岩田中学校・高等学校は1983年に、大分県初の中高一貫男子校として誕生した。その前身は、1900年創設の女学校であり、学園としては一世紀以上の歴史と伝統を誇る。
キャンパスは、清流豊かな大分川沿いに位置し、大樹の緑に囲まれている。教室棟や体育館・寄宿舎は、世界的な建築家、磯崎新氏による設計。高い芸術性をもつ校舎で学ぶ6年間は、生徒の感性を奥深く養っている。

男女共学の効果
同校は1学年平均約100名という少人数教育により、難関大学への合格実績を積み重ねてきた。なかでも特筆すべきなのは医学部・歯学部進学者の多さだ。これまでの全卒業生1,746名のうち、医学部・歯学部に進んだ生徒は366名。ほぼ5人に1人の割合となる。
「開校以来、医師の子弟が多く集まる学校でしたので、他の生徒も影響を受けたようです」と疋田順一校長。
2001年には男女共学へと移行。入学生のおよそ4割を女子が占めるようになった。しかし、依然として医学部志望者の割合は高いという。
「男子の場合は、中学受験に際して保護者の意向が大きく働くようですが、女子の多くは自分の意志で受験を決めています。なかには、『遠すぎる』と反対する親御さんを説得したという話も聞きます」。疋田校長は女子の目的意識の高さに感心する。
寄宿舎は男子用のため、遠方に住む女子は遠距離通学となる。しかし弱音を吐かず、楽しそうに通っているという。また女子は全体的に、学習にも熱心に取り組んでいる。
安藤昌広教頭も「女子の影響を受けて、男子の授業態度もまじめです」と共学化の効果を語る。再来年は男女共学第1期生が大学入試に臨む。これまで以上に進学実績が伸びると期待されている。
独自の6年一貫カリキュラム
カリキュラムは6年一貫教育のメリットを最大限に活かす形で組まれている。主要5教科の内容を、中学と高校での重複を避け、しかも橋渡しをスムーズにするために独自に編成。効率良い指導を実現している。
例えば数学は、中学1・2年次で「代数」と「幾何」を週3時間ずつ授業。担当教師も異なる。国語では、通常の「国語A」の授業に週4時間、古典を学ぶ「国語B」に週2時間を当てている。社会は、1・2年次で「地理」と「歴史」を並行し、3年次では「公民」と高校内容の「世界史」の授業を行っている。他の教科も同様に、内容に応じて授業を分け系統的に学べるように工夫されている。
主要5教科は中学2年間で中学の内容を終える。そのために授業時間数も多い。特に英数国の主要3教科に関しては、1・2年次の合計時間数は公立中学3年分の時間数をはるかに越える。
「最初の2年間は基礎固めの時期ですから、教科指導・生活指導ともに特に力を入れています」と疋田校長。
主要5教科が10科目に分かれて授業されるうえに、毎日7時限目まで設定されているため、新入生は勉強の厳しさに驚くという。しかし、学習方法の指導や補習など、きめ細かな指導が行われることにより基礎学力が養われ、学年が進むにつれて余裕をもって主体的に学習に取り組めるようになる。
中学3年次より高校の内容に入り、英語と数学は3段階に分けての習熟度別授業が始まる。高校2年次で高校の学習内容を終え、3年次から目標大学に的を絞った受験勉強に入る。
同校では基本的に、教科担当も含め担当教師が持ち上がる。それぞれの学年を担当する教師陣は「学年団」と呼ばれ、入学から卒業まで、一人ひとりの生徒を責任もって指導。1学年の生徒数が少ないこともあり、教師と生徒の間に親密な関係が築かれる。 |
熱く燃える学園祭
生徒数は6学年全体でおよそ700名。そのうち兄弟姉妹は25%。卒業生を含めると、その割合は30%を越える。これは同校の教育に対する保護者からの評価と言える。また本人が、兄弟の語る学校生活に魅力を感じて入学するケースも多い。
同校では伝統的に自由な校風が受け継がれ、生徒の自主性が尊重されている。
それを象徴するのが、毎年9月下旬に6日間にわたって開催される学園祭だ。企画から運営までのすべてを生徒が取り仕切る。
学園祭は、第1日目が、準備と文化祭イベント、体育大会予行と体育大会の2日間をはさんで、残る3日間に文化祭が催される。連日、趣向を凝らした数々の催しが繰り広げられ、教師も生徒も学校中が熱く燃える。
「展示やステージ発表など各クラス主催のもの以外に、のど自慢大会やクイズ大会・バザーなど、オープンなイベントが次々と催されます」と安藤教頭。
多彩なプログラムを成功させるため、中学1年から高校2年までの生徒一人ひとりが責任ある役割を担い、1ヵ月以上も前から準備を進める。
「準備に参加したい一心で、入院中の病院を抜け出して来た生徒もいました」。
上級生は下級生のクラスをまわり、展示方法や演技についてアドバイスする。先輩たちから引き継いだ学園祭を、より良いものとするためだ。
生徒たちは口々に「こんなに楽しいことはない」「夢のよう」という。
熱心なあまり、意見の衝突やトラブルも起こる。しかし最終日の閉会式では全員が肩を組み、校歌を歌いながらフィナーレを迎える。このとき、男子も女子も、多くの生徒が感動からか思わず涙ぐむ。
自由な校風のもと、生徒たちは発想力を磨き、協調性を養い、統率力を身につけていく。
疋田校長は「在学中は目立たなかった生徒が卒業後、大学祭の実行委員に推されたり、クラブのキャプテンを務めたりしています。学園祭の経験が自信をもたらしたのかもしれません」と話す。
同校で過ごす6年間が、高い学力を身につけさせるだけでなく、一人ひとりの生徒を人間的にも大きく成長させている。


|