必要なこと」と、村上進路指導部長のリーダーシップのもと、今後、その回数も増やしていくという。

教員の日々の努力が生徒の目標達成を支え、達成感を味わった生徒の笑顔が教員の励みとなって返ってくる。この循環が保たれる限り、同校に対する期待は今後も膨らみそうだ。

校 長: 森田 文明
住 所: 〒536-0006 大阪市城東区野江1-9-9
電 話: 06-6932-4461
交 通: JR、京阪「京橋」駅、京阪本線「野江」駅、地下鉄谷町線「野江内代」駅、地下鉄長堀鶴見緑地線「蒲生四丁目」駅よりそれぞれ徒歩10分
学生数: 中学校  653名
高等学校 782名 (2007.5.1現在)
ホームページ: http://www.kaimei.ed.jp
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