東京都北区にありながら、自然に恵まれ、緑豊かな環境にある星美学園中学校・高等学校。前身は戦争孤児救済のため創立された社会福祉法人の養護施設で、カトリック精神に基づいた幅広い教育活動を行っている。校内では明るく純粋な生徒たちが、のびのびとしたキャンパスライフを送っている。
取材したのは、中学1年B組の5時間目、理科の授業。モノコード(1本の弦を張り、その振動を利用して音程を計測し、音律を規定することを目的とした楽器、器具)を使った「音」の実験だ。理科教諭の籾内明日佳先生は「とにかく実物を見せてあげたいと思っています。実際に手で触れ、目で見ることの大切さを知って、実験して面白かったと思ってもらえたら嬉しいですね」と話す。先生自身も子どもの頃に自然に触れ、感動した経験から、学芸大で生物を専攻したとのこと。
4月から始まったばかりの新学級と思えない一体感の中、授業は進められる。籾内先生は20代の若い教諭とあって、生徒とは姉妹のように心の距離が近い。「今日は私がモノコードを持っていたので、『それ、何に使うの?』という生徒たちの目の輝きがありましたね。実物を持っていくと、興味の引かれ方が違います」。
同校は校内が自然豊かなので、理科の時間は使用をしていない期間のプールや“星美の森”で実験をすることもあるという。
「プールではミジンコなどが観察できて、生徒たちは喜んでいました。教科書で習う花の観察も校内でできます。植物や花の美しさ、生物の命の大切さがわかると、生活面でも変わってきますね。自然が身近にあることは情緒的にも落ち着き、気持ちの面でも良いことです。教師をしていて、新しいことを知るときの子どもたちの目の輝きは、何度見てもいいなと思います」
籾内先生はそんな生徒たちに、「自分で考え行動できる人、社会に出て活躍できる人になってほしいです。理科でいえば、本物を見て触れたことによる学びから、心のモチベーションを上げる経験をしてほしいですね」と優しく語った。 |
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星美スタディ
サポートプログラム
同校では、「国際社会に貢献する女性」を育成するための「星美スタディサポートプログラム」を進めている。調和のとれた女性になるための「身心プログラム」、確かな学力のための「学習プログラム」、世界へと羽ばたく力のための「国際プログラム」があり、これを中高の6年間一貫教育で実現するというものだ。募集広報部主任の松倉宏泰先生は「さまざまな行事を主体的に行うことによって、明るく純粋な生徒が多いですね。カトリックの価値観に基づいた宗教教育も功をなしていると思います」。
少人数校で、教員は中高を一貫して担当しているため、中高の6年間を通じて、教員と生徒の距離が近いことも特色だ。「生徒の人数が少ないこともあって、フレンドリーな先生が多いですね。常に教員が生徒に寄り添い、生徒に何かあったらすぐ察知できる環境にあります」。
最後に松倉先生は「カトリックの宗教教育に特化しているように思われがちですが、実は大学合格の実績も高く、国公立大、早慶上理、GMARCHなどへの合格実績が着実に伸びています。都会の喧騒を離れ、けじめがつけられる環境の中、豊かな情緒教育を実現して、建学の精神である『宗教・理性・慈愛に基づく予防教育法による全人間教育』が行われていることを知っていただきたいですね」と結んだ。
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