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中学・高校受験:学びネット

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桐朋女子中・高等学校

 
  「未来の自分は変えられる」
日本の女子教育のパイオニアが
「枠を超える」新たなステージへ
「女子脳を鋭く見抜いて、存分に刺激して、心地良さを与えながら、生き生きと伸ばす女子教育を実践してきた学校です」。そう語るのは千葉裕子新校長。桐朋女子中・高等学校で育ち、また教員として桐朋教育に長年携わってきた。「生粋の桐朋生」が語る言葉、想いは熱い。「枠を超える力を持って人生に挑戦する女性」像を、未来を創る生徒たちに託そうとしている。その原動力は「一人ひとりを見つめる力」と「みんなで一緒に進む力」。桐朋生たちの情熱人生に迫る。

校 長: 千葉 裕子
住 所: 〒182-8510 東京都調布市若葉町1-41-1
電 話: 03-3300-2111(代表)
交 通: 京王線「仙川」駅徒歩5分、小田急線「成城学園前」駅よりバス15分(仙川駅入口下車 徒歩1分)、JR「吉祥寺」駅・JR「三鷹」駅よりバス30分 (仙川下車 徒歩8分)
学生数: 中学校 595名
高等学校 762名 (2016.7.1現在)
ホームページ: http://www.toho.ac.jp/chuko/

 

「挑戦する自分でありたい」
方向付けてくれる先生たち

 「『桐朋女子は、あなたにとってどんなところ?』と問われたら、もう一言ですね『人生』です。桐朋教育で育てていただき、桐朋教育を伝える。その両方の経験者としてできることがある」

 創立76周年、初の女性校長が誕生した。千葉裕子新校長は桐朋幼稚園から同中・高等学校へ、そして保健体育の教師として母校に貢献してきた。副校長・今野淳一先生は新校長のことを開口一番「アイデアマン」と称する。

 「発想力が素晴らしく、実現する行動力もある。『6年間でこんな生徒を育てたい』という強い思い、生徒とともに叶えたいワンシーンがあるようです」

 千葉校長が見たいワンシーンとは?

 「枠を超える力を持って人生に挑戦する女性。今の環境から飛び出すというよりも、むしろ枠を知った上で、最大限に自分を発揮し、枠を拡げていく。卒業後も挑戦している姿です」

 中高時代にそういう経験がありました、と笑う。同校の体育祭は学年対抗。体格・体力からも順当に高学年から上位を獲ることが普通である。だが、千葉校長の代は「中3になったら体育祭で3位になる」と宣言をした。実行委員長だった千葉校長の号令のもと1年計画で体育祭のための体力づくりを断行。SHRを練習に割く代わりに「学年順の4位なら実行委員は全員丸坊主になる。勝って3位になったら先生に“切腹”してもらう」と誓約を交わし、見事に3位入賞を果たす。修学旅行先で“切腹”の儀式が厳かに執り行われたという。

 「要は祝勝会です(笑)。私たちの『本気』を先生方は真剣に受け止めてくれた。6年間、目標に向かって一直線に発奮したり、不安や悩みで心や体が揺れた経験が、『挑戦心』を育ててくれた。でも実は、生徒がそういう方向に向かえるよう、先生方が準備や見えない土台づくりをされていたことに、教員になってから気付きましたね」

女子脳が刺激される心地良さ
桐朋女子流・進化のサイクル

 目標達成のために計画を立て、立場が違う人たちを説得しながら、他者の意見も採り入れ、目指す方向へ進む。授業においても多様な他者の意見を正しく理解し、自分の発言を効果的に発信する力を育む「DLP(デュアル・ランゲージ・プログラム)〜世界で通じる『論理的思考力』育成プロジェクト」が進行中だ。国語・英語を中心とした言語技術教育と、英会話シャワー・英会話教室・米国夏季研修などの「高度な英語発信」を多彩に実践している。世界を読み解く力を養う「DLP特別講座(高2・高3対象)」は準備段階だ。

 同校はこれまでも斬新な教育改革を行ってきた。入試で「口頭試問」を行い、学期ごとの成績通知表ではなく「そのつど評価」、担任との面談による「成績伝達」という形を取っている。

 「ABCで結果だけ提示されるより、自分がどう取り組んだのか、女子はその『過程』に触れてほしい。自分を肯定してもらうキッカケがあり、共に歩む『みんな』がいれば、自分は次にどうすべきか、という段階に進み出せる。本校の学習システムや行事は、女子脳にとても合っていると思う」

 それも「生徒一人ひとりに向き合う」ことを大事にしてきた桐朋女子の精神から生まれた、と千葉校長。

 「生徒が『校長先生は私を見ていてくださっていたんだ!』と思えるような、一人ひとりの良さを見出せる校長でありたいと思っています」

2月2日に新入試を開始!
口頭試問を記述形式で実施

 50回目となる口頭試問、そして2科の筆記試験(A入試2月1日)、4科の筆記試験(B入試2月3日午前)に加え、2017年度入試から2月2日午前に新たな入試枠「論理的思考力&発想力入試」が開設される。口頭試問と同じ評価観点(知識量だけでなく、取り組む姿勢や思考力、発想力からポテンシャルを見る)を、適性検査型に近い記述形式の新入試にも導入した。受験生の潜在能力を見出す機会と範囲を広げたいと今野副校長は語る。記述でじっくりと考えを説明できるので、口頭試問の対話に不安を感じる受験生には、落ち着いた環境で「論理的思考力&発想力」を発揮できるチャンスだ。今野副校長は「その子の良さ」に出会える口頭試問を新しい入試にも生かしたいと意気込む。

 「まさに口頭試問のペーパー版です。新しく学ぶことを理解しようとする意欲、求められていることにキチンと答える力、展開力、まとめる力などいろいろな能力や資質が、記述答案から、より丁寧に見出せると思います」

 A・B入試の筆記試験の内容は変化なし。今野副校長はアドバイスする。

 「自分がどうやってその問題を解いたのか、その『道筋』を理解すること、そこに自分が考えたことも含めて『書く』練習を積み重ねると、筆記試験だけでなく口頭試問、新しい記述形式の入試にも対応できると思います」

 帰国生教育も伝統がある同校では、従来の1月に加え、今年12月に帰国生対象入試を増設。英語力を維持伸長したい、「日本の学校」も体験したい、でも、生活や学習に馴染めるか不安……帰国生それぞれが希望や不安を抱える。

 「一人ひとりのニーズに充分すぎるくらい応えられる学校ですよ。世話好きな学友もいっぱい待っています」

 生粋の桐朋生・千葉校長はにこやかに言った。

桐朋女子中・高等学校
体育祭レポート×生徒座談会

「体育祭」レポート
2016年5月25日(水)

 千葉校長が話す「挑戦していく自分であることを遺憾なく発揮するひとつの場」という桐朋女子の「体育祭」。実際に体育祭の取材を試みた。

 「卒業後42年経っても真っ先に思い出すのは体育祭」と語る千葉裕子校長が在学中に学んだことは「目標を掲げること。達成するためには何を実行することが必要か、モチベーションを上げる工夫や努力の仕方」。「800m障害リレー」【座談会参照】でまず目に飛び込むのは、選手たちの足元だ。靴下で走る。高学年ほど運動靴より靴下率が高い。たすきの受け渡しも独特だ。走り込んでくる選手のほうに首をぐっと突き出すポーズで待機する。スムーズなたすきつなぎに観客も沸く。

 生徒は体育祭1ヵ月半前から競技の練習に明け暮れる。高2・高3は、跳び箱走り越えやゴム輪・ハードルくぐりをすさまじい速さでクリアし、中1を半周近く突き放す。中1は先輩の「本気」に圧倒されっぱなしだ。しかし、共有するその場で、下級生は自分たちの未来を見る。

 「足の歴史」は三人四脚→二人三脚→二人二脚→一人一脚でつなぐ伝統種目。どの組も予想をはるかに超える猛烈なスピードで駆け抜けていく。練習と努力の成果が明確に表れる。

 一転、「団体徒手」は16〜20人が華麗に舞う競技。今年の課題曲「アルルの女」の解説を放送部が担う。強風でも言葉が明確に通る、爽やかな美声アナウンスは訓練の賜物だ。生徒が振り付けした約3分間のバレエ的演舞は、裸足でグラウンドに開脚し、ジャンプし、リフトする。縦一列で前から少しずつ動きをずらしていく見せ場は、実力と独創性の勝負。高3は緩急をつけて魅せ、今年は高2がシンクロの高さと圧巻のスピードで1位を獲得。上位2学年は最後まで僅差の攻防を繰り広げた。

 YouTubeに演技がアップされるほど、校外にも知れ渡る最大のヤマ場が「応援交歓」だ。歌や小道具、全色に向けた応援コールや手拍子、衣装変え、隊列移動などで華麗なマスゲームを展開する。桐朋女子では6学年に「白・青・赤・黄・緑・紫」の学年色がある。高3が着るTシャツには「紫・十二代目」の文字が。入学直後の中1(白)には、今春卒業した代(白)のOGが母校に来て「各色だけの応援歌」など応援交歓の仕方を一子相伝で教えるのが習わし。青の持ち技「波」、赤は手袋やマスクで「炎」を表現、黄金のイナヅマや緑の草原などが、一糸乱れぬ集団の動きと小道具の工夫で見事に形づくられる。中1は羨望の眼差しだ。

 高3の演技が始まると会場の期待感も最高潮を迎える。正面観客席を陣取る保護者も紫色の服や小物を身に付け、息を詰めて見守る。姿勢の美しさ、手の動きのスピード感やキレ、声の大きさや歌声のハーモニーなど、すべてが技との一体感を生み「紫」の美しい世界観を魅せた。6年間の集大成に、この日一番大きな歓声と拍手が贈られた。

 OG・英語教師・母そして祖母として70年近く観戦してきた「生粋の桐朋生」に学校最大の魅力を聞いてみた。「情熱、ではないでしょうか」と微笑んだ。

「桐朋女子らしさ、きらめく瞬間」
〜在校生の皆さんに、部活、体育祭、学校への想いを聞きました〜

◆座談会に参加いただいた皆さん
若林 祈里さん(高3・ハンドボール部部長)
塩屋 唯さん(高2・音楽部音楽班部長)
村 深月さん(高2・音楽部音楽班副部長 兼 生徒会執行部執行長)
山本 真衣さん(高2・放送部部長)
千田 あゆみさん(高2・放送部副部長)
長沼 里海さん(高2・新体操部部長)
高澤 はるひさん(高2・新体操部)
齊藤 理真さん(中3・ハンドボール部中学部長)

トップ学年は大変?

塩屋 音楽部音楽班は、各委員会に分かれていて、組織がしっかりしています。演奏曲はすべて生徒が決めるので「曲決め委員会」、楽器の運搬を担う「用具委員会」や「合宿委員会」など。高2は必ず委員会に所属する。部長の私は、各委員会の活動把握と、委員長とともに部活の方針を決めるのが主な仕事です。

長沼 新体操部は高2のトップ8名の個性がさまざまなので、部長の私は仕事を割り振り、個々が力を発揮するのも見ている感じ(笑)。先輩方が卒業後も目をかけてくれて、部長経験のある先輩に悩みを聞いてもらうことも。

 私は、すべての学校行事を取り仕切る執行部の執行長も務めています。今は生徒総会に向けて、予算案の準備と体育祭準備が重なって、忙しさのピークですが、仲間や同学年がサポートしてくれますし、スムーズな行事運営のもと、みんなが楽しんでいる様子を見たいので頑張っています。

成長したこと、目指すこと

長沼 日々の練習以外に、自ら工夫をして鍛え上げた身体や技術力を見せて「私を試合で使ってください」とコーチや先生にアピールする。そこで個々の個性が輝く。全員で作品を創作するときは、培ってきた実力を出し合い、相手の意見も受け入れて、一歩下がったり。自分をアピールする力と、周りを見る力の両方が身に付きましたね。

千田 人前でも恥ずかしがらずに話せるようになったことは、すごい成長だと思います。桐朋女子ではスピーチやプレゼンテーションなど人前で発表する場が多く、「伝える」「前を見る」など部活で学んだことを生かしています。

齊藤 3名だけの中3が、中2の8名をまとめるのがすごく大変で。でも、中3同士で話し合って、後輩にちゃんと注意したりできるようになりました。私のポジション「サイド」はシュートの角度が一番狭いので決定率を高めたいです。もっと技術を磨き、後輩に指導もできる先輩になりたいです。

塩屋 100名で一つの曲を演奏するのは難しいです。練習量やトップの高2の意気込みが演奏に現れる。学んだのは先輩・後輩との程良い距離感の作り方です。良い演奏のために、まとめていく力はすごく身に付きました。

高澤 足の上げ下げに腹筋が必要なように、すべての動きに使う筋力アップが私の課題です。個々の技術を高めて、文化祭で披露する部全体の演技が、よりレベルアップできるように。

山本 体育祭の後にあるNHKの都大会で中高部員全員まず予選を突破したいです。体育祭でみんな声が枯れてしまうので、万全な状態で大会に臨めるよう部長の私が支えていきます。

若林 インターハイ予選ベスト16入りが部の目標、あと体育祭の「800m障害リレー」で優勝すること。齊藤も同じ競技に出場するのでライバルです。網を抜けたり跳び箱を乗り越えたり。ハードルの下をくぐり抜けるのは神業的に速いですよ、私(笑)。練習の成果が出る競技なので全力で臨みます!

 一日練習を欠かすとすごい差がつくので、毎日の楽器の練習を怠らずに1年を頑張ること。執行部やそれ以外でも目標に限界を決めないこと。達成したらさらに次の目標へ向かいます。

桐朋女子らしさが輝く瞬間

齊藤 体育祭が一番桐朋女子らしいと思います。「足の歴史」や「団体徒手」「応援交歓」など他校にはない伝統競技もあり、すべての競技で、中3の私たちは、後輩にも先輩にも本気で挑みます。

長沼 他校の友達には、体育祭が学年対抗だということに驚かれますね。高3が中学生に向かって本気で挑む姿を見て、親たちも「ちょっとおかしいな、この学校」と(笑)。でも徐々に「桐朋女子らしさ」として納得してくれる。

高澤 私と長沼は「団体徒手」に出場します。各学年選抜の約20名がグラウンドの砂の上で踊ります。砂を食べるぐらい地面を這い、足を怪我してまでもキレイに開脚する。桐朋女子は学年ごとのカラーがあり、持ち味を学年対抗でぶつけ合うので、見ごたえがありますよ。

若林 「応援交歓」という各学年全員がひとつになる演技も、体育祭の醍醐味です。いま全学年とも秘密の特訓に必死です。一人でもミスしたらすごく目立ってしまう緊迫感と、演技後の達成感は忘れられません。砂にまみれるどころじゃないです。「そこまで命を賭けてやるか?」というくらい熱い体育祭です!

 何事も恐れずに(笑)、一つひとつごとに本当に一生懸命取り組む。桐朋女子の生徒は良い意味で「女性を捨てている」……つまりどこでも、誰に対しても「素の自分」なんです。自分らしくいられる環境をつくれるのが桐朋女子だと思います。

千田 友達が「素」だから自分も自然と「素」が出せる。一生懸命に、本気になれるいろんな場があります。

山本 朝、学校の校門が開くと、体育祭の練習、その後1時間目がテストならすぐに切り替えて真剣に準備をして、お昼になったらまた体育祭の練習を真剣にやって……勉強も行事も部活もふざけるときも、常にみんな「本気」。

塩屋 6年間のすべてが「桐朋女子の生徒らしさ」が際立つ場だと思います。こんなにひとつずつ、すべてのことに対して頑張れる6年間って、人生でもすごく貴重です。素晴らしい学校だな、入って良かったな、と本当に思います。

 
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