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2006/7 塾ジャーナルより一部抜粋

受験情報システム 第55回定例セミナー

  2006年4月27日(木) 於 阪急グランドビル(大阪市北区)
主催 株式会社受験情報システム
 
     

 今年、関西圏の中学入試は初の「近畿地区統一開始日」入試が実施された。これにより、従来「事前入試」として位置づけられてきた奈良・和歌山・滋賀地区の入試も、統一開始日である1月14日に合流。志願者動向が大きく変わった。その影響は「実受験者数」や「歩留まり」にも及び、予想外の展開を見せることとなった。株式会社受験情報システムは4月27日に第55回定例セミナーを開催。豊富なデータを駆使し、今春の中学入試を徹底分析した。

 第1部では、入試日程・難易度別など多角的にデータを検証し、今年度の志願者動向を分析。第2部では各校の定員充足状況と、有名進学塾の合格実績を総括した。

第1部 2006年度関西中学入試を徹底分析する
―― 今年度の志願者動向と来年度への展望 ――

株式会社 受験情報システム 代表取締役 高橋 伸和

後期入試が活況

 今年度の関西地区の中学入試は、岡山を除き、1月14日に初めての統一入試が実施された。したがって、いわゆる「事前入試」がなくなり、入試の構造が大きく変化することとなった。

 各地域ごとの出願状況を昨年と比較すると、大阪0.7%増、兵庫6.3%増、京都0.5%減。これに対し、事前入試ではなくなった奈良が38.6%減、和歌山27.4%減という結果であった。しかし、この数字には後期入試の出願者数も含まれており、統一入試初日の1月14日だけを見ると、奈良では前年比10%未満の学校が続出した。

 受験者の動向を地域・入試日程・難易度などから見ていくと、今春の入試では以下の特徴が見られた。

 まず、併願受験体制が大きく変化した。統一入試により、事前に奈良・和歌山の学校を受験できなくなった分、岡山県下の学校はもちろんのこと、寮のある学校の県外入試受験者が増えた。なかでも函館ラ・サールや土佐塾は前年度比1.6倍の受験者を集めている。

 次に、統一入試初日の「欠試率」の低下。昨年度までであれば、成績上位の男子は、灘と甲陽学院・大阪星光学院などをダブル出願し、東大寺学園や西大和学園の合否によって、どの学校を受験するかを決めていた。

 今年、灘・甲陽学院・大阪星光学院は前年に比較して、出願者数を大きく減らした(資料(1))。しかし「欠試率」も低くなったため、結果として、実受験者数は昨年より増えている。これは事前入試がなくなり、ダブル出願も減少したためである。

 また大きな特徴として、後期日程の難化が挙げられる。初日の1月14日の結果により、「チャレンジか、押さえか」が分かれるが、後期日程の受験者数は増加した。

 総受験者数のなかで初日受験者数の占める割合は、昨年が48.7%に対し、今年は41.4%。常識的に考えて、初日に受験しない子どもはほとんどいないはずだ。つまり、初日が減ったのではなく、後期の方が増えたことを示している。

 後期日程の実質倍率を、男子校・女子校・共学校の別に昨年と比較してみると、駸々堂の偏差値50以上の男子校・女子校は軒並み倍率が上昇している。
  このことから全体として、「後期併願チャレンジ受験型」になってきたといえる。

地域別の志願者動向

 今回の統一入試により、各府県の志願者の流れはどのように変化したのか。

 各地域を代表する学校の府県別志願者の増減(資料(2))から分析する。

 まず灘について。大阪からの出願が214人から143人へ、また奈良も42人から16人へと大きく減らしている。これは、東大寺学園を押さえて、灘にチャレンジという流れがなくなったことによる。

 では東大寺学園はどうか。京都からの出願は225人から138人へと前年比61%。大阪は488人から335人へと前年比68.6%である。京都と比較して大阪の減少率が低いのは、昨今の「星光と東大寺に受かれば東大寺」という東大寺学園志向の表れともいえる。しかし兵庫からは、153人から14人へと激減した。

 一方、洛南高校附属は、兵庫からの出願者を198人から228人へと増やしている。同校は今年共学化したうえに、単日入試・3科4科の選択制・専願の作文と面接の廃止など、受験しやすいように、さまざまな入試改革を実施した。出願者数の伸びは、その成果といえる。

 開明は地元大阪だけでなく、京都・兵庫からも出願者を増やした。兵庫が増えた要因としては、六甲の4教科入試から3教科入試への移行が考えられる。従来のように、明星や高槻と併願することができなくなり、開明あるいは大阪桐蔭へと流れたのではないか。

 同志社女子は京都・大阪からの出願者数を大きく伸ばした。しかし、これは統一入試の影響ではなく、単日入試へ移行した結果と思われる。

入試制度のポイント

 今年度の入試制度変更のポイントを挙げると以下の4点となる。

 まず第1に後期日程の新設、または募集回数増である。今年度は初めての統一入試ということで、学校側も歩留まりを読みきれず、安全策として入試機会を増やしたと考えられる。関西地区の2府3県で、後期日程を新設したり、募集回数を増やした学校は全14校。反対に減らしたのは、金光八尾の1校のみであった。

 第2は、初日と2日目の連続日程。これは昨今の時流のひとつだが、初日の結果を2回目入試の前に知らせるか否かがポイントとなる。なかにはあえて知らせない学校もある。そうすることで、連続日程の2日目を盛り上げようというのだ。これもひとつの戦略といえる。

 第3は単日入試の導入。今年度は洛南高校附属と同志社女子という超大型校が実施。大成功を収めた。

 ちなみに2日間入試を実施しているのは、清教学園と四天王寺・灘・甲陽学院・関西学院・三田学園と非常に少なくなってきた。

 第4は、コースの新設、あるいはコース別募集の開始である。今年は大阪で3校、京都で1校増えた。特に大阪では、コース別募集を実施している学校が全60校のうち35校と6割近くを占めている。

 今年度は統一入試実施により出願者動向が大きく変化し、後期入試の活況という新たな局面を呈した。

 しかし、個々の学校では、「偏差値」「ブランド力」「大学合格実績」「入試戦略」などいくつもの要素が複雑に交錯するなかで入試が行われた。第2部において、結果としての「定員充足」状況から今春の入試を総括する。

― 一部抜粋 ―
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