全人的教育を目指し
部活を奨励
新グラウンドも完成
2009年に中学校を開設し、この春、第一期生が高校3年に進学。今年、中高一貫教育の集大成の年を迎えた日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校。来春の大学進学実績が注目されるが、広報部主任の沼尻和明先生は「中高一貫生は日大以外を希望する生徒が多く、ほほ全員がMARCH以上を目指しています」と力強く語る。
同校は高校で特進クラスと普通クラスに分かれるが、一貫生の多くは特進クラスに進学。高校の核となる存在として、部活動や生徒会活動にも積極的に取り組んできた。特進クラスであっても部活動の制限はなく、生徒たちは学業と部活動を両立させている。
「本校が目指しているのは進学教育と人間教育。思春期の子どもたちを勉強一色に染めてしまうのではなく、全人的な教育もしたいと考え、部活動も奨励しています」と沼尻先生。
同校の運動部は全国レベルで活躍している部も多く、文化部も各種コンクールに挑戦している。部活動は先輩と後輩の関係、練習に耐える精神力、ひとつの目標に向かって仲間と協力し合うことなどを学ぶチャンスでもある。この経験が生徒を大きく成長させている。
沼尻先生は「高3の夏までは小テストや予習復習を大切にし、引退後はこれまで部活に注いできたエネルギーをすべて勉強に向ける。生徒にはこれまで部活動等で培った体力と集中力がありますので、切り替え後の学力の伸びは著しいものがありますね」と話す。
すべてにおいて高い水準を目指すのが同校の「スタンダード」だが、学力向上や部活動だけでなく、施設面もさらに充実させた。昨年12月には新グラウンドが完成。その敷地は11万6,000平方メートルで、400mトラックに加え、200mの直線トラックが8レーンある。1200席ものスタンド棟には放送席やステージもあり、照明設備も完備。授業以外にも部活動や他校との試合にも活用できる本格的な設備が整った。
大学と連携した学びで
獣医学科進学率ナンバーワン
さらに同校では併設する日本大学生物資源科学部の施設を利用し、学びの幅を大きく広げている。中学生は大学スタッフの指導のもと、「フィールドワーク」として畑で作物を育てたり、かたまり肉からウインナーをつくる食品加工を体験したりといった農場・畜産実習を体験する。
「農作業や家畜の世話の大変さは経験してみないとわかりません。本校には広い農地と専門的な畜産設備があり、土を育てるところから始めます。このフィールドワークにより、食べ物のありがたみがわかり、好き嫌いがなくなって食生活が変わった生徒もいますよ」と沼尻先生。
高校では1年次の総合学習の時間を使い、高大一貫教育として大学の講義を受講。実験や実習を交えて、大学での学びを実体験する。
「一番人気があるのは獣医学科の講座です。実は本校は日大付属校の中で一番獣医学科に進学する生徒が多い。身近にそうした施設があることに加えて、日大の獣医学科に進学したいと本校を受験する生徒がいるためだと思います」
また、動物、植物、農耕に関する展示をしている大学の博物館は、自由に入館可能。スタンダードをはるかに超えた、高水準の教育環境がここにある。 |
カナダ修学旅行で痛感
もっと英語で話したい
同校では異文化交流、国際教育にも力を入れている。夏休みの2週間、ホームステイをしながら地元の学校に通うオーストラリア語学研修は中3生約40人、高1・2生約30人の希望者が参加。昨年では中3生の約半数に当たる50人以上がこの語学研修を希望した。英語学習に積極的な生徒が増えていることがわかる。
高2では学業成績と面接によって選ばれた2〜3人が、ケンブリッジ大学ペンブルックカレッジに行くこともできる。これは日大付属の各高校から選抜されるもので、費用の多くを日大が負担。大学レベルの授業を英語で受講するほか、イギリス文化を知るアクティビティにも参加できるなど、ハイレベルな英語体験ができ、カナダへの修学旅行(高2全員)でも、カナダの自然や人々と触れ合いながら、英語のコミュニケーションを学ぶ。
「生徒は、これからの社会では英語が必要ということをわかっています。しかし、実際に海外に行くと、自分の言いたいことが言葉として出ないことを痛感して帰ってきます。帰国後は英語学習への取り組み方が変わりますね」と沼尻先生。
英語以外の教科の指導もきめ細かく行っている。数学は中2から3段階の習熟度別クラスで指導。放課後には数学や英語の補習を日常的に実施している。
高校でも通常の授業とは違った内容を学ぶ「放課後講座」を実施。これは年度初めに自分が学びたい講座を選んで受講するもので、英検等の検定対策やTOEIC講座等が用意されている。さらに高2の特進クラスは土曜の午後に予備校講師による特別講習を受講。生徒の学力向上へ、万全のバックアップ体制を整えている。
「本校の生徒は今どき珍しいくらい真面目で優しい生徒。そういう生徒の姿を見て、小学生・中学生が安心して入学してきてくれます」と沼尻先生。緑が多く、充実な施設を擁する広大な敷地の中で学生らしい落ち着いた毎日を過ごす。こうした生徒の様子も同校の大きな魅力になっている。
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