SELHi指定を受ける以前から
歴史ある英語教育を実践
21世紀を生きる子どもたちのために、国際共通語としての英語コミュニケーション能力を身に付けることができるようにとの考えから、文部科学省が打ち出した具体的方策が、英語教育の先進校「スーパーイングリッシュランゲージハイスクール(SELHi)」。1885年の開学当初から先進的な実践英語教育を進めてきた福岡女学院中学校・高等学校は、通常は高校しか受けないこのSELHiの指定を受けた中高一貫校として注目を集めている。さらに、この指定をきっかけに、高校では英語強化コースを含む英語教育プログラムを導入、中学時代にも様々な英語教育を取り入れて、歴史と実績のある英語教育をさらに進化させた。

福岡女学院の英語教育の特徴は、スピーキング能力・リスニング能力と言った、英会話能力だけではなく、リーディング能力の開発にも充分な力を注いでいるところである。「リーディングは、テキストを読む人間が活字から受動的に意味を汲み取るのではなく、スキーマと呼ばれる読み手の持つ先行知識とテキストの間の相互作用によって内容を再構築するものである」というスキーマ理論に基づいた方針で、ネイティブ教師と日本語教師の連携をうまく使った英語教育を行っているのだ。この教育方法では、通常の講義の形ではなく教員や生徒が互いに英語を使ってコミュニケーションを取ったり、ライティングのための単語の書取、CDなどでリスニング能力を上げるなど、実に様々な形で指導が行われている。また、検定外教科書「OPEN
HOUSE」も導入。通常の学生が生活の中で出会う様々なシーンを描き、場面に合わせ、英語をどのように使うかを知ることで、実践的英語力の育成へと繋いでいく。
「例えば、学生が自分の誕生パーティを開くとしますね。そのためにどのようなスケジュールで、どのような買い物が必要か、どんな飾り付けをするか、パーティには誰を呼ぶか、その相手はどこの国の出身か…。こういった様々なことを考えないとなりませんから、それに伴う国語・社会などの能力も必要とされる英語教育を行っているのです」
そう語るのは、福岡女学院中学校・高等学校教頭の田中良明教頭。その言葉通り、英語の授業と国語科・社会科との連携を図る取り組みを始めている。国語では語彙ネットワークを学ぶことで、英語・国語どちらでも通用する言語としての構造を理解する。また、社会では世界を視野に入れた社会問題への知識を拡大し、その問題に取り組むために英語でどのように表現すればいいのかという動機付けを行うのだ。
もちろん、全教科を通して中高6年間の中で無駄のないシラバスを整えている。中学では全員が音声を中心として英語を学び、中学卒業時にTOEFL400点を目指す。高校ではSELHiの指定を受けた英語強化コースにおいて3年間で英語による討論・交渉・論述ができるよう指導、国際機関で必要とされるくらいの高度なコミュニケーション能力を持つTOEFL550点を取得できるようにしている。既に中学2年で英検準2級、高校一年で英検準1級を取得する生徒がいるほどで、今後、レベルはさらに高くなると予想される。無論、高校の他コースでも卒業時にはTOEFL500点を取れる程度の実力付けが目標となるほどのハイレベルさを保っているのも、福岡女学院の特徴だ。 |
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授業外にも多彩な
英語能力向上プログラム
福岡女学院では、授業時間以外にも英語能力や社会適応能力向上などのプログラムに力が入れられている。
6年間で確実な英語能力をものにするには、身に付けなければいけない単語数も膨大である。このフォローのために、年3回、6年間で17回にも及ぶ英単語テストを実施。もちろん、合格基準をクリアーするまでの補講や追加テストも怠らない。他にも校内中学英語暗唱大会(中1〜中3対象)、外国人教師による英語礼拝(全学年)、併設大学の講義受講(高大コース)、英語版クラス便り発行(英語強化コース)、英検受験・外部英語コンテスト等を含む英語運用能力向上プログラム(英語強化コース)などが導入、実践されている。さらに、英語のみならず国際理解教育プログラムとして、諸外国への留学制度や語学研修も実施している。アメリカ・イギリス・オーストラリア・マレーシアと研修や留学先も様々になっており、今後は英語強化コースの進学先として、海外の大学も視野に入れることができるよう準備中だ。
「世界状況の流れが激しく、現在社会で活躍する大人でさえ、現状に不安を感じざるをえない時代です。その中にこれから巣立っていく生徒たちに、将来へのアドバイスがどれだけできるかというのが各学校の課題でしょう。福岡女学院では英語教育に力を入れることで、英語の読解力や情報を素早く整理し、理解する能力を身に付けさせていますが、この力はたとえ将来英語を使う仕事につかなくても、情報収集・分析能力に秀でた力となって、社会で必要とされる人材となれるでしょう」
田中教頭の言葉通り、英語を通じ、学びに対する高いモチベーションを持ち続けられる授業を全教科で行う福岡女学院に生徒のみでなく、多方面からも期待が寄せられており、昨年実施された公開研究授業には、多くの学校関係者や教育事業関係者が詰めかけた。研究課題の内容やその現状報告、実際に行われている授業の見学など、非常に多彩なプログラムで行われたこの公開授業は本年度も引き続き行われる予定となっており、今年度は、指定を受けて間もなかった昨年度とは違い、一年間という時間の中で向上した自分たちの指導力を見せることができると、関係者や担当教員が意欲満々に、実施予定の秋に向けて現在準備を進めている。


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