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中学・高校受験:学びネット

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安田学園中学校・高等学校

 
  企業やボランティアから生き方を学ぶ
人生設計を実現するために学習意欲も向上
中高一貫教育の新体制として「先進」「総合」の2コース制がスタートした2013年、安田学園中学校・高等学校はキャリア教育も刷新した。年間のテーマを決め、3年間かけて学びを積み上げていく方式を採用。1年では企業研究と商品開発を経験、2年では共生社会と社会貢献について学習、3年ではさまざまな職業人から話を聞き、生き方について考える。外部の社会人と接する機会が多いのが同校のキャリア教育の特徴で、「なりたい自分」から「なれる自分」を目指し、生徒の学習意欲も大いに高まっている。

校 長: 蓮沼 清
住 所: 〒130-8615 東京都墨田区横網2-2-25
電 話: 03-3624-2666
交 通: JR総武線「両国」駅徒歩6分/都営地下鉄・大江戸線「両国」駅徒歩3分/都営地下鉄・浅草線「蔵前」駅徒歩10分
学生数: 463名(中学校)
1,151名(高等学校) (2016.11.1現在)
ホームページ: http://www.yasuda.ed.jp/

 

企業研究の映像製作を
プロがレクチャー

 同校のキャリア教育は1年次に「自分史」を書くことから始まる。小学校までの生活を振り返り、今の自分のあり方を確認する。その後、5〜6人の班をつくり、墨田区周辺の地元企業の「企業研究」を行う。今年は食品メーカーや情報機器メーカーなど14社が協力。1学期に事前学習を進めた後、夏休み中に生徒たちは企業を訪問。インタビューの模様を写真や映像で撮影し、壁新聞と2分間の映像作品にまとめて安田祭で発表する。

 ここまではよくある取り組みだが、同校の特徴は作品づくりの過程で、プロの技術を学ばせているところだ。映像製作のプロが撮影方法を指導する他、日本マイクロソフト社の社員が来校し、編集ソフトの使い方をレクチャー。企業について学ぶと同時に、映像製作の仕事に触れる機会も設けている。

 この後、1年生は先端技術についての講演を聞き、開発プロセスとはどういうものかを勉強。その先端技術を使い、自分たちが研究した企業の新商品開発にチャレンジする。

 「実は昨年までは企業研究で一区切りつけ、別に先端技術を使ったロボットを考案していました。それを今年は企業研究と先端技術を掛け合わせ、1年間通して学習を進めるようにしました」と教育企画開発本部主任の渡邊朋子先生。企業研究で学んだことを元に、どのような人をターゲットにどのような商品をつくったらよいか、マーケティングにまで踏み込んでいく。

 「生徒たちには、チームで物事を進める力がついていると感じています。企業の方からは、仕事を通してどのような社会貢献をしたいのかを語っていただくこともあり、『考え方や生き方に感動した』という声も聞いています」と渡邊先生は話している。

共生社会とは何か
被災地の復興計画から学ぶ

 2年生のキャリア教育のテーマは「共生社会と社会貢献」だ。1学期に行うボランティアスクールでは障がい者やボランティアの方から話を聞く他、車椅子や目が不自由な状態を体験。共生社会とは何かについて理解を深めていく。

 次に国際ボランティアについて学ぶため、JICA(国際協力機構)で活動をしている人の講演やJICA、赤十字、ユニセフを訪問することも行っている。

 渡邊先生は共生社会について学ぶことは、今後、非常に重要になってくると感じている。

 「それまで生徒は共生という言葉は知らなかったかもしれません。しかし、それは障がい者の皆さんとの接点がなかったからです。交流の場を学校が用意することで、生徒からは『自分に何ができるのか』『大人になったら自分が社会を変えたい』という切実な言葉が出てきています」

 次に生徒は防災学習を経て、「共生」「社会貢献」「防災」を踏まえた都市づくり研究に着手する。この3つの要素をすべて含むテーマは「被災地の復興」。生徒は復興都市を宮城県女川町と想定し、防災に強く住みやすい町づくりを考える。

 ユニークなのは、それを図面で表現するのではなく、レゴを使って立体的なジオラマで表現するところだ。

 「レゴを使うと高低感がつき、図面だけでは見逃してしまう不自然な建物の配置にも気付くことができます。それに議論も非常に活発になりますね」と渡邊先生。

 予算のこともあり、使えるレゴの数が決まっており、それぞれ公共事業を担当する班、水産業を担当する班などでレゴをどのように分配するかも話し合う。実際の復興計画に携わっているような臨場感を持って議論が進めることができるのが特色だ。

 また、復興案をプレゼンテーションするコンテストも開催しており、自分たちの計画をわかりやすくアウトプットする力も養っている。

さまざまな職業の体験を聞き
30歳の自分を思い描く

 3年生ではいろいろな職業の方の講演を聞き、自分が働く社会について考える。講師の職業は弁護士、新聞記者、商社マン、医師、国連職員などさまざま。今年の3年生は男女共学の第一期生でもあることから、講師9名中5名は女性に依頼。結婚・育児をしながら働いている方々でもあり、女性の生き方の参考にしてほしいと考えている。

 3年間のキャリア教育の締めくくりは、30歳になった自分を想定した「未来史」の執筆だ。「将来やりたいことを見据え、どの大学で何を研究するかまで考えて未来史を書く生徒が多いですね」と渡邊先生。昨年は男子だけの学年だったが、意外にも「仕事と子育てを両立したい」と書いた生徒が非常に多かった。

 「仕事だけでなく、家庭も大事にしたいという意見が多かったのが印象的でした。これまでのキャリア教育を通じて、多様な人生の選択肢があることを学んでいるのだと思います」

 また、キャリア教育が生徒のモチベーションも高めていると、渡邊先生は感じている。

 「3年間いろいろな大人と接することで、こうなりたいという姿がかなり具体的に描けています。自分の描いた人生設計を実現するために、勉強しようという意欲が高まっていると思います」

 弁護士の方の講演を聞いた生徒の中には、東京弁護士会主催の「ジュニア・ロースクール」に参加して模擬裁判を体験するなど、積極的に行動する生徒も出てきている。

 このキャリア教育は保護者からも高い評価を受けている。授業参観でキャリア教育の様子を見た保護者からは「本当の仕事のプロセスに近いことを経験していて驚いた。我が子の成長が楽しみ」という声も届いている。

 
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