JR大分駅からバスで15分ほど。同校は、大分川沿いの閑静な住宅街に位置している。キャンパスを囲むように生い茂る250本余りのクスノキは、大分市の名木に指定されている。校舎は、同市出身の世界的な建築家、磯崎新氏による設計。6棟の建物は、芸術作品とも言うべき美しいシルエットを見せている。深い思想をかもし出し、生徒の知性・感性にも影響を与えている。

調査書も合否判定資料に
同校は今年度より前・後期の2回入試を実施。後期入試について、疋田順一校長は「AO入試に近い」と説明する。
募集定員は前期120名に対し後期15名。入試科目数は国語と算数の2科目と少なく、出題内容も小学校の教科書の範囲に限定。特別な受験勉強をせずとも、解答できる。ただし前期と異なり「調査書」が必要だ。内容は、スポーツの経験や趣味・特技、それに性格がわかるようなエピソードなど、志望者をアピールする資料。通常は保護者など、本人を良く知る人が記入する。試験の得点に調査書を加えて合否が判定される。できるだけ多様な生徒を受け入れたいという思いからだ。
「前期試験に不合格となってしまったけれど、どうしても本校に入学したい生徒や、塾通いできない郡部の生徒が、多く受験してくれました」。
また今春の入試では、意図しない変化も起こった。3年前に共学化して以来初めて、女子の入学者数が男子を上回った。
女子に人気が高まっている理由を、疋田校長は「ELLEブランドの制服」と笑う。しかし実際には、目的意識の高い生徒が多い。遠方からの入学生の場合、男子には寮が用意されているが、女子は遠距離通学となる。なかには往復3時間余りもかけて通う生徒もいる。しかし「女子の方が弱音も吐かず、しっかりした態度で学習に取り組んでいます」。
女子に理系志望者が多いのも、同校の特徴だ。

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特徴的な6年一貫カリキュラム
今春の卒業生101名のうち、4割近くの生徒が東大を始めとする国公立大学に合格を果たした。早稲田・慶応など難関私大合格者も数多い。特に医・歯学部進学者数の多さは県下でも群を抜いている。
この進学実績は、特徴的な6年一貫カリキュラムによる。
例えば数学の場合、授業は中学1年次より「代数」と「幾何」の時間に分かれ、並行して学ぶ。もちろん教師も異なる。
「代数と幾何の学習を交互にするのではなく、それぞれの内容を同時に連続的に積み重ねていけますので、学習の分断なく理解しやすい流れになっています」。
中学の理科は高校と同じく「物理」「化学」「生物」「地学」に分類し、1年次で「生物」と「地学」を、2年次で「物理」と「化学」を修了する。どの分野も高校の教師が担当するので、高校の学習内容へスムーズに繋がる授業となる。
主要5教科は、どの教科も中学2年で中学の学習内容を終え、中学3年と高校1・2年で高校の内容を終了。高校3年からは、志望大学に応じた受験勉強に絞る。
ただし、他の進学校に比較して授業時間数は決して多くはない。放課後の補習は成績の伸び悩んでいる生徒に限定され、長期休暇中の補習も夏休みは高校生、冬休みは高校3年生のみ実施される。生徒の多くが難関大学を目指しながらも、学校生活も楽しみたいというスタンスだ。クラブ活動や生徒会活動に積極的に取り組んでいる。
人間的にも大きな成長
同校の一大イベントは、毎年9月下旬、6日間にわたって開催される学園祭。同期間内に体育大会も開かれる。自由な校風のもと、生徒たちが企画から運営までを取り仕切る。「体育館の天井から飛行船を吊るすというアイデアには、驚かされました」と疋田校長は目を細める。この時は、竹で飛行船をつくり、教師も協力して吊り下げに成功した。
昨年、文芸担当チームが演目として選んだのは、大分県北部の安心院町に伝わる神楽。短い期間で習得しなければならないため、夏休みに同町で合宿。学園祭の舞台ではその成果を見事に披露した。
自主性を尊重されることで、生徒たちは発想力や統率力、協調性などを養い、人間的にも大きな成長を遂げていく。
教師・保護者も連携
同校は今春、敷地内に併設している男子寮の入寮条件を緩和。通学可能地域に住む生徒も、審査のうえ入寮できるようになった。「最適な学習環境」としての寮を有効活用するためだ。併せて、教師が交替で、夜間の学習タイムに寮を訪問している。生徒とともに夕食をとった後、質問に応える。時にはプリントを用意し、演習問題を解かせることも。その結果、特に高校3年生の成績が著しく伸びたという。
また、寮施設の一部を改装。通学生も利用する食堂をカフェ風にし、学習ルームを整備した。保護者が宿泊できるゲストルームも新設。「いつでもお越しください」と案内している。
同校では学校全体として、保護者との連携を密にする取り組みに力を入れている。
「気分は10代!」と題する、保護者が生徒となって授業を受けるセミナーを、昨年度にスタート。すでに7回目を数えた。英語の「シェークスピアの英詩」や国語の「折句」など、保護者向けにアレンジされた内容は好評だ。「子どもを教えている先生の授業を受けたい」と、毎回50名前後が参加している。
来年度は地域ごとの保護者会も発足する。
「遠距離通学で同じ電車に乗り合わせる生徒が多くいます。保護者間にも学年を越えた繋がりができれば、子どものために助け合えます」と疋田校長は期待する。
同校では、今後増えると予想される遠方からの入学生に配慮した対応も進められている。

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