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中学・高校受験:学びネット

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岡山学芸館高等学校

 
  徹底した生活指導と教員力で国公立大へ一気に65名
国公立大合格者数が一気に昨年の2倍に伸びた岡山学芸館高等学校。その要因は徹底した生活指導と教科指導のバランスにあった。今なお賛否両論が論議される「ゼロ・トレランス(寛容さゼロ)」をいち早く導入し、自律することを学ばせてきた。今秋からは一歩踏み込み、親の意識改善を目的に「親学講座」もスタートさせる。一方で、優れた教授ノウハウと情熱を併せ持った教員を積極採用。澱みなき改革に挑戦している。。

校 長: 森 靖喜
住 所: 〒704-8502 岡山市西大寺上1丁目19-19
電 話: 086-942-3864
交 通: JR山陽本線「西大寺」駅から徒歩5分
学生数: 1076名 (2007.9.1現在)
ホームページ: http://www.gakugeikan.ed.jp/

 

人格形成と学力形成を一体化させた指導

受験ではいわゆるテクニックで稼げる点数があることは事実だ。だが、一人の人間の人格を磨き上げることで、生活を楽しみ、真に学ぶ意味を理解し、結果として高い実績をあげてきたのが岡山学芸館高校である。

ここ数年の国公立大学の合格者数は右肩上がりである。2002年に11名であった同合格者数は、翌年に19名、以後、26名、33名と増え続け、今春65名という結果をだした。難関私立大学へは、早慶上智、東京理科、ICUへ合わせて12名、同志社7名、関西学院16名、関西大16名、立命館26名など。平成6年の「学園改革」(スクール・アイディンティティ)着手から13年にして、こうした結果を出したことが、生徒募集面でも近隣の学校に比べ優位性を発揮している。

要因を聞けば、森靖喜学校長は開口一番、「人間としての基礎、基本を打ち立てること」を挙げた。大多数の子どもが学ぶ公立小、中学校では近年、生活指導の不十分さが指摘されている。子どもは発達段階に応じた人格形成を経ることなく高等学校に入学してくる。そして、そのことが学力向上を阻害する問題となっているというのが森校長の考えだ。入学後、早い段階で人格を磨けば、人間関係を豊かに育むことができ、自ずと学習面の伸びに結びつくという。

人格形成に大きくかかわってくるのが生活指導であるが、「現在、子どもの生活指導面を正そうとすれば、親の意識面から見つめなおさなければならない時代。そういう意味で、今秋から『親学講座』を始めます。最初は学内向けに始め、来年からは地域の若い保護者を対象にすることも考えている」と森校長。徹底して生活指導の面倒を、地域単位で見ようとするのは、生徒を全人格的に伸ばすには、教科指導と生活指導がバランスよく一体化する必要があるとの考えからである。

また、受験指導の陣頭指揮をとってきた加藤武史教頭は、実績上昇の要因を「学校が動いているときは生徒が伸びる」の一言で表現した。同校周辺の進学校と呼ばれる高校では、当然、高い国公立大合格実績を上げているが、これは入学時点での生徒の学力が高いからで、いわば当然の結果。そのことに安心して「生活指導で本気にならなければ、惰性に走る」と厳しい分析をしている。余談だが、今春、同校から阪大に合格した生徒の入学時偏差値は48。3年間にいかに伸ばすか。その秘訣とは思い切った教育方針、取り組みを実践し“動いている”学校であり続けた点にある。

自律を迫る「ゼロ・トレランス」
「学び」を社会と繋げる教育

では、学校は具体的にどう動いてきたのか。これまでの取り組みとして、社会的に大きな波紋を呼んだ「ゼロ・トレランス」の導入がある。トレランスとは「寛容」、それがゼロであることは、すなわち寛容なき指導を意味する。生徒の自律の精神を養う目的で、校則違反、問題行動は退学に結びつくことを考えさせることで、学校生活に真剣味を持たせてきた。

ただし、一方で「ほっとルーム」と呼ばれるカウンセリング専門機関を設置し、思春期の生徒の多くが抱える人間関係や学習、部活での悩みにベテランの教育相談員が対応する心の支援体制も整えている。保護者や担任はもちろん、部活顧問などとも連携をとりながら、生徒のメンタルサポートに力を注ぐ。
決して厳しいだけの指導を学校側が一方的に行うのではなく、そこには保護者の同意、意見の反映がなされている。学校が実施する「満足度調査」もその一つで、生活指導に関するアンケート項目では85%の保護者が、学校の方針を支持する結果がでている。
こうした生活指導と併行して、生徒に「なぜ学ぶのか」の意識づけも重視してきた。この意識付けをおざなりにしてきたことが、教育の荒廃原因とする持論を加藤教頭は展開する。

「なぜ学ぶのか」。その問いに「将来役立つから」や、「いい大学に入って、いい会社に就職して、高い収入を得て、幸せな家庭を築く・・・」という程度の説得力では、真に子どもの学習意欲は高まらない。もっと徹底した理論武装で生徒に語りかけなければならないという。

つまり、身につけた知識をどう使うか、という視点を持たせることだ。延いては、誰かのために生きるという意識を持たせ、社会に目を向けさせる指導を同校では実践してきた。

「親は子どもに、人に迷惑をかけないようにしなさいと説く。だが、これは人から迷惑をかけられたくないという意識の裏返しであり、迷惑さえかけなければ、何をしても許されるという考えに結びつく。もっと視野を広げ、生きていれば人に迷惑をかけてしまうものだからこそ、その分、人の役に立てと説くべきだ」という加藤教頭の言葉には説得力がある。

集団で伸ばす教授力教員は学校の財産

先に述べたように、入学時の生徒の学力はさほど高いわけではない。学科によっては中学段階の基礎からやり直す必要がある生徒もいる。一般に、こういう時、教員は「学力の低調さは生徒個人の問題」と突き放す傾向があるが、同校ではそれをせず、生徒と向き合い入学後半年くらいで徹底的に基礎学力を鍛え直す。これができる教員でなければ、3年間に大きく伸ばす教育は難しい。

実は同校教員には学習塾出身が少なくない。ただ、加藤教頭の採用基準は非常に厳しい。無論、分かる授業のノウハウは問うが、情熱を併せ持っている人物でなければ採用しない。「究極の理想の学校を一緒に創りませんか」。これが採用の誘い文句だそうだ。夢を持っている教員でなければ、集団として伸ばしていく教育ができないからだ。

集団として伸ばす教育。それを実現するには、生徒が互いに健全なライバル意識を持ち、支え合いながら切磋琢磨する環境が根底になければならない。昨年の「スーパーVコース」の生徒は、毎晩7時頃まで教室で互いに教え合いながら勉強を続けたが、ある生徒は「生涯を通じて付き合える友達に出会ったことがうれしい」と言ったという。学芸館が目指す教育とは、まさにこういう発言をできる生徒が、志望大学に進学し、将来、社会に貢献できる人物となることである。

もっとも、同校は難関大学を目指す生徒のみを受け入れているわけではない。さまざまな夢を持って社会に貢献しようとする生徒を育んでいるのであり、今後、大学全入時代が近づくにつれ、むしろボリュームゾーン(中堅層)に対する教育の充実が求められることを実感している。そうした現実を踏まえれば、岡山学芸館の挑戦は尽きることはなさそうだ。

 
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