学習習慣が学力の伸長へ
好評の文教ステーション
定期テストを来週に控えた文教大付属を訪問すると、職員室前のフリースペース(スタディーデッキ)は先生に質問する生徒や友達同士で勉強する生徒であふれていた。その真剣な眼差しには学習意欲がみなぎり、学校改革の成果が感じ取れる。
「進学力」をスローガンに掲げ、改革を推進してきた同校だが、星野校長がさらに力を入れて取り組んでいるのが、生徒たちの学習習慣の確立だ。
「校長は常々、授業以外に2時間の自宅学習を積み重ねれば、学力の伸長につながると言っています。ただ、自宅ではなかなか集中して勉強をすることができない現代です。そのために本校では数年前から自学自習のためのプログラムを構築してきました」と、入試広報部の小西佑樹先生は話す。
スタートして3年目に入るB‐ステは、今年度から中1から高2まで(高3はなし)希望制から全員参加となった。ただし、生徒に希望日を聞き、最低週2回は必ず参加するという形だ。当然、毎日の参加でも良い。B‐ステは基本自習のため、授業の復習や先生から配布されたプリントなど、取り組む内容は自分で決めることになるが、常駐のチューターに相談することもできる。
「最近、B‐ステを活用する教員も増えています。授業の内容を踏まえたプリントを置いてもらい、生徒にやってもらうこともあります。授業とリンクしますので、生徒には好評です。授業とB‐ステのコラボですよ」と小西先生は胸を張る。
生活記録ノート「クロノス」と「スコラ」
順調な生徒募集と大学実績の伸び
学習計画のタイムマネージメントを記録する「生活記録ノート」も大きな力を発揮している。現高1が中1の時から取り組んで来ており、活用前と活用後の学習時間は、今年度で大きく伸びてきているという。中学は「クロノス」、高校になると「スコラ」という手帳に近いノートに衣変えをする。
「スコラはクロノスに比較すると自由度が高く、表紙もシンプルなため生徒たちが独自の表紙を作ることができるのです」と小西先生。ポップな絵や写真、イラストなど自分だけの物だけに、愛着もわき大事にするともいう。朝6時から夜の11時までの予定を書く欄や学習の重要な部分、その日の授業以外でどれだけ学習したかを書く欄や、担任からのコメントを記入する欄もある。
「このコメントが思った以上に生徒は楽しみなようです。生活記録ノートを返却すると、一生懸命に読んでくれていますから」
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生活習慣や学習習慣の確立により、その効果は如実に表れ、大学実績も大幅な伸びを示した。併せて、中高の入試状況も定員を充足し、高校においては、今まで受験者がいなかった地域から受験があり、受験者数も大きく増加した。
ソフト面と平行して実施してきたハード面では“港(PORT)”をコンセプトとした新キャンパスのうち、第1期の中学校(West Port)は、昨年すでに完成、第2期の高校棟(East Port)もこの7月に完成した。すべての教室に電子黒板が備わり、新しい学びが行われている。
だが、一方で小西先生は「まだまだ成すべきことがある」と力を入れる。同校は学力の伸長度によってレベル別編成クラスを取り入れ、生徒一人ひとりにあったきめ細やかな学びを提供している。中高一貫生は中3から国公立大学や難関私立大学を見据えたハイレベルコースとスタンダードコースに編成、高入生も同じコースの設定だ。
「B‐ステ以外に朝学や中学生対象の基礎鍛錬プログラム・寺子屋など、手厚いフォローの流れができたと思います。今後は上位層をいま以上にさらに伸ばすための取り組みが課題です」
留まることのない改革、教育の奥深さをみた思いだ。
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