快適環境を実現
正則学園高等学校の新校舎は、東京・神田錦町のオフィス街に建つ。地下2階・地上7階建てのビルである。自然の光と風を取り入れるため、2階から最上階まで、建物中央を貫く外部吹き抜けを配している。自然通風換気システムにより、校舎内には自然の風が流れ、常に快適な室温が保たれている。
1階はエントランスとメモリアルホール。3階は広々としたメディアセンターとなっており、最新設備のコンピュータスペースと図書スペースが一体となり、機能的に融合されている。4階から6階を教室が占め、7階は体育館、屋上は運動場となっている。なお地下には柔道場と剣道場が設けられている。
エントランスホールには、トップライトから柔らかな自然光が降り注ぐ。上を見上げると、船の帆を四方に張り出したようなオブジェが目を引く。これは同校の校章をベースに作成された、「風のメッセージ」と題する作品。校舎に吹く新しい風を表現している。
作品のベースとなった校章は、8本のペン先を図案化し、旭日をかたどったもの。8本のペン先はそれぞれ「仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌」、すなわち孔子の「八種の徳目」を表している。これらの徳目を土台として同校の教育方針、「知性の発見・徳性の創造・心身の鍛錬」は定められた。
伝統の文武両道
同校は「輝け青春、行き先は未来!!」をモットーに掲げている。
今年4月、真新しい校舎で行われた入学式において、塩澤一彦学園長は新入生に向け、「青春とは年齢ではなく、心の持ち方。常に現実の中に奇跡を追い求めること」と説いた。そのうえで、「望ましい目標に向かって可能性を最大限に発揮させ、真の意味での青春を精一杯謳歌してもらいたい」と呼びかけた。
また、竹内恵司校長は新入生に望むこととして、第1に礼儀正しくあること、第2に勉学に励むこと、第3に読書することを挙げた。そして最後に、有意義な高校生活を送るために、部活動への積極的参加を勧めた。
おふたりのこれらの言葉が、同校の指導方針を端的に表している。
同校は「一般」・「スポーツ」の2コース制。しかし両コースとも、勉学・スポーツのいずれにも偏らない、文武両道を目指している。部英彦教務部長は「心と身体を鍛えて社会に送り出す、男子教育の伝統を誇りにしています」と話す。
進路指導は、コースの別なく生徒一人ひとりの可能性を探り適性を見極めながら、進めている。そのために教師間だけでなく保護者とも密に連携。保護者会を年間4回開催。必要に応じて2者面談・3者面談も設定している。
また、日常的に礼儀作法の基本である挨拶を励行。生徒は毎朝登校時に、玄関に安置された孔子像に一礼し、気持ちを引き締めて授業に臨む。
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毎週末の勉強合宿
同校は完全週5日制。授業時間数を確保するために今年度より前・後期の2期制を導入した。
スポーツコースは、柔道・剣道・サッカー等、全7クラブの実技テスト(セレクション)により入学者を選抜。
普通クラスは1年次の後期から特別進学コースと進学コースに分かれ、このコース分けは、本人の希望と成績による。2年進級時に変更も可能だ。また2年次から、それぞれ理系・文系に分かれる。
大学進学率は年々アップし、現在は全体のおよそ7割を占めている。志望大学の傾向は様々。一般受験を目指す生徒や、全部で60大学以上の指定校推薦枠を利用する生徒もいる。そのため、進路志望に応じて、きめ細かな進学指導が行われている。
放課後や休暇中には大学進学講座を開催。毎週末と休暇中には、千葉県・大網にあるセミナーハウスで勉強合宿が実施される。セミナーハウスには50名が宿泊でき、クラス単位または志望コースごとに年間の合宿予定が組まれている。
クラブ活動との関係で補習等に参加できない生徒には、個別指導を行う。例えば推薦入試志望者の場合は論文がポイントとなるため、一人ひとりの論文を添削指導する。
クラブ活動でも輝く
同校の母体である正則英語学校は、今から一世紀以上も前に、英語教育の先駆的な役割を果たした。その伝統を受け継ぎ、現在も英語教育に重点をおいている。一般コースでは週に11〜15時間の授業時間を設定。習熟度別クラス編成により、着実に英語力を身につけさせている。希望者にはニュージーランド短期語学研修も実施している。
また国際交流をはかるため、1981年には台湾の高校3校と姉妹校提携。毎年、2年生が研修旅行で訪問する。現地の生徒と、英語・中国語・日本語、さらに筆談や身振り手振りも交えて会話を楽しむ。言葉だけに依存しないコミュニケーションは、心と心の交流を深め、生徒たちにとって忘れられない思い出になるという。3年間という期間で将来の方向性を見出せるよう、同校では学習・芸術・スポーツ等、生徒の可能性を広げる様々な機会を提供している。その姿勢はクラブ活動においても変わらない。
スポーツが盛んな同校では、クラブ加入率は8割以上。しかも柔道部・野球部・駅伝部・ソフトボール部など、全国大会にも出場経験のある強豪チームが勢ぞろいしている。人気のサッカー部は部員数が100名を超える。そのなかでレギュラーになれるのは最大20名。しかし、全員が同じ練習に取り組む。遠征の機会も平等に与えられ、誰もが活躍の舞台に立てる。そして、本番の大会にはレギュラー20名が出場。前もって行われるユニフォーム伝達式では、選ばれなかったメンバーも心からの拍手を送ることができる。
塩野知継校長補佐は「強いチームをつくることだけが、クラブ活動の目的ではありません。スポーツを通して人間的にも大きく成長してもらいたい」と話す。
正則学園高等学校では、一人ひとりの生徒が輝けるステージを用意している。
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