一輪一輪の花集い
比治山女子中学校・高等学校の創立は1939年。広島文理科大学(現広島大学)附属「広島昭和高等女学校」として開校した。しかし、そのわずか4年後に戦局の深刻化の中、経営母体も陸軍偕行社となった。戦後、偕行社が解散団体となった。保護者や地域の人々は学校存続を強く希望し、自らも資金を提供した。そして、校長や教職員らとともにつくりあげたのが、現在の前身である「比治山高等女学校」だ。
田中將教頭は「皆でつくったという、歴史と伝統を誇りにしています」と話す。
例えば、クラス名には桜・藤・萩・梅などの名前がつけられている。いずれも、一輪一輪の花が寄り添い集い一体となって、より美しさを増す花木だ。
入学者選抜においても、校風を重んじている。中学入試では、一般入試のほかに独自の推薦入試制度を設けている。
「人を押しのけてでも上に立とうというタイプではなく、他者と助け合えるような、元気で明るいお子さんを求めています」。
今年度は新入生167名のうち、推薦入試による入学者が108名を占めた。
現役合格率94%
同校は十分な授業時間数を確保するため、昨年度より前・後期の2期制を導入。土曜日は隔週で授業を行っている。
中高6年間を、生徒の発達段階に合わせて2学年ごとに区切り、基礎・発展・応用と位置づけ。それぞれに応じた教育指導を実施している。
中学1・2年では、基本的習慣の形成や基礎学力の育成に重点が置かれ、全員が同じカリキュラムで学ぶ。生徒の習熟度を測りながら授業進度を早め、英語と数学に関しては、遅くとも3年次の前期中には高校の学習内容に進む。学力が伸び悩んでいる生徒に対しては、放課後や長期休暇中に補習授業を設定し、徹底理解を図っている。
発展段階の中学3年になると、英・数の2教科で習熟度別授業がスタート。高校1年まで続けられる。
なお高校では、英語コースが各学年に1クラス設けられている。また英語コースと普通コースを合わせて、合計60名を外部中学より募集する。
中学より内部進学する生徒のうち、一部は英語コースへと進み、他は内部進学生のみでクラスを編成。応用段階である2年次への進級時に、外部中学から入学した生徒と合流。進路目標に応じて、文系と理系に分かれる。3年次では、さらに国公立・私立の別にコースが細分化される。
同校からは毎年50名ほどが国公立大学に合格。難関私大合格者も数多い。また現役合格率も94%の高さを誇る。
進学実績について、田中教頭は「競争に勝つためでなく、それぞれが自分の目標を実現するために頑張ってきた結果です」と話す。
それはまた「他者と共に生きながら、個として自立する人間を育てる」という教育方針の成果とも言える。
もちろん、きめ細かな進路指導も行われている。最新のFINEシステムやKネットを導入。コンピューターによる情報提供にも力を入れている。学習指導では、進学補習や
学習合宿により実力を養成。生徒の自主学習をサポートするため、休日の土曜日に、有名予備校のサテラインゼミの講座を中心とした勉強会も開催している。

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自然の命に触れる
建学の精神である「親心に応えて精進する ―― 生命の永遠性と尊厳性への自覚」と、「正直・勤勉・清潔・和合・感謝」を五訓とする校訓は、私学として再出発した1939年に定められた。以後、この教えのもと、同校の女子教育の伝統が築かれてきた。
「どのような時代になっても、『生命を大切にし、生命を伝えてくれた親の恩に感謝する』という普遍的な理念は受け継がれていきます」。
50年以上も続く伝統的な行事が多いことも、その現れと言える。
なかでも大山登山やマラソン大会で、生徒は自分自身の心身と向き合い、一回り大きく成長する。
また自然の命を直に感じる機会も多く設けられている。
「同窓会で卒業生が懐かしむのが、『からまつ学寮』で過ごした日々です」。
野外教育施設「からまつ学寮」は、山々に囲まれた広島県三次市三和町にある。1974年に廃校となった町立小学校を同校が譲り受けた。林間学校や生活訓練、クラブの合宿、学習合宿など多目的に利用される。
「地元の方々の協力を得て、稲刈りや草履づくりなど数々の体験学習も実施してきました。20キロメートルを歩き抜く耐久徒歩では、皆さんが沿道から声援を送ってくれます」。
豊かな自然に触れ、互いに助け合い、生徒たちは仲間との絆を深めていく。
世代を超えて
クラブ活動も活発に行われている。特に文科系の活躍が目立つ。マンドリン部は全国大会で優勝、バトン部も上位入賞を果たしている。
同校ではどのクラブも、未経験の生徒にゼロから教えているという。
「勉学・クラブ活動のいずれにおいても、少数のエリートを育成するのではなく、一人ひとりの夢を大切に育てていきたいと考えています」。しかし、「その分、派手さがなくて、本校の良さを知ってもらうのに時間がかかります」とも。
実際に、卒業生や同校を良く知る人々からの紹介で、入学を志望する生徒が多いという。また、同校には姉妹だけでなく、親子二世代、三世代、なかには四世代にわたる生徒もいる。
「制服は、開校以来変わらない濃紺のセーラー服。曾祖母と同じ制服をひ孫が着ています」。
ここでは良き伝統が、世代を超えて脈々と受け継がれている。
最後に田中教頭は、「本校を知っていただくために、実際に授業や生徒の様子をご覧いただきたい。いつでも見学を歓迎しています」と言葉を結んだ。


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