休校中もオンライン英会話
再開後は真剣な授業風景
自学創造とは「自ら考え学び、創造的学力・人間力を身につけ、グローバル社会に貢献する」こと。稲村校長は校長就任時、「自学創造の実現には生徒の自主性と成長の可能性を信頼し、学問(教科)の魅力を熱く語り、人生を豊かにする教養、生きていく勇気、美しいものを求める感性を生徒に育むことが必要」というメッセージを発信した。
同校は100年近くにわたり、その時々の時代や社会が求める人材を育成してきたが、今年のスローガンは「最先端の、その先へ」。現代を生きる中学1年生が高校、大学を経て、社会に出るのは10年先。その未来を見据えた教育とは何かを常に問い続けながら、教育内容をブラッシュアップさせている。
休校期間中、同校ではスタディサプリと同校教員による動画などを使い、授業を展開。全学年に導入していたネイティブスピーカーとのオンライン英会話も家庭で受講することができた。
「昨年度までにICTを活用したツールを準備していましたので、休校中も滞ることなく学習を進めることができました」と稲村校長。今年3月から導入した英単語暗記アプリ「Monoxer(モノグサ)」も活用。英検に向けた単語力強化につなげている。
学校が再開された今、稲村校長は「非常に良い雰囲気の中、授業が行われていると感じています」と目を細める。友達と一緒に授業を受けるという当たり前のことができなかった経験を経て、「学校に行きたい」「友達と会えて嬉しい」という気持ちが素直に行動に表れていると言う。「授業に集中している様子を見て、良いスタートが切れたと安心しています」と話す。
共学第一期生
大学進学実績が爆発
稲村 隆雄 校長
年々大学進学実績を着実に伸ばしてきた同校。この春は東大2名を含む、国公立に46名が合格した。注目は早慶上理ICUの合格者数で、昨年34名だったのが今年は59名と大爆発。GMARCHレベルにも、60名増の204名が合格した。
この大躍進の原動力となっているのが、「学校完結型の学習環境」だ。基礎学力と自ら考え学ぶ力を伸ばす「学び力伸長システム」(1年生〜5年生の2学期まで)と、実践的な進学力を伸ばす「進学力伸長システム」(5年生3学期〜受験)に、大きく分かれている。
今年度からは新しく、中期的な知識の定着度を測る「到達度テスト」を年に2回実施。定期試験よりも長いスパンで苦手分野を見つけ、弱点克服をするのが狙いだ。
さらに1〜5年生の定期試験前に「独習ウィーク」と、学期末に「独習デー」も設けた。「独習ウィーク」は試験に向けて、朝と放課後に学習計画を立てて勉強する期間。「独習デー」は定期試験や到達度テストの結果や、学習計画や学習法を振り返る日だ。
これまでは中学では年一度、勉強合宿を行っていたが、今年度は中学の合宿は行わない。「学習習慣が身についている新入生が増えてきましたので、教師が付きっきりで指導するのではなく、生徒の自主性に任せるよう、少しずつシステムの内容を変化させています」と稲村校長。
入学者の学力レベルは年々高まっており、今の中2では先進と総合は3クラスずつに、中1では先進4クラス、総合2クラスと生徒数が逆転している。
学校完結型の学習環境の目覚ましい学習成果はデータでも証明されている。3年前、当時の中学1年生の先進コース生の内、Sゾーン(東大・東工大・一橋・早慶レベル)に達していた生徒は13%だったが、4年生になった現在は53%に到達。稲村校長は「現在、国公立大志望者は2割ほどですが、今後は5割以上を目標に、全教科しっかり学習できる体制を整えていきたいですね」と語る。
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高校入試の出題範囲は
都立の学力検査と同じ
来年の中学入試では、4科目(英語選択含む)の募集人数を増やす。2月1日午後の第2回の募集人数は昨年より10名増の35名に。広報部長の藤村高史先生は「本校は公立中高一貫型校の併願受験者が多く、そのイメージが強いのですが、4科目をしっかり頑張ってきた受験生にもぜひチャレンジしてもらいたいです」と話す。
高校入試の変更点は2つ。今まで一般入試は上位コースにもチャレンジできるよう2回受けられたが、1人1回の受験になった。
また、2021年度入試に限り、検定取得ポイントでこれまで英検3級以上だけだったが、漢検・数検3級以上も対象にする(進学・特進コース)。新型コロナの影響で英検を受検できなかった受検生にも柔軟に対応するためだ。
都立高校入試では、臨時休校が長期化したことにより、学力検査の出題範囲が狭められるが、同校も都立と足並みをそろえ、出題範囲は都立と同じに。受験生の不安を少しでも払拭し、安心して受験できるように配慮した。
中学・高校入試とも特待Aで合格した場合、入学金が半額免除になり、6年間もしくは3年間授業料が免除になる。進級時での見直しはしない。「学力の上がり下がりはどうしても出てきます。それに一喜一憂せずに、入試で得た権利として、しっかり勉強してもらいたい」と稲村校長は話す。
今年は学校説明会などがなかなか開催できなかったが、広報部長の藤村先生は「私は保護者の方に『私立の特徴は何ですか?』と聞かれた時には『卒業後もさまざまなことでサポートができるところです』と答えています。公立と違って教員の異動がありませんので、先生に相談したいことがあったら、いつでも戻ってこられます。そこが私立の良さだと考えています」と語る。
稲村校長は「本校では『進路指導』ではなく『進路支援』という言葉を使っています。これは生徒一人ひとりに希望に合った進路支援をするという姿勢です。本校の強みは、生徒をお預かりした以上、徹底して支援する面倒見の良さ。生徒には本校で夢実現の第一歩を叶えてほしいと思っています」と話している。
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