独自の「英語4技能統合型授業」と
オンライン英会話がスタート
共立女子第二中学校高等学校の英語教育が、今年さらに進化する。
この春から本格的にスタートする「4技能統合型授業」は、日本の英語教育の第一人者・東京学芸大学名誉教授の金谷憲先生を講師に迎え、3年間にわたる教員研修を通じてまとめあげた独自のカリキュラム。2020年新テストにもしっかり対応できる力を身に付けることができるようになっているのが特長だ。
「英語を会話として使えることも重要ですが、大学入試の英語にも対応できるようにしていきます。また、本校のシラバスでは、教科書を2〜3回繰り返して学びながら4技能すべてをバランスよく向上させられるものになっています。中2では中2の内容を進めながら、中1の内容を学び直すことで基礎を徹底させています」と入試広報部の戸口義也先生は話す。
全校生徒を対象に「オンライン英会話」も始まった。生徒は自分のアカウントを持ち、自宅や校内のCALL教室のパソコンで、いつでもどこでもネイティブの講師と英会話の学習ができるようになった。受講時間は1回25分で、年間15回の受講が可能。学校で学習した内容がネイティブ相手に通用するのか、試す機会を作っていく。
「オンライン英会話を行うことで、スピーキング力を強化していくのが狙いです。生徒には『通じた! 話せた!』という自信を持ってもらいたいですね」と戸口先生。
今まで希望者制だったブリティッシュヒルズでの2泊3日の英語研修も、今年から中2生の全員参加行事となった。体験型プログラムを増やし、すべての生徒が世界とつながりを持てる機会を増やしていきたいと考えている。
英語イマージョンワークショックもその一例だ。国際経営コンサルタントの植山周一郎氏を招いて「国際人になるためには」と題した英語による講義と参加生徒とのディスカッションなどを開催した。植山氏はソニーに入社後、ウォークマンの世界的ブランディングに貢献した人物で、中学・高校生の希望者を前に英語でレクチャー。こうしたワークショップを今後も定期的に開催していくことになっている。
グローバル時代だからこそ
日本人女性の感性を磨く
英語教育をはじめとするグローバル教育に力を注いでいく一方、一人の日本人として品格ある女性への成長も大切にしている。
同校の校訓は「誠実・勤勉・友愛」。そこから3つの女性像を導き出している。誠実は「真の美しさを身に付けた女性」、勤勉は「自ら考え、発信できる女性」、友愛は「他者を理解し、共生できる女性」だ。
真の美しさを身に付けた女性を目指すため、中学では礼法の授業を設け、美しい所作やその場に適した礼儀作法を学ぶ。高校では引き続き「マナー講座」を受講。さらに高2では「華道・茶道・装道」を全員が習う「和躾(なごみ)の日」を設け、日本の伝統文化に触れる機会を作っている。礼法で身に付けた美しい所作が、就職活動時の面接で役に立ったという卒業生も多い。さらに芸術鑑賞会では歌舞伎からウィーン少年合唱団などの世界的な演奏家の公演まで、幅広く本物の芸術に触れる機会を設けている。
そうした情操教育で感性を磨くことが、グローバル社会において「日本人としての核」になると戸口先生は力を入れる。
3年間で100冊読書
伝統のリベラルアーツ
同校では建学以来、全人的人間力を育む「リベラルアーツ」を大切にしている。リベラルアーツの基礎づくりとして取り組んでいるのが、読書と文章の作成だ。朝読書や通学時間も利用し、3年間で100冊の本を読む「3−100計画」を提唱。5万冊を超える蔵書を誇る図書館をはじめ、校内のオープンスペースには必ずブックコーナーがあり、生徒が常に活字に触れられる環境を整えている。
さらに全員参加で自由なテーマで行う主張大会やクラス対抗の朗読会、英語のレシテーションコンテスト等を通して、言葉を使った表現力を磨く機会をたくさん用意している。
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「思考力を鍛えるには、文章を読むことと書くことが欠かせません。授業でもアクティブラーニングの要素を多く盛り込み、対話をしながら学習を進めています。リベラルアーツのキーワードは『言葉と対話』だと考えています」と戸口先生。
現在リベラルアーツ教育を提供する大学が増えており、高等教育におけるリベラルアーツの重要性に注目が集まっている。
「今の教育で求められている思考力、判断力、表現力のすべての基礎になるのがリベラルアーツ。この風潮はまさに本校にとって追い風になると感じています」と戸口先生は話している。
校内の自然すべてから学ぶ
体験重視の理科教育
体験型の理科教育も同校の特色の1つだ。東京ドーム5個分の緑豊かな敷地内にはファームやバラ園、ビオトープなどがあり、目の前で植物や生き物を観察できる。机上の勉強だけではできない、教科書を越えた学びが大きな強みだ。さらに校内にはファームもあり、野菜作りを体験。育てた野菜は家庭に持って帰るだけでなく、調理実習や食育の授業でも活用する。
一方、校内には理科3教科(生物・化学・物理)の実験室を完備。中学3年間で行う実験数は100実験にものぼる。こうした実体験に基づいた学びは、生徒の学習意欲や好奇心を大いに刺激している。
進学実績も順調だ。この春には難関・お茶の水女子大学の合格者が出た。現役進学率も96%と非常に高い。共立女子大学・短期大学に推薦合格を得ながら、他大学を受験できる「併願型特別推薦制度」があり、生徒は安心してレベルの高い大学に挑戦できている。
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