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中学・高校受験:学びネット

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2006/1 塾ジャーナルより一部抜粋

塾と学校 共存共栄の道が開かれるとき

岡田 保雄
私塾協同組合連合会・東京私塾協同組合 理事長。
昭和24年生まれ。東京学芸大学甲類数学科卒業。1980年武蔵野実践学園志学舎、1985年有限会社新教育研究所設立。現在、私塾協同組合連合会・東京私塾協同組合の理事長、社団法人全国学習塾協会・全国学習塾協同組合の理事として活躍。
 
民間教育という位置から、私たち学習塾は今日まで私立学校と深い絆で結ばれてきました。その中にあって公立学校との関係を持ち始めたのには、二つの大きなきっかけがありました。一つ目は、「学習塾に関する総合的調査研究」における調査研究の成果をまとめた『学習塾』<子ども・親・教師はどう見ているか>(昭和62年7月1日初版発行、著者結城忠・佐藤全・橋迫和幸、発行所株式会社ぎょうせい)が刊行されたことです。過度の塾通い、教育で金儲け等のマスコミの批判が強い中での公正な判断に感謝しました。今でもその時の感動をはっきり覚えています。参考にまえがきを引用します。

まえがき

今日、われわれの子どもたちは、その多くがいろいろな形の塾に通っており、塾に通わない子どもたちも、多かれ少なかれその影響を受けている。子どもたちがなぜ学校以外に塾へ通わねばならないのか。なぜ学校と塾という、教育の二重構造化が進んでいるのか。今後の対応を含めて、塾通いは今日の教育の最も大きな問題の一つであり、また深刻な社会問題の相を呈しているといえるだろう。それはただちに処方箋の書けるような生易しい問題ではない。複雑で対応に苦慮する類のものであるが、しかし、いたずらに手をこまねいているわけにはいかない。

われわれ三人は、横尾壮英氏(前国立教育研究所次長)を研究代表者として、国立教育研究所の所員や所外の研究者、学校教員、塾関係者などの共同研究として行われた「塾を中心とする児童・生徒の校外活動に関する実証的研究」(昭和59年度文部省科学研究費総合A)に参加する機会を与えられた。そして、サブ・グループの一つとして、「学習塾に関する総合的調査研究」に携わることができた。その調査研究のいちおうの成果をまとめたのが、本書である。われわれの調査研究は、いうところの「学校と塾の教育の二重構造」が抱えている諸問題、塾の存在理由や果たしている役割、学校と塾との関係などについて、親や教師、それに子どもたち自身がどのように考えているか、その意識を多角的に探ることを企図している。直接の関係当事者に対する意識調査を通して、「子どもの利益」の実現を旨として、いわゆる「塾問題」に一つのアプローチをしようというわけである。
(以下、割愛)

昭和62年4月                           結城 忠

二つ目は、「学校教育の多様化・弾力化を進めるための外部教育セクターとの連携・協力に関する研究」(1995年12月)で公立の学校と学習塾との連携・協力の方向が明示されたことです。参考にはしがき、研究組織を引用します。

はしがき

この報告書は平成5・6年度の文部省科学研究費による研究成果をとりまとめたものである。

今日の教育改革の基本的な目標は、個人の多様な教育ニーズにきめ細かく対応することによって教育荒廃の解決を図ると共に、個性重視の教育を行うことによって創造性の育成を期することにある。しかし、学校が教育機能を全面的に請け負う在来型の方法をとる限り、教育の多様化・弾力化は膨大な公費支出を必要とすることになり、目下の財政状況の下では実行困難である。となると、現在求めているのは公費支出の増大を避けながら学校教育の多様化・弾力化を図る方策である。われわれはこれを学校外の各種教育セクターとの連携・協力に見出そうと考えた。周知のように、この課題は既に臨時教育審議会が指摘している。すなわち、臨教審は塾など民間教育産業への積極的な対応、官・民の役割分担の明確化、公共サービスと民間サービスとの新しい次元での効果的な協力体制の確立の必要などを力説し、「(1)民間教育産業の新しい役割(の推定)、(2)正確な実態把握と情報提供、(3)学習塾通いの過熱化への対応」が課題であるとした(第3次答申第2章第7節)。しかし、これまでのところそうした要請に対して必ずしも適切な対応がなされてこなかった。

まず、高度情報社会、高度知識社会への展望の中で、長期的な教育産業政策の観点から、教育における民間活力の導入と民間教育産業の成長・発展の可能性ならびに望ましい発展の方向を探り、民間教育産業の新しい役割を確定するという課題についてはそれほど積極的には作業が行われてこなかった。

次に、民間教育産業の実態把握はある程度行われてきたものの、その調査対象は直接教育活動を行っている民間教育産業に限定され、特に受験競争緩和策との関係での学習塾や、生涯学習振興策との絡みでのカルチャー・センターなどに偏しており、教育に果たす民間産業の役割を全体的に把握していない。

最後に、学習塾通いの過熱化への対応はこれまでも熱心に行われてきたが、民間教育産業の役割の積極的な位置付けとその実態把握が不十分なため、専ら過熱化防止という観点のみが先行し、教育関係の事業に関して民間と公共との間で適切な役割分担を図るよう、積極的に民間活力を活かす方向には向かっていない。

そこでわれわれは、公共部門と民間部門との間の代替・補完や連携・協力の実態を明らかにすることと、そうした代替・補完や連携・協力の可能性を見極めることを研究課題とし、次のような内容の研究を計画した。

(1) 教育における公共と民間の役割分担、教育事業に関する民間事業の位置付けに関する理論的検討。

(2) 教育委員会、公私立学校及び民間教育事業者に対する調査を通ずる主に学校教育活動に関連する民間事業に関する実態の把握、公共と民間の適切な協力パターンないしは連携モデルの検出。

(3) 民間教育事業の経済的規模、それに対する家計及び公財政の負担規模の推計(産業連関表からの推計と積み上げ方式による推計)。
(以下、割愛)

平成7年12月                      研究代表者 市川 昭午

研究組織

研究代表者

市川昭午(国立学校財務センター・教授/国立教育研究所・前次長)

研究分担者

結城 忠(国立教育研究所教育政策研究部・室長)
屋敷和佳(国立教育研究所教育政策研究部・室長)
塚原修一(国立教育研究所教育政策研究部・室長)
伊藤彰浩(国立教育研究所教育政策研究部・研究員)     
葉養正明(東京学芸大学教育学部・助教授)
田中敬文(東京学芸大学教育学部・講師)
三輪建二(東海大学教育研究所・講師)

研究協力者

塚越紀久男(足立区立第14中学校・前校長)
諏訪哲二(埼玉県立川越女子高等学校・教諭)
和田重宏(はじめ塾・塾長)

国立教育研究所(現国立教育政策研究所)の方々との交流の中で、公立の小・中・高との連携の流れが形成されていきました。2002年10月、森上教育研究所・杉並区教育委員会の依頼による区立和田中学での数学の授業、また、社団法人全国学習塾協会から東京私塾協同組合への依頼による江東区立八名川小学校での2004年6月〜2005年2月、ほぼ1年にわたる算数の授業をNPO学習塾全国連合協議会の菅原明之先生といっしょに担当しました。和田中学での数学は、教科書にそった授業展開でしたが、「和算」との関連で四角錐の体積の公式を短歌で紹介した授業風景が、NHKの首都圏ネット・全国ネットで「塾教師が公立中学で初の授業」と放映され、予想以上の反響があり、身が引き締まる思いがしました。八名川小学校での算数の授業は、一クラスを三グループに分けた習熟度別授業で、担任・TT・塾講師の三名でそれぞれのグループを指導し、塾講師は発展学習のグループを担当しました。八名川小学校での授業は公立学校での様々な試みの一つとして毎日新聞で紹介されました。私自身も公立の小学校で進められている「問題解決学習」がとても参考になりました。2005年6月からは、社団法人全国学習塾協会からの依頼で千葉県浦安市立高洲小学校での年4回の研究授業に学習塾の立場で参加しています。

2002年4月より実施された、新学習指導要領・完全学校週5日制実施に伴う学力低下に対して、私たち学習塾が、塾生のみならず、社会全体に働きかけていく時、塾と学校との共存共栄の道が開かれると私は確信しています。

 
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