北海道から九州まで150名が入学
天草の南東に浮かぶ大小18の島々。勇志国際高等学校はその島のひとつ、天草郡御所浦町牧島にある。「御所浦町教育特区」の認定を受け、今年4月に開校した。熊本県内で2番目の株式会社立高校である。校舎は、数年前に廃校となった旧牧島小学校を借り受けた。
4月23日には開校式が行われ、学校関係者や来賓など約100名が出席した。
同校の石戸谷浩一副理事長は「島の人々が口々に『学校が生き返った』と喜んでくださいました」と話す。
開校に先立ち同校の教職員らが、物置代わりに使用されていた校舎を片付け、隅々まで磨き上げた。9月に予定されているスクーリングでは、大勢の生徒たちがこの校舎で授業を受けることになる。
同校の生徒募集は前期4月と後期10月の年2回。初年度の今年前期は、北海道から九州まで全国各地から約150名が入学した。生徒の学びかたは様々。従来の郵便による通信教育やサポートセンター通学のほか、5月6日よりインターネットを利用した双方向の授業をスタートした。現在は、毎日10科目以上の授業が行われている。
「近くにサポートセンターがない場合や不登校で通学に自信のない生徒も、ライブ授業で先生や仲間の顔を見ながら学べます」。
生徒も参加するインタラクティブな授業
授業は御所浦町の本校で行われている。全国各地から生徒たちが、インターネット上の「勇志国際高等学校」にログインし、登校する。画面に教室や職員室・保健室・校長室が表れ、生徒たちを迎える。
授業を受ける場合は教室に入室。そこではTV会議システムにより、教師のほか、受講している生徒の映像が最大9人まで写しだされる。
「画面に顔をだすかどうかは生徒の希望によります」。
授業は教師が一方的に講義するだけではなく、生徒も参加して進められる。例えば、発言したいときには画面の「挙手」ボタンをクリック。教師が「承認」すると、その生徒が画面に登場し、発言できる。また、質問や解答を文字で入力することも可能だ。
教師から生徒に選択式の問題を出すことも多い。生徒が解答すると、誰がどの答えを選んだかが教師側の画面に表示される。したがって教師は正答率などを確認しながら、授業を展開していくことができる。
校長室からは野田将晴校長が「道徳」の授業を行う。
インターネットスクールは一斉授業でも個人レッスンでもない、新しい授業スタイルと言える。授業を受けた生徒たちは、一様に「楽しい」と感想を述べている。
なお、受講した時間数はカウントされ、一定の割合でスクーリングや視聴覚課題が軽減される。インターネットでレポートを提出することもできる。 

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きめ細かなコミュニケーションを実現
石戸谷副理事長は「双方向コミュニケーションが、天草の離島にある本校との心理的距離を一気に縮めたようです」と話す。
インターネットスクールでは授業を受けるだけでなく、TV電話で教師と一対一の面談もできる。
「職員室」に入室すると、各教科を担当する教師の顔写真と、「席にいます」「席を外しています」「通話中」など、それぞれの状況が表示されている。「席にいます」は、生徒からの電話を待ち受けている状態。生徒は画面の「電話をかける」ボタンをクリックし、教師と直接顔を合わせながら教科に関する質問をしたり、悩みを相談することができる。
「保健室」では、心身に関する相談を受け付けている。通信制高校には不登校など悩みを抱えている生徒も多く、慎重な対応が求められる。そのため、画面上で相談履歴を参照。前回と異なる担当者が相談を受けても、基本的に同じ対応ができるように配慮している。
また普段はネットスクールやサポートセンターで学ぶ生徒たちも、年間5〜10日間は本校での集中スクーリングに参加する。
「エメラルドグリーンの海に囲まれた南の島で過ごすだけで、心も身体も元気になります」。石戸谷副理事長は自信をもって言い切る。
本校のある御所浦町は「恐竜の島」と呼ばれるほど、白亜紀の恐竜の化石が多く見つかっている。スクーリングでも化石発掘に挑戦する。また船で1時間半ほどの海上では「イルカウォッチング」。百匹を超えるバンドウイルカの群れと出会える。その他、古くから島に伝わる「追い込み漁」の体験授業やボランティアなども予定されている。
「自然体験や島の人々との交流を通して人間的にも成長してもらいたい」と石戸谷副理事長。
中等部を全国展開
「中学生の不登校は全国で10万人以上。学力不足や体験不足が懸念されます」。
そのため同校はインターネットスクールのシステムを活用し、6月に「勇志国際ネット中等部」をスタートした。これは、何らかの事情で学校へ通えない中学生を、インターネット等を通じてサポートするシステム。学習サポートやカウンセリング、課外体験授業等を行う。
不登校生の場合は生徒によって学力差が大きいため、それぞれの理解度に応じて選択できるよう数多くの講座を用意している。また学年を越えての受講も可能だ。
学習の講座だけでなく、中学生として身に付けなければならない社会のルールや常識を学ぶ「生き方講座」も開設。校長や特別講師などが担当する。さらにネット上に相談室を設け、心理療法士やスクールカウンセラーが待機。本人はもとより保護者からの相談も受け付ける。春や夏には本校でキャンプを開催。高校のスクーリングと同様、さまざまな体験活動を実施する。
「学力を養うとともに社会適応力を高め、学校復帰や高校進学を支援します」。
中等部は現在、熊本県内の中学生のみを対象としているが、9月からは全国展開する予定だ。
石戸谷副理事長は「まずは自宅から、インターネットで復帰への第一歩を踏み出してもらいたい」と語る。

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