二つの伝統〜
フランス語教育と宗教教育
フランス語は、第一外国語としても第二外国語としても学ぶことができるが、ほとんどの生徒は第二外国語として週2時間履修する。中学3年間は必修で、高校では選択科目である。3年間で初級フランス語をマスターすることが目標である。言葉を学ぶことは、その言葉を使って生きる人々の価値観や思考のプロセスを学ぶことでもあるので、異文化を理解し、視野を大きく広げる土台を作ることができる。
宗教の授業は週1時間、全員が卒業まで必修科目として履修する。キリスト教の考え方を学ぶために、「祈りとは」「感謝する心」など、学年ごとにテーマを設定し、皆で考えていく。生命倫理や対人関係など、現代社会が抱える問題について考える機会も設け、「リアクションペーパー」によってクラスメートや担当教員との意見の共有を図っている。聖書を読み、その言葉に触れることで、自分自身や他者、ひいては「人はどのように生きるべきか」という根源的なテーマと向き合う時間は、人生においてかげかえのないものである。
暁星が強調するのは、「教養の大切さ」である。フランス語や宗教の学びによって得られる複眼的な思考力や人間に対する洞察力は、この時期しか身につけられない価値ある財産である。
「書く力」の重視と2020年度
大学入試改革への対応〜
変わるものと変わらないもの
暁星の授業で重視されているのは「思考力・表現力の育成」である。国語では一つの答えを追究するのではなく、口頭や作文による意見の発表、討議などを通じて思考の過程をいかに他者に伝え共有するか、ということを重視している。英語でもネイティブ教員の指導のもと、エッセイライティング(高校生は必修)やプレゼンテーションに取り組ませ、文法の暗記に傾斜せず、自己表現のツールとして英語を身につけさせることに力を入れている。今年度からは中学生において同一進度・同一試験によるグレード別授業を導入し、GTEC検定日受験やオンライン英会話の授業を行うなど、グローバル教育のさらなる充実を図っている。教材も「Progress in English」から「New Treasure」に変更した。
文部科学省が導入を検討している「新テスト」は、思考力や記述力を試すものになるといわれている。これらの能力こそ、暁星が重要視してきた力である。思考・表現力の育成はまず「書くこと」から。その信念は記述力を重視する暁星の入試問題にも反映されている。一朝一夕には身につかない力を、長いスパンで育成しようとしている。
従来からの取り組みに加え、生徒が自身の学習の記録や部活動での記録を蓄え、必要な時に取り出せるよう「スタディサプリ」を導入し、総合的な学習の時間として有名な人物について調べる「人間ドキュメント」(中学生)、各企業からの「指令」に従って調査・研究・発表をする「企業インターン」(高校生)などの取り組みを始めるなど、新しい大学入試への対策も万全だ。もちろん従来通り、長期休暇や放課後の講習も充実しており、生徒の志望をかなえるために、きめ細かい指導を展開している。
盛んな部活動も生徒主体
暁星といえばサッカー部と競技かるた部の活躍が知られている。今年度も中学サッカー部が関東大会で優勝し、全国大会に出場、3位に輝いた。競技かるた部は去年の雪辱を果たし、全国大会に出場。ベスト16と健闘した。最近では中学水泳部の活躍も目覚ましく、中2の生徒が全国大会5位入賞、中3の生徒が10位に入ったほか、自由形のリレーでも13位と大健闘した。その他、運動部はもちろんのこと、将棋部やチェス部、数学研究部、演劇部、3つの音楽系クラブ、4つの理科系クラブなど多数の文化部も人気と実績を誇っている。
これらの実績は生徒一人ひとりの努力のたまものである。生徒たちは部活と学業の両立を目指し、どちらも手を抜くことがない。限られた時間、施設をやりくりし、短時間で成果をあげる練習方法を模索しつづけている。教員はその試行錯誤にアドバイスを与え、見守る立場。主体はあくまで生徒である。
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文化祭や運動会、各種行事の立案、運営も生徒主体で行われる。一つの行事を成功させるには細々としたことをたくさん処理していかなければならない。生徒たちはそれらの体験を、勉強や卒業後の様々な試練の克服に生かしていく。「生きる力」「人間力」の基礎を暁星の部活動・委員会活動で培っていくのだ。
多彩な特別活動と家庭的雰囲気
もちろん学校が用意する特別活動も多彩。中3の研修旅行(広島、関西)、高2の修学旅行(北海道)という大きな行事のみならず、卒業生による講話(暁星版「ようこそ先輩」など)や宗教講話、弁護士によるいじめ防止授業、校外学習での教会巡りや文学散歩など、通常授業以外にも学びの視野を広げる機会を多く設けている。また高1時には希望者を対象にカナダ(英語)、フランス(仏語)へのホームステイが行われる。
暁星の一番の売りは、何といってもその「家庭的雰囲気」だろう。1学年180名弱という人数の少なさで、生徒同士、生徒と教員の距離が近く、絆も深い。学校へ遊びに来る卒業生の姿もよく見られ、暁星で築いた人間関係は、一生の財産となる。
暁星中学の受験を考えている保護者が最も気になっているのが、「小学校からの生徒とうまくやっていけるか」ということであろう。しかし心配はいらない。入学後にはオリエンテーションが行われ、夏休みには菅平合宿があって、それらの活動や日々の授業、部活を通じて生徒同士は自然と打ち解け合う。万が一トラブルがあっても、担任のみならず保健室や常勤のカウンセラーのいる相談室が関わって解決を図るなど、支援体制は手厚い。そしてひとたび「暁星の仲間」となれば、利害関係にとらわれない、生涯の友を見つけることができるだろう。
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