オンリーワン教育
Only One for Others
毎朝、チャペルに中1〜高3までの全校生徒が集まって、15分間の礼拝を持ちます。「聖学院での6年間は、子どもたちがキリストの歩んだ道を通して、自分の心を見つめ、生き方を考える大切な時間です。今、時代は大きく動き、人の考え方も変化しています。しかし、キリスト教は2000年以上、語り伝えられてきた聖書があります。普遍的な価値や人間として本当に大事な生き方を見つめていくことができます」と清水副校長。
キリスト教から始まった福祉やボランティア活動の原点は“for others”、他者のために喜んで行う人になること。「現代、特に若い人たちは、自分さえ良ければ良い、隣は何をする人ぞと、変わりつつあるように見えますが、本当は困っている人、弱い人に目を向けられるような人間になりたい、そういう人生を歩みたいと思っています。学校はそのお手伝いをします」
子どもが成長する段階には、つらいこともたくさんある。
「失敗してもいいんだよ。男子校だから、女子の目を気にしなくてもいいんだよと言っています。みんな違った個性、オンリーワンの個性がここで出会って、切磋琢磨しながら育ち合う温かさがあるのが、聖学院なのです」
体験学習
同校では、中3の5月に3泊4日の「糸魚川農村学習」がある。「農村の家に宿泊し、配膳や農作業の片づけを手伝います。農家ですから、夜も早く寝ます。都会ではできない経験です。そういう体験を通して、主食の現場を見ます」。
他にも多くの体験学習があり、人と人との触れ合いを通した、“教科書ではできない学び”をすることも、聖学院のキーワードの一つだ。
「この農村体験によって、全く知らない世界を彼らは体で感じるわけです。糸魚川の山奥で、苦労して米や野菜を作っている人がいるからこそ、自分たちは食べることができる。そのことに気づいた子どもたちは誰もお米を残せなくなります」
この体験により、農学部、食品研究、また、環境問題や福祉の道に進む生徒もいる。「いま話題のTPPも身近になり、政治、経済に興味を持つ子もいる。子どもたちは、いわば自分の学校の授業と政治のニュースがつながる体験をするのです」。 |
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男子校の学力伸長度で
全国第1位に
昨年『週刊東洋経済』の「中高・学力伸長度ランキング」で、全国の男子校で第1位になった。だが、清水副校長は言う。「偏差値だけで子どもを見ないというのが、私たちのスタンスです」。
入試の偏差値は、早くからトレーニングした子や精神的に早熟な子が上がりやすい。「最近の男の子たちはいわゆる草食系で、ゆっくり育ちます。聖学院ではそこを大事にして、男の子特有の伸び方を保証しています。特に私たちは伸びしろのある男子をお預かりしたいと思っています。子どもたちの“やる気スイッチ”をたくさん入れたいのです」
同校はここ数年、学内改革が進み、授業力が向上し、その結果として進路指導力も大幅に上がった。さらに英語教育にも力を入れている。今春の受験応募者数は、対前年比で151%にまで上がった。
「子どもたちもどんどん変わってきています。小6の2月1日の偏差値がその子のすべてではありません。それを大人が知っていることは大切なことです。大事なのはその生徒がどんな生徒なのかということです。中1、中2で変わる子もいれば、高2、高3で変わる子もいます。保護者の皆さんには、お子さんがいつ変わるのかを楽しみに、学校と同一歩調で愛情をもって育て続けてください、と申し上げています」
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