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2006/11 塾ジャーナルより一部抜粋

私塾協同組合連合会 第17回 全国研修大会
「どう伸ばす講師の資質向上!どうする地域格差!」

  2006年9月17日(日)於 もくせい会館(静岡県静岡市葵区鷹匠)
主催 私塾協同組合連合会/主幹 協同組合静岡県私塾連盟
 
     

中小塾や私立校は、かつてないほどの苦境に直面している。少子化による競争が年々厳しくなる中で、大手塾の攻勢は激しさを増し、教育現場での安全性に不安や疑問の声は強まるばかり。昨年末に関西の学習塾で起きた学生アルバイト講師による児童殺害事件が、塾や学校への警戒に拍車をかけている。こうした現状の中で開催された全国研修大会では、児童・生徒の安全をいかに守るか、教職員の資質をいかに高めるかなどが大きな争点となり、活発な論議が交わされた。

全国各地の塾団体が加盟している私塾協同組合連合会では、毎年持ち回りで研修会を開催している。第17回目となる今回は、協同組合静岡県私塾連盟が主幹を務め、静岡市内の「もくせい会館」においての開催となった。

午前中に開かれた「私立中高一貫校説明会」「教育システム発表説明会」に続き、午後からは「どう伸ばす講師の資質向上!どうする地域格差!」と題した教育シンポジウムというタイムスケジュール。まずは、白井衛大会実行委員長が開会の辞を述べた。塾講師や学校関係職員による、児童・生徒を巻き込んだ凶悪事件をはじめ、社会的な事件が多発している昨今の状況に触れながら、教育現場に携わる者は、自身の資質向上を図り、教育スキルを磨く努力が従来以上に必要とされていると語り、「教育現場で児童・生徒に接するときの理想的なかたち、生徒の関心をひきだす指導方法についても、この研修会で盛んな情報交換がなされることを期待する」とした。

シンポジウムに参加したのは、私塾協同組合理事長、私立学校関係者合わせて6名。学力の二極分化の進行、教育現場で多発する事件など、塾を含めた教育の行き先が混沌を深めている中で、教育のあり方の徹底討論を試みるということを主旨とし、長沼滋理事長が司会進行。塾と学校、それぞれの立場からの意見が出されたほか、質疑応答のコーナーでは、会場と盛んな意見交換も行われ、「参考にしたい意見が数々聞けた」「有意義な場だった」の声が多く聞かれた。

これに続く「激論:どうする学力向上・どうする授業!」と題した討論会と、「教育システム発表説明会第二部」とに分かれた分科会も盛況。討論会では、来年度から全国すべての公立小学校で行われる「放課後の無料補講授業」に対する異議が申し立てられた。文部科学省と厚生労働省は、子どもが安心して遊べる居場所作りや、子育ての負担軽減による少子化対策につなげることなどを目的として発表しているが、「補習塾は危機的状況に陥る」「十分な議論がなされないままでの決定は時期尚早だ」「国民からの要求がどこまで高まっているのか疑問」などの反対意見が相次いだ。

教育シンポジウム 子どもの安全をいかに守るか

パネラー(順不同・敬称略)
東京私塾協同組合 理事長 岡田保雄氏
静岡学園中高等学校 校長 松村龍男氏
埼玉県私塾協同組合 理事長 坂田義勝氏
静岡サレジオ中高等学校 教頭 渡邊泰夫氏
茨城県私塾協同組合 理事長 百目鬼晋氏
函館ラサール中高等学校 副校長 井上 治し

コーディネーター 協同組合静岡県私塾連盟 理事長 長沼 滋

長沼 教育現場が事件現場となり、学校の安全性が問題になったのは、大阪教育大付属池田小学校の児童ら殺傷事件以来だと思いますが、それ以降も、教職員や塾講師による事件が続き、「いかに子どもを育てるか」ということだけでなく、「子どもの安全をいかに守るか」が教育現場で問われる状況になっています。この問題に対して、皆さんのところでは、どんな対策を講じておられるのでしょうか。

岡田 私どもの塾では、出欠席の確認、その徹底を基本にしています。子どもが欠席していたら、すぐに家庭に連絡して、問題がないのかどうかを確認する。常に緊張感を持つことが大事だと考えています。

松村 学校の先生だけでなく、塾の先生も子どもの安全を考えなければならない時代になっているのだな、と思います。私たちの学校では、すべての入り口を閉めてしまうとか、そういうことは行っていませんが、教育の場で子どもの身に危険が迫った場合には、教師は体を張って守らねばならない。そういう意識を常に持っているべきだと思います。

坂田 本当に、以前なら考えられないような事件が起こっていますから、塾内の安全ということも対策を講じなくてはいけない。私のところでも、生徒の母親が、かなり神経を尖らせていますね。私どもも、安心、安全に対して常に意識しています。子どもたちが少しでも時間に遅れたら、電話連絡で理由を確認するようにしていますし、メールでのやりとりも必要に応じて行っています。そういう情報連絡手段を駆使することも必要でしょう。

渡邊 学校でも、できる限りのことはすべてやるべきでしょうね。例えば、生徒の通学路や家族構成なども含めて、普段の行動について把握しておく。緊急事態が起きた場合にも、そうした情報をつかめていれば、フレキシブルな対応、連絡がとれます。もちろん、それで絶対安全というわけではなく、予防手段ではありますが。

岡田 ただ一度の事件でも、何かが起きれば私塾はつぶれてしまうという危険があります。事件や事故の防止策として、やれることはやる、やりすぎということはないと言えるでしょう。

松村 私の学校の生徒に起きたことですが、変質者に女子生徒がラブホテル街周辺に連れて行かれたことがあったんです。若い男女が声を掛けて助けてくれて事なきを得たのですが、その一件が私の耳に入ってきたのが、二日も後だったんです。起こった問題そのものもさることながら、担当教員の危機管理意識に問題を感じました。校長の私への報告があまりにも遅い。問題発生時の処理について、判断力が欠けていたと思います。私が教員に求めるのは、そういう時に自分で考える力であり、そういう資質のある教育者を育てなければならないと思っています。生徒に問題が起きたときにも、どう対処するか。問題を抱えた生徒に、どう対峙するか。大学入試のテクニックを教えることに長けていてもダメ。子どもの安全が問われている今、特にこういうことが大事でしょう。

百目鬼 私は、うちの教師たちに「やれる範囲のこと、当たり前のことをやりなさい」と言っていますが、その当たり前のことができない教師が多い。特に、若い先生の中に増えているように感じます。

坂田 我々の努力ももちろん大切ですが、地域の連携も求めたいですね。例えば、児童・生徒の通学路に怪しい人間がいたら、地域の小学校に連絡がいきますが、その情報網を徹底させるためには、地域社会全体が意識して働きかける必要があります。それがないと子どもの安全は守れないでしょう。理想は、その場合に塾にも連絡が来ることで、その点の改善も急務でしょう。

― 一部抜粋 ―
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