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2016/3 塾ジャーナルより一部抜粋

特別企画
「いのち」について考える公開シンポジウム
第4回 科学の視点から

  2016年1月23日(土) / 芝学園講堂(東京都港区)  
     
 「宗教(人)は社会に関係すべし」と、明治から昭和の日本で教育・宗教・社会事業など幅広く発展に寄与した渡邊海旭氏。氏の第三代校長就任百年を記念した「『いのち』について考える」公開シンポジウム第4回では「科学」の視点から地球環境を壮大に見つめた。

 「本学園の人間教育『いのち』の問題を多方面から見つめ直し、人生や世界を考えるシンポジウム(芝学園理事長・小林正道氏)」に、生徒をはじめ今年も250人の一般客が来校した。「実際、学問に文系・理系の壁はあるのでしょうか。どの分野でも活躍できるスペシャリストになるために、中学高校は基礎教育の期間」と春日利比古校長が語るまさにその時期、芝中学校・高等学校で芽生えた興味の種を、今なお精力的に育て続けるプロフェッショナルたちが登壇した。

基調講演
いのちをはぐくむ地球環境とサイエンス
〜超伝導が地球を救う

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 教授
ドイツ マックスプランク固体研究所 所長 木 英典氏

 今日は、基礎科学が生命や社会とどうつながっているか、地球の環境問題解決にどう貢献できるか、ご紹介したいと思います。

 私自身は物性物理学、超伝導や磁性の研究者です。学校の教科書には、水蒸気やCO2、メタン等の物質による「温室効果」が、地球の温度を絶妙に保つシステムとして説明されています。現在、北半球の先進国ほど化石燃料によるエネルギー消費量が高く、多量のCO2を放出し、それが気温や海面の上昇、異常気象の原因と疑われています。

 地球環境を守るためには革新的な方法でCO2削減に取り組まねばならない。それこそ「サイエンス」の役目です。世界の総発電量の6%はすでに再生可能エネルギー。この発電効力を飛躍的に上げ、安価な材料で普及させるには技術的なブレイクスルーが必要。我々「超伝導」の研究者は、地球レベルでエネルギーのシェアを考えています。

 例えば、サハラ砂漠の4分の1に太陽光パネルを敷設すれば、世界中の電力をカバーできる。ただ、長距離になるほど送電量は電気抵抗を受け、損失する。超伝導体なら電気抵抗ゼロ、蓄電することも可能です。1986年、僕たちのチームが超伝導の正体を世界で初めて明らかにしました。以来、企業との共同研究で高温超伝導体の線材を開発、また世界初の太陽電池の直流超伝導送電プロジェクトも実施しました。

 将来は地球の地磁気の代用となる可能性を持つ超伝導。今後も地球規模の環境問題と技術革新への要請に、物理基礎科学の立場から貢献していきたいと考えています。

パネルディスカッション
東洋哲学者が描く
ビッグデータで考える「生命とは何か」
〜文理共存の生命学

伊東 貴之氏
(国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学 教授)
金谷 重彦氏
(奈良先端科学技術大学院大学 教授)

金谷 伊東君は東洋思想の「哲学者」、僕はバイオインフォマティクスの「科学者」。芝の同級生二人が文系と理系の発想で語る中で、「生命とは何か、どう生きると人生は楽しいか」が伝われば幸いです。哲学は精神に、科学は物質に「法則性」を探究していますね。

伊東 朱子学や陽明学には疑似科学的な生命観や物質観がある。宇宙・自然・人間界に共通する「気」は万物を創る原理。人欲は「気」、「理」は恒常的な法則性を担う。儒教では道徳的行いを「理に即する」といい、体系に整合性を持たせている。古代中国人は万物創造のモデルを模倣し、人間の精神修養過程を「陰陽五行説」で表しています。

金谷 そこに生命の化学的生成過程をつなげると面白い。僕は、生命を維持する食料や栄養の調達システムから「生命」を理解すべくビッグデータ化を進めています。肉食のケニア、加工食品を嗜好するドイツ、土地も体格も食べ物も大きい米国、世界で最も多様な食用生物環境を持つ日本。各国の進化論は面白い。生まれた土地の風土に合う食べ物は健康に良いんですよね。

伊東 江戸時代の儒学者・安藤昌益も、自分の身体を作った土地・風土の食べ物を食べるのが最もエコロジカルだ、と。安藤昌益が金谷君の研究と同じレベルに達したと思うと嬉しい(笑)。

金谷 中国の薬膳・生薬は陰陽五行など東洋的発想が役立っていて、代替・補完医療でも採用されている。ビタミンなど西洋科学的要素を融合すれば、栄養学も新しい展開が起こりそうですね。科学的思考に偏ることなく哲学からもアイデアも得ると、生活は健康に、人生はもっと楽しくなると思います。

 
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