さて、その説明会の開催時期だが、9月から10月の、次年の受験生が目標校を確定し始める時期に集中している(表2参照)場合が多い。しかし、中には5〜6月を中心に開催するという私学もあり、特に中国・九州地方では、実施回数が1回という回答が最も多かったのにも関わらず、開催時期が春から冬にかけて様々である。これは、前年度の入試結果の発表を行い、実績を公表することで入試への意識を煽るとともに、その年度の受験生に対し、早い時期から塾を通じてアプローチしていきたいといった意気込みが強い学校が多いためと推察できよう。時間も塾の授業が少ない平日の午前中に設定している学校では、多くの参加者が集まっている。ただし、この場合は学校の授業との兼ね合いもあり、説明会の人員不足を訴える声も出ており、学校側により工夫した時間設定が要求される課題となっている。
また、関東・関西地区では複数回説明会を行う学校も多く、その場合は春から冬にかけて長い時期で開催される。1回目の開催時の問題点を2回目以降で修復できることが、複数回開催の利点の一つと言えるだろう。実際に「1回目は日時に設定ミスがあり、参加者が少なかったが、2回目には地区を限定して開催案内を出し、結果多くの参加者が集まった」という回答もある。
しかし、何度も説明会を行い、その度に塾側に足を運んでもらうこと自体、容易ではない。塾側も『※昨年は延べ100校に近い説明会に出席した』という塾長もいるが、個人塾ではそれだけの時間を取ること自体難しい。それでも、できるだけ多くの参加者を集めたいという意向から、多くの学校では内容の工夫に苦心しているようである。中には「1回目との差別化に工夫の必要があり、苦労した。来年度は1回に戻す予定」「2回行ったが他校と開催日が重なることがある。その時は塾へ直接訪問して説明会を行う」という回答もあった。
無論、並行して学校や保護者・受験生を対象とした説明会も行っている学校が多く、「複数回を連続で実施したので、非常に根気と体力が必要となり、疲れてしまった。ただし、個別対応をより多くの塾関係者とできたことは幸い」という意見もあることから、複数回の開催は良い反応を得る反面、広報を担当する教員には非常に負担になっていることも見逃せない事実である。
|